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バックスター ルミ バイリンガルライフコーチ RumiBaxter
私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2025-08-13
楽しむこと
8月も半ば、お盆の時期ですが、皆様いかがお過ごしですか。私は、この夏も、英語のクラスを通して、生徒さんと様々なやりとりを重ねています。授業での直接的な会話だけでなく、日々の出来事や小さな喜び、時には心の中のひだに触れることもあります。その中には、もちろん気持ちの交流や経験のシェアも含まれありがたいばかりです。

ある日、対面でいらっしゃる生徒さんからお母様のお話を伺いました。

お母様は九十七歳で大往生。私は直接お会いする機会こそありませんでしたが、生徒さんから時折聞かせていただくエピソードの中で、その方の人生がありありと浮かび上がってきていました。

コロナの前には碁の対局に定期的に出かけられていたそうで、その様子はまさに「人生の大先輩」としての輝きを感じさせてくださいました。人は生きるからこそ死ぬ。当たり前のことですが、その当たり前を改めて思う瞬間があります。ふと、映画『国宝』のセリフ「(曽根崎心中の)初として生きてへんから、初として死なれへんのや」が頭をよぎりました。

九十七歳、大往生のその方の人生からは、多くを教えられたように感じます。生徒さんのお話の中で、最も心に残ったのは、お母様が最後の三日間に残された感謝の言葉とアドバイスです。

「人生を楽しみなさい。」

これは、ご家族、親愛なる娘様への最後の贈り物であると同時に、間接的に受け取った私にとっても、深い意味を持つ言葉になりました。シンプルでありながら、実は難しい言葉です。これからの日々をもっと楽しもう、そう思わずにはいられません。最後に「ありがとう」とお礼を言って旅立たれたそうです。なんと素晴らしいことでしょう。

また、最終日にはお風呂にも入り、整えられた姿で臨まれた最期。病院でチューブにつながれることもなく、食事が取れなくなったその時まで、自分のペースで生き切られた。こんなにもかっこいい話を聞いたことがありません。それこそがまさに、尊厳のある人生の幕引きです。

「楽しむ」という言葉は軽やかですが、そこには覚悟や受け入れる強さが含まれているのだと思います。若い頃は未来をどう切り開くかばかりを考えてしまいますが、歳を重ねるほどに「いまを楽しむ」ことの価値が増していく。それは、時間が有限であることを知っているからこそ、より重く意味を持つ言葉なのかもしれません。授業を通して英語や表現を教えているはずの私が、気づけば多くを学ばせてもらっています。

今回も、生徒さんのお母様からの間接的なメッセージを通じて、「人生の最終章に向かってどう生きるか」というテーマを心に深く刻むことになりました。 誰もが避けられない別れ。その瞬間を、最後まで自分らしく、何より感謝を持って迎える人生でありたいと思います。そのためには、やはり「人生を自分自身が楽しむ」ことが必要なのだと思います。

これからも、日常の小さな喜びを大切にし、笑顔や感謝を交換しながら生きていきたい。そして、人生の最後に「ありがとう」と言えるように、一日一日を味わい尽くしたいと思います。
(※こちらの内容は担当生徒様の承諾をいただいた上で書かせていただいています)
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私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ

心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/

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