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小森 利絵 フリーライター えんを描く
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
おてがみじかん ライフスタイル 2020-02-19
お手紙とわたし~東久美子さん編②~
私のまわりにいる「日常の中でおてがみじかんを楽しんでいる人」にインタビュー。4人目は東久美子さんです。お手紙の思い出や楽しみ方などについてうかがったインタビューを4回に分けて紹介しています。

前回は「お手紙は自分とも向き合う時間編」として、東さんが「手紙を書くことは、自分自身と向き合うことにつながっている」と感じたというお話をうかがいました。

第2回目となる今回は「想像のきっかけに編」。東さんが以前、西アフリカのブルキナファソという国に暮らす子と手紙をやりとりしていた時のお話をうかがいました。
お手紙で思い出に残っていることはありますか?

東さん: 開発途上国に月5000円の寄付をして、現地の子どもと手紙を通して交流するという、国際NGOのプロジェクトに参加したことがありました。そこで、西アフリカのブルキナファソという国に暮らす子と手紙のやりとりをすることになったんです。

その子とは現地語でしかやりとりができないので、私は日本語か英語で手紙を書いて、それを現地語に翻訳して渡してもらい、相手からの手紙はボランティアの人が代筆したものが届きました。

私からは「日本はこんな国だよ」「折り紙とシールを送るので、使ってください」みたいなことを書いた気がします。相手からは写真が届いたほか、「学校に何時間かけて通っています」「手紙が届くのを楽しみにしています」という内容の手紙をもらったように思います。

手紙をやりとりするまで、「アフリカ」といえば、ケニア、スワヒリ語、動物、学校まで何時間もかけて通う子どもといったイメージしかありませんでした。

それが、手紙をやりとりすることになって初めて、アフリカの中にブルキナファソという国があることを知り、自分が知らなかった国について、もらった資料などをもとに想像を膨らませる機会にもなったんです。

寄付だけではなく、手紙でやりとりなど交流が生まれることで、その国を知ったり想いが深まったりしますね。どうして、そのプロジェクトに参加しようと思ったのですか?

東さん: 28歳の時に関西から離れて、東京で一人暮らしを始めました。1人の時間が増えると、いろいろなことを考えてしまうものですね。「30代目前。このまま結婚もせず、1人かな」など、自分のこれからが想像できなくて、漠然とした不安に襲われていました。

仕事は忙しいけれども、そのお金を何に使うかと言ったら、自分のため。一所懸命頑張って働いても、結局は自己完結、ストレス発散のためだけに消費していることが、むしょうに虚しくなったんです。

また、海外に目が向いたのは、興味を持っていたからかもしれません。

中学生の時、海外ドラマにはまりました。自分と同い年の子が自分の意思をしっかりと持って生きている姿を見て、憧れたんです。私といえば、毎日の中で何か閉そく感みたいなものを感じていて、息苦しい。「いつか海外に行ってみたい」と思うようになり、大人になっても変わりませんでした。

でも、「海外で仕事してみたい」と思うも実現せず、留学できるほどお金も貯まらず。20代後半になってようやく、せめて1週間だけでもいいから、語学研修に行ってみようと具体的に動き始めたところ、このプロジェクトが目に入ったんです。

月5000円でも誰かの役に立っていると思えたら、自分が働く意味や価値を見出せるかもしれないと期待しました。

結局、その子とは1年間2回だけのやりとりで、終わることになりました。というのも、当初はまったく予想もしていなかったのですが、まもなく夫と出会い、結婚することになったからです。夫の仕事の都合で、西アフリカのベナン共和国で暮らすことになるのですが、なんと、ブルキナファソの隣の国だったんです。

*東さんが「おてがみ部」(時々集まって、一緒にお手紙のある時間を楽しむ会)で企画してくださった「旅とおてがみカフェ&展示&イベント」。このフライヤーは東さんがデザインした。「Les Cocotiers(レココティエ)」は東さんの作家名。
すごい偶然。お手紙をやりとりしていた子が暮らす国の、隣の国に暮らすことになったんですか!

東さん: いろんなことが急展開で、いつかは海外に行きたいと思っていたけれど、アフリカ勤務なんてびっくり。ただ、そんなに躊躇なく、アフリカに移住できたのは、ブルキナファソで暮らす子と、たった2通とはいえ、手紙でやりとりをしていたからかもしれません。

手紙のやりとりをしていた時は、「日本のほうが豊か」とどこか上から目線で、アフリカに対して「貧しくてかわいそう」というイメージを持っていました。でも、実際に暮らしてみたら、全然違う印象を持ちました。その国にはその国の文化があって、生活を楽しんでいるのだと気づいたからです。

日本のような先進国の「金銭や物質的に豊かになったら幸せ」という価値観からすると、「貧しくてかわいそう」なのかもしれません。でも、日本では常に時間に追われてあくせく生活しているけれど、アフリカでは時間がゆったり流れています。自然も身近で、暮らしの中に当たり前のように音楽もあります。

私には、日本よりアフリカのほうが、豊かなんじゃないかなと思えたんです。

手紙のやりとりを通して、アフリカに興味を持っていたから、アフリカで暮らすことになった時、何も知らずに行くよりもさまざまなことを感じたり思ったり考えられたりすることができたのかなと思います。
(2019年9月取材)
※お話をうかがって

中高生の頃、雑誌で文通相手を見つけて、文通していたことを思い出しました。

行ったことのない町の、会ったことのない人とのやりとり。「どんな人だろう?」「その人の暮らすまちは、どんなところなんだろう?」とドキドキわくわく、想像していました。それは「家と学校だけ」という日常の世界を広げてくれる出来事だったように思います。

今はもうやりとりをしていなくても、「そういえば、昔、文通していた人が住んでいたまちはこのへんだったな」など、未だに思い出せることがあり、近くを通ると、感慨深いものがあります。

また、行ったことのないまちであっても、「昔、文通していた人が住んでいたまち」というだけで、ちょっぴり特別になって、ニュースでその地名を聞くと、ふと気になることがあります。

少しの接点でも、出会い、つながることで、変わっていくものがあるんだなあと、東さんのお話をうかがって、自分自身の経験も思い出しながら、思いました。

次回は「気持ちに光を当てる編」として、東さんがピアノ伴奏をされている合唱団の卒団生からもらったお手紙から感じたことについてお話をうかがいます。
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レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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