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バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ RumiBaxter

丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2018-12-14
「ボヘミアンラプソディ」

初めて音楽を聴いて体に電気ショックを受けた経験は今でも忘れません。時代は1970年代から80年にふりかかった頃だったはずです。

その曲は「クイーンのボヘミアンラプソディー」です、と伝えると皆さん驚かれます。私とロックのイメージはなんだか結びつかないようなのです。

ティーンエイジャーの頃、ボヘミアンラプソディーを初めてラジオで聴いてから、なんとかしてそれをカセットテープに録音し、何度も何度も聴いていた青春の懐かしい思い出が最近の映画のブームとともに鮮明に蘇ってきました。

一週間で二回も劇場に足を運んだ「ボヘミアンラプソディー」の中では、当時の音楽だけでなく、背景、景色、80年代の英国の様子までもが、タイムスリップした時間とともに強烈に押し寄せてきて、心が揺さぶられる感動とともに劇場を後にしました。

クイーンの曲は、多くの人にとってそうであるように、私にとっても、音楽を超えたライフスタイルそのものだったように思います。

時代を超えて、40年以上もの間、数々のクイーンの曲なぜこんなにも人々に感動を与えられのでしょうか。

もちろん絶対的カリスマ性を持つボーカリストを筆頭に、天文物理学の博士号を持つギタリスト、典型的なロックアイドルの容姿を持つドラマー、無口ながら一言で皆をまとめるベースギタリストと、他に類を見ないバンドではあるのですが。

フレディの天性のソプラノが奏でるクイーンの歌詞には一言で言って、「愛」、大きな愛を感じます。

長い間世界一の座にいたバンドですら、生きる悲しみ、寂しさを曲を通して私たちに切実に訴えてくれているのです。それは哲学的ですらあります。

それらはあたかも私たちの悲しみや寂しさを代弁するようです。光、栄華の中に見え隠れする影の部分を対比させて私たちに訴えてくれているのです。

私たちは皆、居場所、すなわち「愛」を求めている存在です。でもそれは時にそんなに簡単に手に入るわけでもありません。

歌詩を通して聴く人に、belongingness -居場所、はここだと共感を与えてくれるのがクイーンの曲の凄さなのです。

映画の題名にもなったボヘミアンラプソディーの冒頭は、「それは現実か空想か」、と言う、ささやきで始まります。ロックとオペラの融合、聴く人によって様々な解釈を残すドラマティックな展開は最も有名です。

その後に続く「それでも風は吹く」という最後の言葉は、大きな世界の中では変わらない、悲哀にも似た一人一人の直面する現実を映し出しているようです。

私がかつてのティーンエイジャーとして初めてこれを耳にした時、もちろん、この曲の持つ深い世界観はわからないままに電気ショックを受けたわけですが、聴く人それぞれの現実に合わせてそれぞれの解釈が変わるところにクイーンの歌詩のすごさを感じます。

そこから15年ほど後の1991年リリースされたINNUENDO は涙なしには聴けません。イニュエンドウとは暗示という意味なのですが、ここでも私たちのダブルスタンダード、光と闇が浮き上がってきます。

人種、肌の色、狂気、欲にとらわれ、コントロールされた現実の中で、何が本当にしたいか、何ができるか、それを見つけてやるしかないんだよ。自由であること、自分自身であること、それをやるしかないんだよ、とフレディは自らが死に直面した中で私たちに訴えているのです。

映画の最後にはThe show must go on が流れていました。この歌のタイトルでもあるフレーズの意味は、何があろうとも舞台は続なければならない、何があろうとも仮面をかぶってでもしなければいけない、キャンセルできないことがある、という意味合いで使われますが、フレディのショーマンとしてダブルスタンダードで生きなければならなかった人生、その中でいつも真実の自分を探していたのかと思わせるメッセージが聞こえるようです。

フレディだって、みんなと同じように真実の愛を探していたんだって聞こえるようなのです。

映画「ボヘミアンラプソディ」を見終わった後、Freddie, I miss you a lot. と心の中で叫ばずには入られませんでした。皆さんの涙にもきっと同じ意味があったのでしょう。

それと同時に、クイーンの、そしてフレディの声、メッセージはこれからも世界中で多くの人の心を揺さぶり続けると確信しました。

これほどまで映画の2時間に感情移入できたのは、俳優たちの努力、熱意、それを支えるプロダクションチームの凄さだとも思います。

今年最終月となりましたが、今年一番の映画をこんなにもエンジョイできたことに感謝です。
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私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ

心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/

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