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小森 利絵 フリーライター えんを描く
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
おてがみじかん ライフスタイル 2018-10-26
お手紙とわたし~楢村久子さん編②~
私のまわりにいる「日常の中でおてがみじかんを楽しんでいる人」にインタビュー。2人目は楢村久子さんです。お手紙の思い出や楽しみ方、お気に入りアイテムなどについてうかがったインタビューを3回に分けて紹介しています。

前回は「気楽に楽しむ編」として日常でどのようにお手紙を楽しんでいるのかをうかがいました。第2回目は「多彩なツールで楽しむ編」です。

楢村さんと私の出会いはインターネット上でした。15年ほど前からご自身でホームページやブログを開設するなど、アナログだけではなくて、デジタルな世界も楽しんでおられます。

お手紙だけではなくて、メールにライン、メッセンジャーとさまざまなツールでコミュニケーションを楽しんでおられる楢村さんに、それぞれの使い分けや多様な方法を選べるからこそのおもしろさについてうかがいました。
楢村さんはさまざまなコミュニケーションツールを楽しんでおられる印象があります。インターネット上での出会いが、お手紙やリアルでのつながりにもつながっていますね。
楢村さん:インターネットでつながって、メールやお手紙などでやりとりを重ねた後、初対面するようになったはじまりは図書館で見つけた1冊の本です。障害のあるお子さんを育てているお母さんが出版された本でした。

これまでならどんなにおもしろくても編集部に感想のお手紙を送るなどしなかったのですが、その本には作者のホームページアドレスが記載されていて、たまたま携帯電話でインターネットが閲覧できるようになったタイミングだったから、ホームページをちらっと覗いてみることにしたんです。

すると、メールアドレスが載っていて、ご本人に直接メッセージできるならと感想を送ってみたところ、お返事をもらってメールでのやりとりが始まりました。

私も趣味で自分のホームページを持つようになると、お互いのホームページを訪問して交流するようにも。そのうち、実際に会うようにもなって、年賀状を送り合うようにもなったんです。

彼女のホームページを通して出会った人もいて、その人とはお互いの子どもが小さい頃はクリスマスカードを贈り合ったり、お子さんが所属する合唱団の公演があると聞いた時には旅行も兼ねて会いに行ったりしました。

インターネット上で出会って、メールやメッセンジャーもするし、お手紙も書くし、実際に会うこともある人は結構います。
メール、ライン、メッセンジャー、お手紙とそれぞれ、どんな使い分けをされていますか?
楢村さん:メールやメッセンジャー、ラインでしかつながっていない人なら、そのツールでやりとりしますが、住所も知っている人だったら、その時々で使い分けています。

ラインやメール、メッセンジャーは、待ち合わせなど即日連絡する必要がある時や返事がほしい時に使います。1対1ではなく複数人に送れるのも便利。切手や便箋がなくても、携帯電話があればパパッと書いて送れますから、お互いに気軽です。あと、画面上だから書き直しもしやすく、じっくりと考えて送れるところもいいですね。

一方、お手紙は「わざわざ感」があります。便箋や切手を選んで、メッセージを書いて、郵便ポストに投函して、それを郵便局員が集配して、相手の家に届けてくれます。日数がかかりますし、いつ届くのかもわかりません。だからか、手紙って強制力がないのもいい。

お手紙を受け取った時は「返事を書こう」と思うかもしれないけれど、メールなどが普及してからは急ぎの用件はほとんどお手紙ではこないから、忘れていても良心の呵責がありません。送るほうも返事が来たら嬉しいなあと思いますが、来なくてもいいという気持ちがあります。
「お手紙って強制力がない」とは、まさにそうですね。
楢村さん:極端な話「お手紙が届く」ということだけ伝わればいいのかなって。送ることで、「元気?」「私は覚えているよ」と呼び掛けることになるのかなと思っています。

学生時代の友だちが「あなたがいつもお手紙をくれるのがすごく嬉しかった」と言ってくれたことがありました。自分が嬉しかったから、彼女もある友だちにお手紙を書き続けたことがあったそうです。

返事が来なくても送り続けていたら、ある日「体調を崩していたらから返事を書けなかった」「お手紙が届いていたことで、この人だけは私のことを覚えてくれている、つながっていると感じられて励みになった」と連絡があったそうです。そういうこともあるんだなあと思いました。

実は今、私も、返事をくれていた友だちから何も連絡が来なくなって心配しています。もともと丈夫な方ではなかったから、「病気など何か事情があって書けないのかな」「大丈夫かな」と年賀状は必ず書くし、折々に触れてお手紙を出すようにしています。宛先不明で返ってくるなり、ご家族から何か連絡があるまでは、お手紙を出し続けようと。

返事をしなくても読んでくれているだけでいいし、「あの子はあいかわらず元気にやっているんだな」と思ってくれるだけでもいい。反対に読まないで捨てる人もいるかもしれないけど、迷惑ならそのままポイッとされてもいい。

自己満足だけど、私にとってお手紙を書くことは、「気にしているよ」というメッセージを送ることでもあるんです。
今までもらった中で、印象に残っているお手紙を教えてください。
楢村さん:高校時代に初恋の男の子からもらった2通のお手紙です。彼は火事で全身にひどいやけどを負ってしまい、高校2年生の時に亡くなりました。

1通は入院中にくれたお手紙で、彼の直筆ではなく、付き添いの人が書いてくれた代筆です。彼が入院してから2回ほどお見舞いに行ったことがあって、「またお見舞いに行ってもいいですか?」と連絡したら、その時は身体の具合が悪かったようで断られてしまいました。

その後「『ましになってきたので、来てほしい』と言っています。『歩けるようになったら電話したい』と言っているので、電話番号を教えてくださいね」と代筆のお手紙が。でも、彼からの連絡はないまま、彼は亡くなってしまいました。

もう1通は彼が火事に遭う前に書いてくれたものです。「バレンタインの時はチョコレートをありがとう。今は引っ越したらから会う機会が減ってさみしいよ。休みの日に万博に行こう」って。

彼とは小学校の同級生で、たぶん好き同士だったんですが、「好き」なんて言い合ったこともなくて、手をつないだことも、デートをしたこともありません。高校生になって学校は別々になりましたが、約束もしていないのに、だいたいの時間帯にいつもの場所で待ち合わせては駅まで一緒に行っていました。

もし彼が生きていたら、お手紙にある「万博に行こう」というのが初めてのデートになったのかもしれません。

これまでにも彼のことは何度も思い出すことはあったのに、このお手紙をもらったことは覚えていませんでした。この取材を受けるに当たって、昔もらったお手紙を入れているだろう缶の箱を探っていたら、見つけたんです。封筒の文字を見ただけで、「あの彼からだ。お手紙をもらっていたんだ」って。

メールはよっぽどのことがない限り、印刷して保管しないから、データが消えてしまうこともあるけれど、お手紙ってこうやって残るんだなあと思いました。もう50年近く前にもらったお手紙なのに、読み返した瞬間、当時のことをふわっと思い出して、このお手紙はずっと手元に持っておこうと思います。
(2018年6月取材)
楢村さんが「印象に残っているお手紙」として、もう1通。私の娘からのお手紙を挙げてくださいました。

「まだ、こもさん(私)ともお会いしたことがなかったけれど、ちえちゃんのことはおなかの中にいる時から知っているから、その子からお手紙がもらえるというのはすごく感慨深いものがありました」と楢村さん。

楢村さんとはインターネット上で出会い、その後ホームページの掲示板やメール、メッセンジャーなどさまざまなツールでつながってきました。出会って15年近くが経ちます。

こうしてずっとつながってこられたのは、「楢村さんだったから」ということと、さまざまなツールを使ってその時々でやりとりしてきたことも大きかったのではないかなあと思ったんです。

この15年の間に、ホームページも、ブログも、メールアドレスも複数回、変わりました。

楢村さんのほかにもインターネット上で出会った人たちはいますが、中には連絡が取れるメールアドレスがわからなくなって連絡が取れなくなった人もいますし、フェイスブックなどSNSでつながっていても交流がなくなってしまった人もいます。

そんな中で、楢村さんとは今でもインターネット上で交流することもありますし、お誕生日にはお手紙をやりとりしますし、「おてがみ部」ではお会いすることもあります。

こうしてつながって交流できているということは、要因の一つに、さまざまなコミュニケーションツールでつながっていたこともあるのではないかな、それによってお互いのさまざまな面を共有することができたのではないかなと楢村さんのお話をうかがって思ったんです。

次回は「お気に入り編」として、楢村さんにお気に入りのレターセットやハガキ、切手などを教えてもらいます。
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レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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