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藤田 由布 婦人科医 医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)
生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、女性にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2020-12-24
女性に多い「貧血」、放置はぜったいに禁物!
気付かずに貧血を放置している女性、実はめちゃくちゃ多いです。

女性って貧血の状態に慣れすぎていて、「たまにフラっとめまいするけど、それほど症状が無いから大丈夫・・・」と、やはり放置。
貧血放置で鬱病になる?!
しかし、貧血がずっと続くと、うつ病のような症状も出現します。貧血によって、肌のシミや髪のツヤにも影響してしまいます。

また、貧血の原因をちゃんと調べないと、婦人科疾患や癌や血液の病気などが隠れている場合もあります。

今回は「実は怖い貧血」について、解説します。
貧血は「全身酸欠状態」なのです
貧血の種類で8割の原因が、「鉄不足」によるものです。鉄が不足すると、血液中のヘモグロビンの生成が減少してしまいます。

ヘモグロビンは普段は人間の身体の隅々に酸素を運ぶ役割をしているので、つまり、貧血の女性は、身体が酸欠状態になるのです。

だから、全身酸欠状態となる貧血は、疲れやすく、フラフラしてしまうのです。

貧血の身体だと、心臓は大量の血液を流して酸素不足を解消しようとして呼吸が激しくなり、心臓の鼓動が早くなってしまうのです。

貧血は、知らず知らずのうちに肺にも心臓にも負担をかけてしまい、最悪の場合は、心臓肥大につながってしまうこともあるのです。
氷をガリガリ食べる人は、貧血のサインかも?!
ジュースなどを飲んだ後,氷をバリバリかじる人がいます.氷を異常なほどに食べることは,氷食症(pagophagia)と呼ばれます。

内科の診断学の教科書にも書かれているように、「氷食症を見たら貧血を疑」です。

貧血の人はなぜ氷ガリガリ食べてしまうか。これには諸説あります。

[1]強い精神的ストレスや強迫観念によるという説
[2]貧血に伴う口腔内の炎症を抑えようとする説
[3]氷を噛むことによって反射的に脳血流を増加させている説

などと言われていますが、いまだ明確な機序はわかっていません。

氷ガリガリさん、定期健診で貧血の値を必ずチェックしてくださいね!
貧血の数値はヘモグロビン値(Hb)を見てください
目安としては、ヘモグロビンの値が11g/dLに満たない場合は、身体が疲れやすく酸欠状態です。

ヘモグロビン値が9 g/dL以下を放置しているなんて、とんでもないです。この値は血液が1リットルぐらいドバっと出血して体外に出てしまった直後ぐらいの状態です。

貧血の治療も必要ですし、原因精査も大変重要です。

便が黒いなど異変がある場合はすぐに内科を受診して下さい。また、婦人科領域では子宮筋腫や内膜増殖による過多月経も考えられますので、婦人科の受診をお勧めします。
頭痛や食欲不振も貧血サインかも!?
鉄剤を摂るだけでは解決になりません!
もちろん、日頃からの食事療法も大事です。

鉄が多く含まれる食品を意識して摂るほか、血液の「赤血球」のもとになるタンパク質や、鉄の吸収をよくするビタミンCや葉酸など、いろんなものをバランスよく食事することが大事です。
でも、ここで大事なのは、鉄分をとるだけでは貧血の解決にならないことが多いということです。
貧血の原因は、過多月経であることが多いです
女性の場合、貧血の原因が、月経量や回数が多いことにより貧血に陥ることが多いです。

これは、私の日々の診療でも本当によく実感します。

低用量ピルや子宮筋腫の薬で月経コントロールをするだけで、ものの数ヶ月で貧血がみるみる改善するケースを多々見てきました。

「階段のぼってもゼーゼー言わなくなりました。」

治療2ヶ月目でよく言われる感想です。 診察室でよく言われるのが、「自分の月経量って、多いのかどうかわからない!」です。

それもそのはず、確かに他人と月経量を比べたことないので、実際の実際なんて誰もわからないですよね。難しい説明は要りません。あちこちで難しく説明されているから、女性は混乱するのです。

簡単に言います。

昼間に夜用ナプキンを使っている人、過多月経です。

レバーのような塊が数回にわたりドバっと出る人、過多月経です。

月経中にナプキンを1〜2時間おきに交換しなきゃもたない人、過多月経です。


学生時代から月経量が多くても、月経痛があっても、我慢してきた女性、もうこれ以上我慢しないでください。

過多月経や月経痛を放置すると将来にとんでもない婦人科疾患を発症してしまいます。放置は不妊症にもつながります。
手術をしないでも内服薬や注射だけでも治療できます
手術がいやで、なかなか婦人科を受診するのが怖かくて遠ざかっていたという女性も多いですよね。

でも、安心してください。

もちろん、手術で筋腫や腺筋症を取り除いたりする方法もありますが、手術を回避する内服や注射による治療方法もどんどん出てきています。

低用量ピルは、月経量や周期をコントロールする薬です。

これは、卵巣から分泌される2種類の女性ホルモン(エストロゲン+プロゲステロン)を配合した飲み薬や、プロゲステロンのみの飲み薬を使うことにより、これは月経量がうんと減り、痛みも減って、子宮と卵巣をベストな状態を保ってくれます。

子宮筋腫や子宮腺筋症などで、月経量が多かったり、痛みが強かったりすると、月経を一時的に止めるGnRH療法という治療もあります(また次回コラムで)。

子宮内に数センチのごく小さな特殊なプラスチック器具を挿入することにより、飲み薬なしで月経コントロールできる方法もあります(ミレーナについても次回コラムで)。

大事なのは、貧血の原因となっている婦人科疾患の状態をしっかり診てもらい、現状を改善するあらゆる方法を吟味し、医師と相談して治療方針を決めることです。

治療方法は日進月歩でアップデートされています。

我慢せず、生活の質を落とさず、よりよい生活を過ごすためにも、貧血の精査と治療方法について婦人科でご相談ください。

真の女性の味方の婦人科医は、決して貧血を放置しません。 お気軽にご相談くださいね。
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)
〒542-0083 大阪府大阪市中央区東心斎橋1-14-14 T・Kビル2F
TEL : 06-6241-5814
https://www.sakumaclinic.com/

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