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あみ りょうこ 版画家 ninjacco
1982年大阪生まれ、兵庫育ち。メキシコのオアハカ州での暮らしを経て、2020年から日本に。 ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
AMIのAMIGO アート・芸術 2020-11-16
Vol.30 死者の日、の巻
オラー、こんにちは。あみりょうこです。朝晩が急に冷え込むようになりました。秋が深まってきて、木々の色が変わっているのもちらほらと見かけるので目でも季節が変わるのを楽しんでいます。

先月もそうだったのですが、「実際の行事が終わってから言う」というやつ。

本来なら、「もうすぐこういうことがあります、紹介します」というのが筋なのでしょうが、現地にいない今、向こうに住んでいるときに当たり前だと思っていた行事が日本にいるともはやそれは当たり前ではなく、少し距離のあるところからじいっと眺めるという状態です。

「熱量」とか「熱気」というのは自分が実際にいるときに最も感じるものですが、「想い」というものは実は遠くにいる方がより深く感じるものなのかもしれない、という風に最近は思っています。
さて、今月は「死者の日」について少し書いてみようと思うのですが、こちらは11月はじめの行事でした。メヒコの「死者の日」。年々世界中、そして日本でもその知名度が上がっているメヒコの行事です。

日本のお盆のように、ご先祖さまたちが帰ってくるのでそれを一緒にお祝いするというものです。日本国内でも、地域によってお盆のお祝いのされ方が違うように、メヒコでも地域によってそのお祝いのされ方は異なるようです。
ミチョアカン州のパツクァロ湖やオアハカなどの伝統がより色濃く残る地域のものが世界では紹介されているのでよく知られているのではないでしょうか。

数年前の映画「リメンバーミー」では、その伝統をより忠実に表現するためにオアハカで入念な取材がされたと聞いています。(映画が始まってすぐにオアハカらしき景色が目に飛び込んできて、私は開始2分ですでにうるうるしていました。笑)
オアハカに住んでいた時に「死者の日のお祭り騒ぎ感の上昇が、年々止まらない」、というのを感じていました。

街をあげてデコレーションしたり、パレードが行われたり、ガイコツの姿で練り歩いたり、ただむやみに大騒ぎする人たちを見ながら「死者の日ってこんな感じやったっけ?!」となにか、違和感のようなものを感じていました。

私がどうこう言うことではないので、ただもやもやとしたものが自分の中に渦巻いている変な感じでした。
ある年、なんとなくバスに乗って「この辺にお墓はありますか?」とたずねてお墓に足を運んだことがあります。ちょうど週末だったその年は、日曜日の昼下がりでお墓には人の姿がありました。

センパスーチル(マリーゴールド)やクレスタデガジョ(ケイトウ)の花でそれぞれのお墓が飾り付けられ、家族連れらしき人たちがお墓の前でピクニックさながらわいわい飲んだり食べたりいるのが印象的でした。
たぶん私の中にそういう死者の日の風景が根底にあったので、年々華美にとにかく派手に派手に変貌して規模を拡大する死者の日フィーバーについて行けてなかったのだと思います。

オアハカは観光の町なので、もちろんそういう特別な行事が御客を呼び込む資源になっていることは否定しませんし、そのことで町がにぎやかになっているのも確かです。

今年はコロナのせいでイベントは軒並みキャンセルで、人もまばらでさみしいもんよ、とオアハカの友だちが言っていました。
とはいうものの、死者の日が近づくにつれてInsgargamのフィードなどには死者の日関連の写真をぽつぽつと見かけるようになりました。

故人のために設置された祭壇や、何気ない風景がオアハカで見ていたそれたちよりも妙に心に刺さった気持ちでスマホを握りしめ、遠くのオアハカを想いました。
観光客がいてもいなくても、彼らは故人を偲んで優しく迎えるのです。今年も帰ってきた故人とともに良いひと時を過ごしたことでしょう。

帰ってきた故人たちは、「あれ?なんか静かやな、今年。え?コロナ??ソーシャルディスタンス?」と不思議がったのでしょうか。
先月くらいから新米を口にする機会が増えて、コロナやけどこうして自然はいつもと変わらずおいしいものを提供してくれるのだなぁ、としみじみした気持ちでおいしいお米をかみしめています。

自然や伝統の偉大さというかすごさやを通年よりも感じている2020年な気がします。気が付けば、今年のしっぽもそろそろ見えてくるのですね。

それでは、また次回!Hasta luego!
*写真はすべて昨年度以前のものです。
works
【今月の作品】
この季節は毎年必死のパッチでカレンダーをつくっています。

版を作って刷ってというのを全部手作業でしています。新しい年に願いを込めて。
profile
あみ りょうこ
版画家

1982年大阪生まれ、兵庫育ち。メキシコのオアハカ州での暮らしを経て、2020年から日本に。 ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
HP:https://amiryoko.wordpress.com/
instagram:ninjacco
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