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バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ RumiBaxter

丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2018-05-18
共有の財産とは

大型連休も終わりましたね。連休中、さまざまな家族や友人のきずなを再確認された方も多かったのではないでしょうか。

私は人混みが苦手なので外出は避けましたが、休暇中は食事は作らないということで、近くのレストランに食べに行くという小さな贅沢を味わいました。

食事の用意をしない分、少しの空いた時間で好きなアート関係の本を眺めたり出来るのは期間限定のお楽しみです。そんな連休も終わりゆっくりと現実に戻りつつある頃、あるニュースに大変驚かされました。

日本を代表する国立大学で老朽化した食堂を去年から今年にかけ改装、その際にそこに40年間飾られていた4メートル四方以上の巨大アートを廃棄していた、というものです。

パブリックアートの歴史は人類の文明の数千年の歴史といっても過言でないでしょう。さまざまな感情を絵に表現し、目に見えるもの目に見えないものをアートとして表現し続ける人間の創造力には終わりがないようです。そのアートに価値がつき、あるものは高額の価値がつき、あるものは世代を超えて評価され続けます。

一体アートの持つ価値とは何なのでしょうか。今回のこの事件でアートの持つ意味をもう一度深く考えさせられました。

その絵画の背景、ストーリーを知ろうとすること、そしてそれらをディコード、解読すること、色や形が訴えかけてくる感情を感じること、そして沸き起こる感情を素直に受け止めること、など、見るもののニーズはさまざまでしょう。

しかし、少なくともパブリックアートの意味は 「何かをシェアすること」で時間と空間を超え、人類の共有財産となることだと思います。その「何か」は多くの場合すぐにはわからないのです。受け手の感情の変化でその何かが変わることも多々あるのです。

実際、ロンドンナショナルギャラリーのモネは、ある時はムラサキに、ある時はブルーに、色が変わって見えたことは不思議です。何かを思い出させてくれたり、ただぼーっとすごいな、綺麗だな、と見てみたり。何かを期待しても直接的な答えはあまり得られることがないのも事実です。

皮肉なことにこの破棄されたアートのタイトルは「きずな」でした。グラフィックの構図の中で、あるものは走り、立ち止まり、跳ねながら平面の中で多面的に複雑にまじりあいながら進化しているようなアートです。私たちの進化の科学をあらわそうでもしているような。

大学という、ありとあらゆる知を追求する場所にぴったりのモダンアートのように見受けられました。科学とアートが融合されたようなデザインは数々の優秀な学生たちにシェアーされ好奇心を刺激してきたことでしょう。

その共有財産がなくなったということは非常に悲しい事件ですが、これからも、アートの存在意義についてますます論議するべきではないかと感じます。
私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ

心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/

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