HOME  前のページへ戻る

池田 千波留 パーソナリティ、ライター 香のん
(←プロフィールは写真をクリック)宝塚歌劇の魅力にぐいぐい迫っていきます!
タカラジェンヌ歳時記 趣味・カルチャー 2015-03-20
夢の扉をひらく 宝塚音楽学校入学試験
今年101年目の宝塚歌劇団。
それだけの歴史を紡ぐことができた理由はいくつかあるでしょうが、
なかでも宝塚音楽学校の卒業生でのみ構成されていることは大きな要素だと思います。

長い人生の中で、宝塚音楽学校を受験する資格があるのは
中学3年生から高校3年生までで、最多でも4回だけ。
いくらレッスンを積んで実力を備えたとしても、
それ以外のタイミングでは宝塚音楽学校の入学試験を受けることができません。
その限りあるチャンスに賭ける少女たちの気持ちは切実で
あるOGなどは
「もし4回受けても合格できなかったら
他の人の戸籍を借りてでも受けたいと思った」と語っているほどです。

もし宝塚歌劇団がスカウトやオーディション制で随時入団できるとしたら、
多くの少女たちが、ここまで物狂おしく情熱を傾けたでしょうか。
また、合格後、2年にわたる厳しいレッスンや指導に耐え
自分を向上させるモチベーションを保てたでしょうか。
私は「否」と思います。
宝塚歌劇という夢の舞台に立つための、文字通り狭き門。
3月の「タカラジェンヌ歳時記」は宝塚音楽学校の入学試験に注目します。

宝塚音楽学校の入学試験は毎年3月中旬から下旬までに行われます。
定員は毎年40人程度。
(大阪で万国博覧会が開催された1970年に初舞台を踏んだ56期生は72人でした)
先に書いたように、受験のチャンスは最大4回。
「受験時に中学卒業あるいは高等学校卒業又は高等学校在学中であること」という受験資格、
かつては「高等学校在学中であること」という文言はありませんでした。
そのため最初の受験に失敗したあと、高校に進学せず、
宝塚音楽学校1本に絞ってレッスン三昧で過ごす「宝塚浪人」も存在しました。
しかし宝塚音楽学校の競争率は平均で約20倍(最高記録は48.2倍)。
浪人したからといって合格できるとは限りません。
受験資格の条項を加えて浪人を禁止したのは、受験者の将来を考えた配慮と言えます。
また、受験資格の最後には他の学校ではまず見られない条項が添えられています。
「容姿端麗で、卒業後宝塚歌劇団生徒として舞台人に適する方。」
私は中学3年生の時、阪急電鉄の駅に貼られていた宝塚音楽学校の募集ポスターを発見。
この1文を読んで、その場で「私は宝塚歌劇団に入る人じゃなくて、見る人だ」と納得しました。
(「容姿端麗で」という項目は強烈すぎました)

入学試験は1次から3次まで。
第1次試験は、面接のみ。
第2次試験は声楽・バレエ・ダンスの実技試験。
第3次試験では、質疑応答の面接と健康診断が行われます。
2次試験・3次試験はそれぞれ1次・2次試験の合格者が対象で、
3次試験に合格してようやく宝塚音楽学校に入学できるのです。

試験はどの科目も、バレエの稽古着での受験が義務づけられています。
具体的には黒いレオタード丸首七分袖。
スカートなどが付いていないシンプルな形のものです。
足元は、フーター付ピンクタイツ、ピンクバレエシューズ着用。
フーター付とは、つま先部分まである普通の形のタイツのことです。
髪型にも規制があり、額の生え際と耳を隠さないように上げるかピンでとめて、
後ろで束ね、シニヨン(おだんご)か三つ編みにすること。
リボンや髪留めは使用不可。化粧もしてはいけません。
要するに、コスチュームを統一し、ヘアアクセサリ、メイクを禁止することで、
ごまかしが効かないようになっているのです。
持って生まれた資質をそのまま査定されるわけで、
15歳から18歳の多感な少女たちにとって過酷な試験といって良いでしょう。
努力を積み重ねた上に、このような緊迫した試験を経験した人たちはきっと、
合否に関わらず、何か得るものがあるはずです。
とはいえ、想像はできても、その場に居なければ本当のところはわかりません。

このあとは、宝塚歌劇団OGの方3名の体験談をご紹介しましょう。
ご協力いただいたのは写真、向かって左から 英マキさん、梢真奈美さん、真於夏希さんです。
英 マキさん(第66期生 星組 男役)
知人の「絶対に芸能界に向いているよ」という勧めを受け、
小学5年生から中学3年生まで毎週日曜日に「宝塚コドモアテネ」(*注1)に通って、
日舞・声楽・クラシックバレエを習っていました。
でも、それはあくまでも習い事のつもりで、宝塚音楽学校を受験する気はなかったのです。
ところが、中学3年生の秋に同じくアテネに通っている友達の勧めで受験を決意しました。
ですから、純粋に宝塚音楽学校受験対策に取り組んだのは4ヶ月間ということになります。
受験で覚えているのは会場が寒かったこと。
他のお稽古場や受験スクールからきている大勢の受験生を見てワクワクしたりして、
受験自体は楽しかった記憶があります。
中学卒業時に受けた、1回目の受験で合格しました。
若かったし、宝塚のことをよくわからずに受験をしたので、
勢いがあったのが良かったのかもしれません。
現在は宝塚受験スクールの講師をしています。
宝塚音楽学校を受験される方にお話ししたいことはたくさんありますが、
その中から一つ、いつも生徒に伝えている言葉を贈りましょう。
「強い体には強い精神が宿ります。
心身ともに万全の状態で臨めるように『手洗いうがいを忘れずに!』」

梢 真奈美さん(第66期生 花組 娘役)
私は高校1年生の時に、宝塚音楽学校の別科(注2)に1年通って、
日舞・声楽・クラシックバレエを習いました。
別科には平日の夕方(高校の授業が終わってから)、週に5日通ったのです。
そして高校1年終了時に受験しました。
体調管理にはとても気をつけていたのに、当日は緊張のせいか喉にできものが出来て、
声が出にくくなってしまったんです。
それに、他の受験生を見て「きれい!」「うまい!」と打ちひしがれ、
自信をなくしてしまいました。
ただ試験科目では(ダンスの)振りを間違えなかったし、
新曲(その場で与えられる歌の課題)も、楽譜を正しく読むことができました。
試験が始まる前には、足の血色がよく見えるようにと
クリームを塗ってマッサージをしたりしました。
(後年、試験時にタイツ着用が指定されるようになったが、この頃は素足で受験)。
実は、両親は宝塚音楽学校受験を反対していて、受験はこの1回だけと約束していました。
面接で「今年不合格だった場合は来年も受験しますか?」と聞かれたとき
「両親との約束があるので今年の1回限りです」と答えたのが良かったのか、
合格しました。
宝塚音楽学校の受験生に伝えたいことは、妥協をせずにやりたいと思ったことは貫いてください、
ということ。落ちてから後悔するともったいないです。
頑張って下さい。
 
真於 夏希さん(第78期生 花組 娘役)
私は3回目の受験で合格しました。
初めて受けたのは中学卒業の時。
自宅が遠いので、前日から宝塚ホテルに泊まったのですが、空気が乾燥しないよう、
ポットで加湿した記憶があります。
当日は初めての受験でドキドキしながらも、
試験のお手伝いをされている本科生を間近に見て、美しさにうっとりしました。
黒いレオタードなのに、ピンクのモヘアのカーディガンを持ってきてしまって
(待機時間は防寒具を着用できる)、
レオタードに毛糸が付いているのが気になり、失敗。
一次試験は合格したのですが、二次試験で落ちました。
 
一年間、しっかりレッスンをして高校1年終了時に2度目の受験に臨みました。
同じバレエ教室出身で先に合格していた本科生が、新曲を見る時間を少し長くしてくれたり、
少しでも綺麗に見えるように頬紅を塗らせてくれたりしました。
ところが歌を間違えて舌を出してしまう大失敗をして、また二次試験で落ちてしまったのです。
ショックで失望して、宝塚からしばらく遠ざかることになりました。
 
高校卒業時に3度目の受験をしました。
宝塚熱は冷めていたのですが、ラストチャンスなので受けたのです。
宝塚音楽学校の試験では特技を披露する時間があります。
しなくても合格した人を沢山知っていたし、特技をしても落ちた人も知っていたので、
私は何もしませんでした。
また、最終面接で「大学は決まっていますか?」と聞かれたとき、
すでに大阪芸大に入学がきまっていたので正直に「はい」と笑顔で答えました。
それでも合格させていただいて、
今では本当に宝塚に入学させて頂けて良かったと感謝しています。

余談になりますが、私は本科生の時に試験のお手伝いでバレエの見本をさせて頂いたんです。
バレエの見本の生徒だけ、豪華弁当を出してもらいました。
宝塚音楽学校を受験されるかたは、辛いダイエットをしたり夜遅くまでレッスンに行ったり、
学校生活とレッスンを両立させるなど、大変な努力をされていると思います。
私も宝塚に入りたくて、夜に一人しくしく泣いた事もありました。
今まで積み重ねてきた努力を自信にかえて、
試験で100%の実力を発揮出来るように頑張ってくださいね。
宝塚では、笑顔で明るく元気にハキハキする事が好まれます。
桜咲く季節に、皆様の大きな花が咲きますように…お祈りしています。

以上、宝塚歌劇団OGのかたたちの貴重な体験談をご紹介しました。
今年の第1次試験は東京会場が3月20日(金)、宝塚会場は3月23日(月)。
2次試験はそれぞれ3月25日(水)、26日(木)。
第3次試験(宝塚会場のみ)は3月28日(土)と続きます。
今年の受験生だけでなく今後目指す方にも、少しでも参考になれば幸いです。
なお、平成21年度から入学試験の方法が変わっています。OGのかたの体験談とは
異なる状況もありますので、受験される方はくれぐれも現在の募集要項をご確認ください。

注1 宝塚コドモアテネ
宝塚音楽学校が小学校4年生~中学生の少女を対象に行っている日曜教室。
目的は音楽・舞踊等の指導を通して子供達に明るさと楽しさを与え社会性を養うこと。
宝塚音楽学校の校舎で、宝塚音楽学校の講師陣から声楽・バレエ・日本舞踊の指導を受ける。
宝塚コドモアテネ出身のトップスターは甲にしき、榛名由梨、真矢みき、匠ひびき。

注2 別科
宝塚音楽学校が中学3年~高校3年生までの女性を対象に行っていた予備校的存在。
月曜~金曜日の夜間、宝塚音楽学校の校舎で宝塚音楽学校の講師陣から
声楽・バレエ・日本舞踊の指導を受けた。現在は廃止されている。
別科出身のトップスターは汀夏子、涼風真世がいる。

【参考資料】
募集要項など 宝塚音楽学校ホームページ 「生徒募集について」

【取材ご協力】
宝塚ローズ倶楽部 様
元宝塚歌劇団 英マキ様
元宝塚歌劇団 梢真奈美様
元宝塚歌劇団 真於夏希様

池田 千波留  タカラジェンヌ歳時記  コラム一覧>>
趣味・カルチャー
春爛漫 初舞台
趣味・カルチャー
タカラジェンヌと節分
おすすめのコラム
趣味・カルチャー
春はあけぼの。星は昴。
樋口 陽子
星空案内人
yoppie sty…
趣味・カルチャー
立春の頃の恋人達
樋口 陽子
星空案内人
yoppie sty…
趣味・カルチャー
冬のダイヤモンド
樋口 陽子
星空案内人
yoppie sty…
コラムのジャンル一覧



@kansaiwoman

参加者募集中
イベント&セミナー一覧
関西ウーマンたちの
コラム一覧
BookReview
千波留の本棚
チェリスト植木美帆の
[心に響く本]
橋本信子先生の
[おすすめの一冊]
キュレーター八津谷郁子の
[大人も楽しめる洋書の絵本]
小さな絵本屋さんRiRE
[女性におすすめの絵本]
手紙を書こう!
『おてがみぃと』
本好きトークの会
『ブックカフェ』
絵本好きトークの会
『絵本カフェ』
手紙の小箱
海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
海外暮らしの関西ウーマン(台湾)
海外暮らしの関西ウーマン(イタリア)
関西の企業で働く
「キャリア女性インタビュー」
関西ウーマンインタビュー
(社会事業家編)
関西ウーマンインタビュー
(ドクター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性経営者編)
関西ウーマンインタビュー
(アカデミック編)
関西ウーマンインタビュー
(女性士業編)
関西ウーマンインタビュー
(農業編)
関西ウーマンインタビュー
(アーティスト編)
関西ウーマンインタビュー
(美術・芸術編)
関西ウーマンインタビュー
(ものづくり職人編)
関西ウーマンインタビュー
(クリエイター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性起業家編)
関西ウーマンインタビュー
(作家編)
関西ウーマンインタビュー
(リトルプレス発行人編)
関西ウーマンインタビュー
(寺社仏閣編)
関西ウーマンインタビュー
(スポーツ編)
関西ウーマンインタビュー
(学芸員編)
先輩ウーマンインタビュー
お教室&レッスン
先生インタビュー
「私のサロン」
オーナーインタビュー
「私のお店」
オーナーインタビュー
なかむらのり子の
関西の舞台芸術を彩る女性たち
なかむらのり子の
関西マスコミ・広報女史インタビュー
中村純の出会った
関西出版界に生きる女性たち
中島未月の
関西・祈りをめぐる物語
まえだ真悠子の
関西のウェディング業界で輝く女性たち
シネマカフェ
知りたかった健康のお話
『こころカラダ茶論』
取材&執筆にチャレンジ
「わたし企画」募集
関西女性のブログ
最新記事一覧
instagram
facebook
関西ウーマン
PRO検索

■ご利用ガイド




HOME