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バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ RumiBaxter

丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2018-06-14
役に立つもの、美しいもの

「何の役に立つかわからないものや 美しいと思わないものを家においてはならない」

思わず、確かに!と同意せずにはいられないこの言葉は、19世紀後半に生きたイギリス人ウイリアムモリスのものです。

ウイリアムモリスといえば数々のデザインを世に送り出し、今でも彼のデザインをもとにした壁紙やテキスタイルは多くの人に愛されています。日本にもファンの方が多いのではないでしょうか。

イギリスカントリーサイドの草花や小鳥をモチーフにした美しいデザインはあまりにも有名ですが、ウイリアムモリスの活動家としての思想はあまり知られていないかもしれません。

モリスは、アーティストの視点で「役に立つ」「美しい」デザインを追求すると同時に、「役に立つ」仕事を通し人は成長し、「美しい」環境の中、役に立つ仕事をする事で、本当の幸せを見つけられる、といった哲学者としてのメッセージを情熱的に発信し続けました。

「美しいものには変革できる力がある。」
「暴力でなく、美しいもので社会を変える。」

何とも力強い言葉です。
100年以上も前のメッセージが今こそ必要な気がします。

モリスの生きた19世紀、もうすでに彼は 「商業化にともなう社会のゴミ」を懸念していました。

モリスは職人社会の再興を目指し、商業化、大量生産によっておびやかされたアート と クラフト Arts and crafts、 を取り戻す社会運動のリーダーだったのです。アーツアンドクラフツ運動の父と呼ばれるのはそのためです。

中世ギルドの職人を重んじるということは、役に立つ美しいデザインを社会で復活、継続させるために必要だった活動だったのでしょう。

モリスの著書の一つに 「Useful work vs useless toil 」というのがあります。「役に立つ仕事と役に立たない無駄仕事」という何とも考えさせられるタイトルのこの本の中でとても興味深いことが述べられています。

役に立つ仕事と役に立たない仕事とを見極めなさい。役に立つ仕事をすることによって人間は成長し、真の幸せを追求できる。と。

役立つ労働なら、その労働の中に喜びを見出す努力ができる。そしてそのような労働の場は学びの場であり知的な場なのです。

役に立つこと、美しいこと、とはどういうことかが言葉の枠を超えて深い意味を持ち始めます。今の活動、仕事、自分のやっていることは役に立つことであるか、日々の生活の中で美しいものに向き合えているのか、再考させられます。

「ウイリアムモリス ーデザインの軌跡展」が、天王山のふところに美しくたたずむ美術館、 大山崎山荘美術館で開催されています。そちらのテラスからは京都南部から奈良の山々までの景色が雄大なパノラマとして広がっていました。

日々の喧騒を後ろに、ゆっくりとした時間の中で活動家であったモリスのデザインの軌跡に触れ、クロードモネにも囲まれた時間は私にはとても「役に立った、美しい」ひと時となりました。
私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ

心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/

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