関西で働く女性のライフスタイルマガジン［関西ウーマン］

年々暑くなるような関西の夏ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

夏休みという非日常は、世のお母さん方がさらに忙しくなる月でしょう。最近の観光客の戻った都心や観光地では、数々のイベントで賑わっていますね。また、私も含め、講師業にとっては夏休みは夏期講習に忙しい日々が続きます。

忙しさのせいもあってか、SNSで、さまざまな「つぶやき」を見るにつけ、色々な違った視点から吐き出された感情を発見します。感情が文字というフィルターを通して、その持ち主の手を離れ、SNSで一人歩きをすることすらあるようです。

そんな感情に同感したり、しなかったり、また嫌悪感すら抱いたり。文字には明確に人格というものが滲み出て、それを媒体として群れが発生し、一種のコミニティーを形成しているようです。

その基盤の源はやはり感情なのでしょうか。

感情と言えば、感情労働者　(emotional labor)という言葉をお聞きになったことはありますか？

肉体労働や頭脳労働とはずいぶん昔から言われることですが、サービス業というコンセプトに加わり、感情労働者は顧客、消費者に対し、満足感を与える事が求められていると言われています。

接客業とはクレーム対応をすることが当たり前となり、「顧客満足度」という言葉が頻繁に使われ、以前にも増して「感情労働」を使って対応を求められるようになってきているようです。

購入してもらうためには顧客を満足させなければならず、顧客の満足はもはや商品の質を超えた付加価値上にあるのであれば、感情労働者の苦悩は続きます。人間関係に公平性や平等性が失われる場合もあるからです。

教師、講師とは、医療従事者同様、まさに感情労働者と呼ばれる職業なのですが、教師として生徒、生徒を取り巻く人々の感情を直接受け取る場合が多々あります。「不可能はない」とは言われていても、物理的に不可能と思えるような願望を教師頼みにする場合もあれば、それとは真逆で謙虚に粛々と自ら課題に取り込む方々もいらっしゃる。

それは、生き方において、自力本願者と他力本願者に真っ向から分かれるからでしょうか。

21世紀になって、人は欲望を追求する事に貪欲になったとも言われますが、私たちはいつも顧客としての満足度を得るために、逆の立場の労働者達に十分なリスペクトを払っているかという事にはいつも気遣わなければいけないでしょう。それはどんな人間関係にも言えることだとは思いますが。

一つの例として、顧客の立場から、安さを消費者として追求するのであれば、それは無意識だったとしても搾取につながるという事を忘れてはいけないと思います。

逆に、感情労働者の一人として、自分の「サービス」に付加価値を見出してくれたであろう感想をいただくと、今後の大きな支えになります。レッスンを継続していただいている事は何よりもの励みになりますが、先日、隣の部屋でお子様と私のレッスンを「そっと聞いているだけで貴重な時間」とおっしゃってくださったお母様が感想を寄せてくださいました。

感情労働者にとって、何かのご縁で携わっているこの仕事、それを通して少しでもお役に立てる実感があったならそんな嬉しい事はありません。

結局は、感情労働に携わっている者にとって、人間味あふれるその職が好きであり、きっと天職なのでしょうから。

これからも自分のエモーションも含め、人の感情の理解への追求は続きます。