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小森 利絵 フリーライター えんを描く
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
おてがみじかん ライフスタイル 2020-08-19
無地の封筒に「日常のつぶやき」を描く
お手紙の主題にはならないけれど、「この発見をあの人と共有したい!」と思ったことを、まるでつぶやくみたいに封筒に描くことに、最近はまっています。

きっかけは、毎年春に開催している「おてがみぃと/年に一度、春に。1年後の自分にお手紙を書こう!」の会です。
その会では、自分が感じた季節を描いたり書いたりすることで、その時の自分の感性も記録できたらいいなあと、お手紙を書く前に公園を散歩して春を感じる時間を持ちます。

五感で感じ取った空や緑、花、風、香り、感触などを、便箋には季節のあいさつ文みたいな感じで「こんな空だった」「こんな香りがした」「こんなことを不思議に思った」とつらつらと書き綴り、封筒には心に残ったものや風景を気ままに描きます。

もともと私は絵を描くことに対して「苦手だな」「だって、うまくないし」という意識がありました。なのに、描き出すと、楽しくなってきちゃたんです。

描くと言っても、写真を見ていただいたらわかる通り、もう自分にしか、何の、どんな場面かがわからない出来上がりになっています。

これは薔薇の花を描いたのですが、「え?これが薔薇なの?」と思いますよね。
ただ、絵を上手に描くことが目的だったら、「やっぱり下手」で終わっていたかもしれません。

でも、この封筒に絵を描く目的は、お手紙の相手に「こんなのを見つけたよー。最近、どんなものを見つけた?」「緑が、気持ちいい季節になってきたね」ということを伝えること。

自分の気持ちや想いのイメージを表せたらいいので、下手なのは気になりません。それに、言葉を添えることで、絵をフォローしています。

たとえば、
子どもの頃からよく前を通りかかっていた印象的な鍼灸院が取り壊されているのを見かけました。

鍼灸院の看板を掲げながらも、門が開いているところも、誰かが出入りしているところも見たことがなく、「すごく、ミステリアス!」と気になっている場所でした。

アレコレ妄想していた小学生だった私も、もう30代後半です。こんなふうに懐かしい風景が一つひとつなくなっていくんだなあ、こうやって人もまちも変わっていくんだなあと、しみじみと思った出来事でした。

この場所を知っている小学校の同級生に伝えたくなって描きました。
百日紅(さるすべり)の花。

「この花木をまちのあちらこちらで見かけるな」と思うようになった数年前は、その名前を知らず。たまたまSNSで知人が写真と花木名をアップしているのを見かけました。

それ以来、この花を見かけると、「ああ、百日紅の花だ。今年もこの季節が巡ってきた」と心の中でつぶやきます。雲一つない夏の空をバックに、この花を見ると、一瞬南国に旅立ったような気持ちにもなるんです。

幼馴染で長年文通をしている友だちに、季節のあいさつとして描きました。
自分の中には、まるで写真でパシャリと撮ったようなイメージがあるのですが、いざ描こうとすると、「あのうさぎの像は何に支えられていたっけ?」「葉っぱの形はどんな形だっけ?」など思い始めて、見ているようでちゃんと見ていない自分にがっかりして「むむっ!描けない!」となるのですが、そこはもう気にしません。

今は便利なもので、スマホで調べれば、詳細を確認することもできますが、そうすることもしませんでした。忠実に再現したいわけではなく、気持ちや想いを表現したいだけだから。自分の印象に残っているものをただただ描くという感じです。

描きながら、「お手紙の相手は毎日、どんな景色を見ているんだろうなあ」と相手の日常に思いを馳せます。

そして、差し出がましいけれど、もし心がちょっと疲れていたりしたら、「日常を今一度見つめ直す、一つの視点になったらいいなあ」「それで、少しでも、その人の日常が輝き始めたらいいなあ」とも願っていました。
今年4月に新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言が発令された時は、外出するといえば、食料品の買い物だけだったので、運動不足解消も兼ねてスーパーまで歩くようにしていました。

いつもなら自転車でぴゅーっと通り過ぎてしまうところを、てくてくと歩いてみると、「あれ、こんなところがあったんだ」「ここにこんな花が咲いていたんだ」と、自分の身近な範囲の景色や出来事を丁寧に見ることができるようになりました。

普段、見慣れているはずの日常の中にも、たくさんの発見や喜び、楽しみがあることに気づけたんです。

世界でも、日本でも、身近でも、日々さまざまなことが起きています。そのような中でも、そんな発見や喜び、楽しみが心にゆとりを与えてくれ、その心のゆとりが元気や誰かを想えるやさしさにもつながるような気がしました。

この日々の中で、そんなことも思っていたから、日常の中で見つけた発見や喜び、楽しみをつぶやくみたいに封筒に描くことに、はまったのかもしれません。
profile
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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