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永木 恵美子
歯科矯正学博士 きょうばし矯正歯科クリニック院長

For Your Smile 医療・ヘルシーライフ 2016-06-21
矯正治療で歯ぎしりは治るの?

「旅行に行ったとき、家族にあなた歯ぎしりすごいわよっと言われたの!どうしよう!」と、
自分自身の夜中の歯ぎしりを家族の指摘で自覚されることがあります。

歯ぎしりって実は何でしょう?
歯ぎしりとは上下の歯をガリガリと咬んでしまう癖のことです。

日中でも、緊張すると、ガリガリと食いしばってしまう可能性はありますが、
起きているときには、意識があるのでそれほど大きな力では咬まないように、
自動的にコントロールしています。

問題となるのは、就寝中の歯ぎしりです。
就寝中は意識がありませんので、
自分でもどれだけ咬んでいるのか、コントロールすることはできません。
この無意識化での歯ぎしりが長期間にわたって続けられると、
歯に強い力がかかって歯にひびが入ったり、歯が割れる危険性があります。

歯がどんどん削れて山の部分がなくなってしまいますので、
歯の谷の部分にしっかりと歯がおさまらなくなってしまい、
咬んでもしっかりと咬めなくなり、咀嚼効率が悪くなるばかりではなく、
咬み合わせも不安定になってしまいます。

また、歯ぎしりや食いしばりをずっと続けていると、
歯を支える歯茎が弱って歯周病の原因になる可能性もあります。
さらに、顎を動かす筋肉に異常な緊張が続き、顎の関節に異常な力がかかるため、
顎関節症になるリスクが高くなってしまいます。

では、なぜ歯ぎしりをしてしまうのかというと、
はっきりとした原因は、残念ながらわかりません。

歯ぎしりの原因としてよく言われているのは、「咬み合わせ」と「ストレス」です。
ただ、矯正治療しても歯ぎしりが治らないことが多く、
咬み合わせが原因になっている場合は比較的少ないと思います。

なぜなら、歯並びが綺麗な人でも、そうでない人でも、
歯ぎしりをする人は歯ぎしりをするのです。

また、本来、寝ているときには、
上下の歯同士は接触しないように筋肉が顎の位置をキープしています(安静位)。

歯に過度のダメージを与えないように少しの隙間を維持するのが、
基本的な顎の筋肉がリラックスした状態です。
ですので、歯ぎしりは歯並びや咬み合わせの問題というよりも、
寝ている際に歯同士が勝手に接触してしまうことが根本的な問題なのです。

そのため、矯正治療をしても歯ぎしりはあまり変化しない場合が多いのです。
では何が原因になっているのかというと、やはり精神的な要素、
ストレスが大きな要因になっていると考えられます。

子どもさんであれば、友達や勉強、受験、学校での悩みなど。。。
大人の方であれば、人間関係や職場の環境変化、将来への不安など
いろいろなことが原因として考えられます。

しかし、ストレスの原因をはっきりと突き止めることは非常に難しく、
わかったとしても完全に取り除くことはできないことも多々あります。

過度に歯ぎしりが続く場合には、ストレスの原因を探るとともに、
歯を保護するために就寝時にマウスピースを付けたり、
歯ぎしりを止める装置を付けていただく必要があります。

矯正治療で歯ぎしりを治すことは難しいですが、
治療後の咬み合わせの安定や歯や歯茎の保護のために、
歯ぎしりへのケアはやはり大切です。そして、心にもリラックスを!
きょうばし矯正歯科クリニック
火水金:12:00-19:00 土日(隔週)
10:00-17:00 ※予約制
大阪市都島区東野田2−3−19 MFKビル4F
TEL 06-4801-9055
http://www.kyobashi-kyousei.com​


 

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