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94歳セツの新聞ちぎり絵日記(木村セツ)

新しいことを始めるのに年齢は関係ない

94歳セツの新聞ちぎり絵日記
木村 セツ(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回は、木村セツさんの『94歳セツの新聞ちぎり絵日記』をご紹介しました。

これが本当にちぎり絵なのかと目を疑ってしまう表紙の缶ビール。

しかも新聞紙のちぎり絵だなんて。

それだけでもびっくりなのに、作者が94歳と聞けば「すごい」としか言いようがありません。

木村セツさんが新聞ちぎり絵を始めたのはなんと90歳の時。

きっかけは2018年の年末、長年連れ添って来られた旦那さまが他界されたこと。

セツさんが気落ちすることを心配されたのでしょうか、ご長女がちぎり絵を勧めてくれたんですって。

年が明けた元旦にセツさんはちぎり絵を始めることになりました。セツさんのお誕生日は1月7日。2019年、90歳での ちぎり絵デビューとなったのでした。

セツさんはこれまで何か美術系のお仕事をしていたのかしらん、そうでなければ90歳から始めてこんなに上手にちぎり絵ができるとは思えません。

ところがプロフィールを拝見すると、そんなことは全くないのです。
1929年(昭和4年)生まれのセツさんは、戦争中は学徒動員により紡績工場で働きました。
戦後は銀行に勤めるも、家庭の事情で退職。

結婚後、3人のお子さんを育てながら、養鶏、喫茶店、農業などの仕事をされていたとか。

絵画に関することなど、何一つなさっていません。

それなのにセツさんが90歳で新しいことを始める決意ができたのは、お嬢さんが勧めてくれただけではなかったようです。

旦那さまが亡くなる少し前、一緒にご飯を食べている時に、突然誰に言うともなく「いくつになっても勉強せなあかん」とおっしゃったそうです。その時は「どうしてそんなことを言うんだろう」と思ったセツさんですが、あとで考えるとそれがまるで旦那さまの遺言のように思えたのだとか。そんなふうに受け止めることができるセツさんは素直な人だと思いました。

セツさんの日課を追ってみましょう。

毎日8時前に起床。

神棚にお供えをして1日をスタートさせます。

朝食後、2時間ほど ちぎり絵に専念。

12時半に昼食をとり、食後は約1時間半ほどお昼寝。

起床後、頭が冴えている日はここからまた2時間ほど ちぎり絵をする。

そんな毎日なのですって。規則正しいワ。

私なんて、油断すると朝からダラダラしてしまって、何もしないうちに「あらもうお昼?」っていうこともあるのに。お恥ずかしい。

セツさんのちぎり絵のモチーフは、日常普通に見かけるもの。

例えば餃子や卵かけご飯、アスパラガス、鮭のホイル焼きなど。

下絵を描いて、新聞紙の中から素材の色にぴったりの部分を抜き出して貼っていく、手も頭も使わないといけません。新聞紙面から絵の素材に適した色や風合いを見つけるのは簡単なことではありません。時には ちぎり絵のところどころに文字が入ってしまうことも。セツさんは、文字があっても絵の邪魔になるどころか、むしろ味わいになるように計算していらっしゃるようです。

こうして手先と頭を使って作品を生み出していくことで頭も体も活性化され、セツさんはいつまでも若々しくいられるのかもしれません。

また和紙や色紙をわざわざ買わずに、毎日届く新聞紙を使うのだから、新たにお金をかけずに続けられるのも素晴らしい。

まさに人生100年時代のお手本と言ってもいいのではないかしら。

お孫さんがイラストレーター・漫画家でいらっしゃるそうですから、セツさんご自身にもともと美術的な才能があったのかもしれません。いろいろなご職業を経て、その才能が90歳で花開くなんて素晴らしいことです。

私は今年(2023年)還暦なので、セツさんがデビューされた年まで30年あるんですよ。

その30年を大切に過ごして、90歳になったとき、何でもいいから新しいことにチャレンジしたいと思える自分になっていたいです。

ところで、この本にはちぎり絵作品だけではなく、セツさんの日常の写真も掲載されています。その中の一枚、初詣の写真を見て「あれ?この場所知っている!!」

それは奈良県桜井市にある、日本最古の神社 大神神社だったのですよ。

セツさんは奈良県桜井市生まれで、現在も桜井市にお住まいなのですね。

俄然、親しみが湧きました。

私は大神神社が好きで、コロナ禍前はよくお参りしておりました。

もしかしたら知らずにセツさんとすれ違っていたのかもしれません。

また、大神神社に行きたいです。そして「セツさんにあやかりたい」とお参りすることにいたしましょう。

セツさんのちぎり絵の作品本はこれが初めてではなく、90歳と91歳の時に出版されています。

それから94歳まで出版が飛んでいるのはコロナ禍の影響かもしれません。

今後、年齢を冠したセツさんのご本が何冊も発行されますように。

セツさん、お元気にお過ごしくださいね。
94歳セツの新聞ちぎり絵日記
木村 セツ(著)
里山社
90歳で始めた新聞ちぎり絵で一躍時の人になった木村セツさん。毎朝仏壇神棚に手を合わせ、ちぎり絵を作り、よく食べ、猫と遊び、まわりに感謝。94歳になっても変わらないルーティンとますますおいしそうな新聞ちぎり絵に、ほっとする時間の流れる日記作品集。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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