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岡田 真結子 フラワーデザイナー/バーテンダー flower & bar Relier(ルリエ)
皆の日常に、植物がそっと寄り添ってくれることを願い、その時々の私なりのお花の楽しみ方や、花屋として植物と向かい合う中で気付いた素敵な発見をお話していきます。
季節を楽しむ花レシピ ライフスタイル 2018-09-21
花のちから
女性を笑顔にするものと言えば、1番はやっぱり恋人や家族、ペットなど愛する人の存在!

でも2番はきっと、お花だと思います。

私は大阪市内で花屋をしていますが、お花の仕事に携わってから今まで、沢山の女性がお花を見て「可愛い♪」と笑顔になるのを見てきました。

女性はお花を目の前にすると、何とも素敵な笑顔で微笑むのです。

そもそも私がお花の仕事に就いたのも、もちろんお花が大好きだったから。

子供の頃からよく道端の草花を摘んでは、家に持ち帰っていました。

「お花を摘んできたよ!」
と母にプレゼントすると、母はとても喜んで、空き瓶やグラスに入れて飾ってくれました。

それがきっと、お花で女性を笑顔にした経験のはじまり。

大好きな人が喜んでくれたり、自分が癒されたり。お花との関係は、そんな経験が積み重なって築かれていきました。
ここからは、私のお店で起こったある日のエピソード。

私のお店は、昼は花屋ですが、夜はBARとしても営業しています。

随分前のことですが、BARタイムに常連のお客様達とお喋りをしていたら、重い扉がゆっくりと開いて、女性がお1人でふらりと入って来られました。

「ここ良いですか?」
と声をかけ、カウンターに座ってお酒を注文されれたのですが、初めてお会いする方だったので、私を含め、その場にいた面々が、

「お仕事帰りですか?」
「この近くにお住まいなんですか?」
など、早速色々な質問を投げかけました。

すると女性は、
「えぇ、まぁ仕事のようなもので大阪に来ました。今日は近くのホテルに泊まります。」と答えるに留まったので、

私はハッとして、
『あれっ、これは、あまり話したくない事をあれこれ聞いてしまったのかもしれない・・・。』

と質問を終わらせ、他の他愛もない話・・・例えば酔っぱらって失敗したエピソードなどを皆で披露しあって、大笑いしました。

そうして閉店時刻を迎えたので、帰られる皆を見送ったのですが、その女性が次にまた大阪に来られる機会があるのかどうかは、聞けないままでした。

お店って、何時に誰がやって来るなんて分からない事が殆どだから、基本は待つという受け身の立場です。

でもやっぱりここで会えたのなら、またもう一度会いたいと思うから、そんな気持ちを抱いて、いつもお客様が帰る姿を見送っています。

今回の出会いも、“再び”がある事を願いながら、ホテルへと帰られる後ろ姿を見送りました。

そしてそして!
それから程なくして、嬉しい事に、またその女性がご来店下さったのです。

“あぁ、良かった!前回色々質問してしまった事は、迷惑じゃなかったんだ!”と、心の中で万歳して喜んだのですが、ここはひとつ平静を装い、その手をそっと降ろして(イメージです)、

「この間はお仕事か何かで大阪に来られたと仰っていましたね。今日もホテルにお泊りですか?」と、以前聞いた事を引用して尋ねました。

すると、他にお客様がいらっしゃらなかったせいか、「この間はそのように言ったけど、本当は・・・」と、ご自身の事をお話しして下さいました。

その内容は、ご主人の転勤で大阪を離れられたのだけど、大阪にいらっしゃるそれぞれのご両親の体調が優れず、お仕事を休めないご主人は自宅に残り、お1人で毎週のように新幹線で大阪に通い、ご両親のサポートをされているということでした。

以前お話しされなかったのは、やっと一息ついた1人の時間だから気持ちを切り替えたかったとか、お酒を飲んで既に盛り上がっているその場の雰囲気を変えたくなかったとか、それらは私の憶測ですが、きっとそういった理由だったのだと思います。

でも、こうして1対1だとほろっと話しがこぼれ出るように、自分の中で留めておくのが辛い事も日々起こっているはずで、それなのに、

「今日はこんな事があってね・・・。」
と、ずっと笑顔でお話しされるその方を見ていると、なんだか胸が苦しくなりました。

どんな言葉をかけて良いのかも分からず、その時の私は、深刻そうな顔をしないようにして、ただ話を聞いているだけでした。

数時間後にやって来るその女性の明日が、どんな1日なのか分からないけど、

「よし、今日も1日が始まる!」
と前を向いて1歩を踏み出せるように、何か出来る事は無いか・・・。 そう思って手にしたのは、1本のバラでした。

バラは、私が一番好きな花。
「じゃあそろそろ帰ります。」
と席を立たれたその女性に、
「良かったらホテルに滞在している間だけでも飾って下さい。」と渡したそのバラは、その女性を一瞬で輝く笑顔にしてくれました。

もう、本当に一瞬で。

私はあの時の笑顔を、今でも時々思い出します。女性を笑顔に変える、花のちからを見た瞬間でもありました。

扉を開けても誰もいないホテルの部屋で、今日あった事を思い出しながら1人で過ごすというのは、きっと心細いに違いない。

温かみのある生きたお花の存在が傍にあれば、心細くなるところだった時間は、“お花が飾られたお部屋で過ごす”という、ちょっと特別な時間へと変わる。

少し勝手な想像も入っていますが、そんな時間を過ごして欲しいという私の想いは、届いたようです。

その女性が3度目に来て下さった時に、

「この間頂いたバラ、次の日にホテルを移動した時も持って行ったんですよ。大阪にいる間、綺麗に咲いてくれました。」

と教えてくれました。それはとても嬉しい報告となりました。


・・・ほら、誰かにお花を贈りたくなってきませんか??

女性を笑顔にする花のちからを、是非その目で見て体験して下さい。

これからお勧めのお花は、バラ園などでも沢山蕾を膨らましている、これからまた旬を迎えるバラと、夏の間はすぐにしぼんでしまい痛々しかったダリアが、涼しくなって“待ってました!”とでも言わんばかりに、凛と咲き誇っています。

繊細なお花が好きな方は、秋明菊やホトトギスなどのお花がお勧め。

まるで小さなアネモネのような秋明菊の花や、ホトトギス(鳥)の背中の模様みたいなホトトギスの花は、じっくり眺めてみると、とても興味深いです。

もう少しすると、お花屋さんはハロウィンのかぼちゃ、そしてクリスマスの針葉樹でいっぱいになりますから、是非その前の、今の時期のお花を楽しんで下さいね。
皆の日常に、植物がそっと寄り添ってくれることを願い、その時々の私なりのお花の楽しみ方や、花屋として植物と向かい合う中で気付いた素敵な発見をお話していきます。
岡田 真結子
フラワーデザイナー/バーテンダー
Relierが作る作品や空間は 植物の持つ美しさを最大限に引き出す事を、何よりも大切に考えています。 大輪の花や丸いフォルムの花、シフォンのように柔らかい花びらや、 香水のように甘い香りを放つ花。 美しさに驚きと感動をプラスして、五感で感じるお花をご提案します。
flower & bar Relier ルリエ
〒550-0001大阪市西区土佐堀1丁目6-10 土佐堀トキワビル101
定休日:土・日・祝日(土曜日はレッスンのみ)
TEL:06-6131-4623
HP:http://relier-fleurs.com/  
BLOG:http://ameblo.jp/fleur-relier
FB:fleurRelier
instagram:flowerandbarrelier

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