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藤田 由布 婦人科医 大阪なんばクリニック
大阪なんばクリニックで「気軽にだれでも来れる敷居の低い婦人科」を目指し、心込めて日々の診療に邁進しています。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、女性にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2020-09-24
今さら聞けない「低用量ピルって、そもそも何?」
低用量ピルって何? クスリ? ホルモン剤?
日本では、多くの女性の反応といえば次の通りです。

「ピルって、なんか卑猥なものに聞こえる…」
「どうせ避妊のためでしょう?」
「ピルって、危なっかしい薬っぽいけど、本当に大丈夫なの?」

私たち日本人女性にとったら、ピルはまだ馴染みのないクスリで、とっつきにくいダークな代物に捉えてしまいますよね。

こんな風に感じるのも無理はありません。ピルは最近になってようやく世に出回り始めたものでして、海外から30年ほど遅れて日本に上陸したホルモン剤です。

一概に「ピル」といえども、様々な呼び方があります。

避妊ピル、経口避妊薬、低用量ピル、超低用量ピル、月経困難治療薬、はたまた最近では横文字でOC(オーシー)とかLEP(レップ)とも呼ばれています。

ややこしいですよね。得体の知れない代物に見えても仕方ありません。 これら全部ひっくるめて「ピル」と総称しているので、よく分からなくなるのです。
では、何がどう違うの?
ピルは、避妊薬や低用量ピルや月経困難治療薬など色んな呼ばれ方をしていますが、実は中味はどれも全て同じなのです。

ざっくりいえば、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)、つまり2種類の女性ホルモンが合わさったホルモンの薬です。

これを毎日1錠ずつ24日間飲み続け、最後の4日間だけ休薬します。この休薬期間の2-3日目より月経と同じ様な出血が起きます。これはピルに含まれるホルモン作用が消失して起きるため、消退出血と呼んでいます。

かつては、21日間飲んで7日間休薬するピルが主流でしたが、24日間内服で4日間休薬タイプの方が、生理痛や内膜症の病態改善に有益だったという報告があり、今は4日間休薬タイプを勧める医師が多いです。
ピルっていくら? 保険で3割負担?
避妊目的でピルを処方してもらう場合は、病気ではないので自費診療となり、処方されるピルも全額自費となります。診療所によりけりですが、最大6シート(6ヶ月分)まで処方できます。自費で1シートだいたい2000円前後です。

一方、生理痛に対するピルは、月経困難治療薬という名前がついたピルで、これは保険適応(3割負担)となります。診療所や病態にもよりけりですが、最大3シート(3ヶ月分)まで処方できます。

日本では、ヤーズ、ヤーズフレックス、ジェミーナ、フリウェルが月経困難治療薬に該当します。3割負担になって、これも1シートだいたい2000円前後です。

私は大阪人なので値段はめちゃくちゃ気になります(笑)。長期間しかも毎日内服する薬ですもの、値段は知りたいですよね。だから、私の診察室では値段比較を知りたい患者さんのために一覧表を作っています。
毎月の生理は、子宮にとっては重荷なのです
生理というのは、子宮の一番内側を覆っている膜状の組織が女性ホルモン(エストロゲン)の影響でブク〜っと膨れて増殖し、プロゲステロンの影響でベリベリ〜っと剥がれ落ちることをいいます。
生理の量が多い人は、子宮内膜の増殖が他人より分厚くなって剥がれ落ちる時にたくさんプロスタグランジンが放出されているのです。

また、生理の量が多い人によく起こっているのが、生理の血が卵管を通って逆流し、子宮の外へ血が流れ出ているのです。

流れ出た血はお腹の中で色んな臓器をベタベタにくっつけ(癒着といいます)、慢性の炎症状態にしてしまいます。これが不妊症の原因にもなります。

諸説ありますが、これが子宮内膜症という厄介な婦人科疾患の発生機序なのです。
ピルは、子宮と卵巣を良い状態を保つ薬です
ピルを内服すると、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが脳に働きかけて、脳の下垂体から分泌されるFSHとLHというホルモン司令塔を抑制します。すると、卵巣の中にある卵胞の発育が冬眠状態となり排卵が起きなくなります。

ピルに含まれるエストロゲンとプロゲストンは、子宮の内膜にも働きかけ、無駄な内膜の増殖を抑えてくれます。ピル内服中は内膜が薄い状態となっているので、たとえ性交渉をして受精したとしても、着床しにくい環境になっています。

あと、腟の奥にある頚管粘液の性状が濃厚粘稠となり、精子が子宮内に入って行けない環境にもなっています。

このようなメカニズムによって、ピルは避妊効果があるのです。

同時にピルは、子宮内膜の過剰な増殖を抑えて、無駄な排卵を抑制し、子宮・卵巣を休ませた楽チンな状態で保っておいてくれるのです。
ピルは太りません
ピルはコワイ!太る!なんてことは決してありません。また、ピルを飲んでいたら将来的に妊娠しにくい身体になるなんてことも全くのウソです。

むしろ、ピルを内服していると、子宮と卵巣が良い状態で保てるので、将来的に妊娠しやすい身体になります。

実際に、低用量ピルはずっと飲んでいれば、飲んでいなかった人に比べて、同じ30歳になったときに卵子の状態、卵巣の機能がいい状態の人が多いのです。

長期間にわたりピルを内服しても全く問題ありませんし、むしろ早くからピルで子宮と卵巣を労ってあげる方が、後々にとっても良いのです。
生理はガマンからコントロールする時代です
生理って毎月厄介なものです。せっかくの温泉旅行、浴衣を着る時、彼氏とお泊まりデート、大事な試験の日にドッキングなんて事、皆さん一度や二度はありますよね。

現代女性は、昔に比べて出産回数が減り、月経の回数が増えています。

月経に邪魔されず、自分らしく生きる。そのために、月経の回数を減らすなどの治療法があります。

月経困難治療薬の「ヤーズフレックス」は、最長120日間の連続服用が可能なピルです。つまり、120日間生理を止めて子宮と卵巣を休ませておくことが出来るのです。
働く女性が増えた今、ツライ月経と上手に付き合う選択肢も考えてみませんか。
注意すべき副作用は、「血栓症」
ピルを服用する際に気をつけたいのは、血栓症です。

血管に血のかたまり(血栓)が詰まる病態のことを血栓症といいます。ピルを内服している1万人の女性のうち、3〜9人の割合で血栓症のリスクがあると言われています。

血栓症のリスクの高い人というのは、高血圧や喫煙者、それから肥満の人です。

足の付け根の大きな血管が詰まると、足が腫れて痛くなり、ふくらはぎが赤くなる、という症状が出現します。

詰まる場所が胸だと、激しい胸の痛み、脳血管だと舌のもつれ、といった重篤な症状も可能性としてはゼロではありません。

私のクリニックでは、ピルを内服している女性には、少しでも不安があればすぐに連絡して下さいとお伝えしています。

ピルを飲んでせっかく生理が楽になって、生活の質が向上したのですから、ピルの対する不安もしっかり払拭して安心してほしいです。
ピルとがんの関係
ピルはホルモン剤なので、乳がんの発症リスクを増加させる可能性が考えられています。

一方、子宮体がん、卵巣がん、大腸がんなどの発症リスクを低下させることも示されています。

乳がんは、ピルを内服するしないに関わらず、日本人女性は11人に1人の割合で発症すると言われています。ピルを内服していない人でも、乳がんの定期検診は大事です。
知っておきたいピルの種類と特長
この表が表すように、ピルは女性の身体により合うように改良と副作用の改善を重ねた歴史があります。世代をおうごとに副作用が軽減されて改良されてきたのです。

ちなみに、この表にあるピルの製品名が日本で認可されているピルです。
ピルの内服をサポートしてくれるアプリなどのツールは色々とあります。もちろん、処方の際は医師からもピルをうまく内服するコツや注意点などの説明もします。

日本で認可されていないピルがネットで激安価格で販売されているのをよく見かけますが、中には海外で重大事故にあったピルも混じっていることがあります。不安な場合は、かかりつけの婦人科医にお尋ねください。

ピルについて分からないことがあれば、なんでも聞いてくださいね。
痛くなったらすぐセデ●ではなく、ピルで生理痛を撃退してください!
若い女性が生理痛を放置して、いつの間にか重症な子宮内膜症を発症しているという症例を多くみかけます。

毎月のように生理痛に悩まされ、イブやバファリンの鎮痛薬でなんとか凌いでいるという女性の皆さま、痛み止め薬だけでは根本的な解決は何も出来ていないのです。

生理の量を減らして、期間も短くして、子宮の負荷を減らしてあげると、いろんな病気も防げるのです。ピルを内服して内膜症や不妊症も今のうちに撃退しておきましょう。

現代女性の10分の1が子宮内膜症にかかってしまう昨今、今のうちに月経量をきちんとコントロールしておかないと、将来的に不妊症や卵巣癌のリスクを抱えることになります。

痛みに負けルナ!ではなく、痛みは我慢せずに気軽に婦人科へご相談くださいね。
profile
大阪なんばクリニックで「気軽にだれでも来れる敷居の低い婦人科」を目指し、心込めて日々の診療に邁進しています。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、女性にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
大阪なんばクリニック 婦人科医長

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼ってた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼ってた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。

現在は、大阪なんばクリニックで「気軽にだれでも来れる敷居の低い婦人科」を目指し、心込めて日々の診療に邁進しています。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

「大阪なんばクリニック」の婦人科は、女性医師のみで診療させて頂いております。おりもの異常、生理痛から更年期障害まで最先端の治療を取り入れながら、どんな些細なお悩みでも真摯に対応します。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
大阪なんばクリニック
大阪市中央区難波5-1-60 なんばスカイオ 9F
TEL:06-6648-8930
HP:https://osakanamba-cl.com/department/gynecology.php
FB:https://www.facebook.com/fujitayu

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