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「関東」と「関西」こんなに違う事典(日本博物倶楽部)

話のネタになる

「関東」と「関西」こんなに違う事典
知ってビックリ!
日本博物倶楽部(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、日本博物倶楽部『「関東」と「関西」こんなに違う事典』

テレビやSNSの普及で日本全国、いろいろなことに差が少なくなったとはいえ、関東と関西は言葉遣いも違えば、食事や生活習慣、ファッションなどいろいろな点で違いがあります。

また、そういうことが話題になると妙に盛り上がったりします。

この本は、そんな時の話題にできそうな東西のデータが集められたもの。「肉まんか豚まんか」「エスカレータは左右どちらを空けるか」「電車を待つ時のマナーの違い」などがジャンル分けしてまとめられています。

目次を紹介します。
1章 この味は譲れない?こだわりの「食」文化比較
2章 生活習慣」「レジャー、「日常生活」に見る違い
3章 「言葉・コミュニケーション」に見る東西気質比較
4章 「データ」に見る東西比較
5章 「商売・おカネ」もうけ方もこんなに違う
6章 「地理」で読み解く東と西
(日本博学倶楽部『「関東」と「関西」こんなに違う事典』目次より引用)
東西の違いはいろいろあるけれど、パッと見てわかりやすいのは女性のファッションの差ではないかと思います。

これに関しては、一つエピソードがあります。

私はみのおエフエムのパーソナリティーとして、2008年6月に、劇団四季『オペラ座の怪人』で支配人役のお一人だった青木朗さんにインタビューさせていただきました。

旧・タッキーブログ 2008年06月19日の日記

そのインタビューの中で私は青木さんに、東京と大阪のお客様の違いを質問しました。

というのも、オペラ座支配人が舞台上に設えられた2階のバルコニー席からお客の入りを見る場面があるのですが、劇中ではパリオペラ座の客席を見ている設定でありながら、実際は現実の劇場のお客様を見渡すことになるからです。バルコニー席からご覧になって東京と大阪のお客様に違いを感じますか、と。

すると青木さんは「東京と大阪では目に見えて違う」とおっしゃいました。続けて「大阪のお客様の方がハ…」とおっしゃりかけて、すぐに「大阪のお客様の方が華やかです」と言い直されたのです。 おそらく「大阪のお客様の方がハデ」と言いそうになったのだと思います。

私も観劇のために東京に行くと、劇場に来られている方たちのファッションが関西よりシックだな、と感じますもの。

この本の中で、関西のファッションは「メリハリを利かす」のが特徴と書かれています。 それは洋服に限らず着物でも言えると思います。

例えば、関西では、着物と帯を同系色ではなく反対色にすることが多いように感じます。例えば、水色とピンク、紫色と黄色というように。ところが着物雑誌などで関東の着物コーディネートを見ると、全体が同系色にまとめられていることが多いのです。関西の着物姿は帯の部分でパシッと印象が変わりますが、関東の着物姿はまるでワンピースのよう。帯で印象が分断されることがないのです。

その原因についてはこう書かれています。
また、大阪大学の鷲田清一教授はこう説明する。関西女性の派手なファッションは、自分がピエロになることによって相手に喜んでもらおうというサービス精神の表れではないかというのだ。
(日本博学倶楽部『「関東」と「関西」こんなに違う事典』P79より引用)
確かに関西人の方が何かとサービス精神が旺盛だとは思うけれども、ファッションに関してはそれだけではない気がします。

再び着物の話になりますが、江戸小紋など、関東の着物は「粋」であることが第一のように感じます。それに比べて関西は、友禅など華やかな柄と色合いを好みます。この差は、関東が武家文化、関西が公家文化が中心だったからだと言われており、それが現代の洋服にも反映されているのではないかと思うのですよ。のちにそこに関西のお笑い文化がプラスされ、余計に派手さを増したのかもしれません。

ところで、私は今回、この本をきっかけに着物における関東関西の違いを調べていて、一つの謎が解けました。

それは帯結びに関すること。

私は8歳から日本舞踊を習い始めました。お稽古着を自分で着るようになったため、小学生で半幅帯を自分で締めるようになりました。その後、おとなになってから着付けを習いに行って名古屋帯や袋帯も自分で結べるようになったのですが、どちらも体を中心にして、時計回りに帯を巻いていました。それが普通であり、唯一の方法だと思っていたのですが、先日、着物で宝塚観劇をした際、初めて締める帯に四苦八苦したのです。
この黒い帯を、いつも通りに巻いていくと、なんとお太鼓の模様が表ではなく裏側になってしまうではありませんか!どうして?!二度ほどやり直しても同じこと。柄が裏側になってしまいます。

ふと思いついて、いつもとは逆、時計と反対周りに帯を巻いて結んだところ、お太鼓部分にちゃんと柄が出てきました。

なんなのこれは!!

普段と逆の向きで帯を結ぶって難しいですね。左右の手の動きがいつもと違うだけで、悪戦苦闘。ものすごく着付けに時間がかかってしまいましたよ。

そういえば、昔、持っている帯の一つに同じことが起こり、すぐに作り帯に仕立ててしまったことを思い出しました。この帯も作り帯にしなくては、毎回こんなに苦労させられてはたまりません。でも一体、なぜこんなことが起こるのかしら?

その原因が関東と関西の差だということを今回知ったのです。

帯結びは関東は反時計回り、関西は時計回り、それぞれ「関東巻き」「関西巻き」と呼ぶんですって。どちらの巻き方にするかによって、表になる面が違うということで、私が苦労させられた帯は関東巻き用の帯だったんですねぇ。

帯によっては両面に模様が施されているものがあり、その場合はどちらの巻き方でも支障がありません。

次に帯を買うときには、関西巻きでちゃんと表に模様が出るかどうか確認しなくては。 「図書館だより」のおかげで、実生活に役立つ知恵がもらえました。

ちなみに、着物に関してもう一つ関東と関西に違いがあります。それは「女紋」。

普通女性は嫁ぎ先の紋を使用することになるわけですが、関西では女親から娘へと紋を受け継ぐ風習があります。私も喪服、留袖、色留袖には女紋を入れてもらっています。

自分が関西人だからでしょうか、この本で関東とのいろいろな違いを知るにつけ「ああ、関西人で良かった」と思います。こういう自己肯定力が強すぎるのも関西人の特徴かもね。 ビバ!関西!
「関東」と「関西」こんなに違う事典
知ってビックリ!
日本博学倶楽部
PHP文庫
「巨人VS阪神」「肉まんVS豚まん」「東大VS京大」の仁義なき戦い、「肉じゃが」における牛肉・豚肉論争、「アホ」の微妙な使い分け…など、今も暮らしの中に根強く存在する「関東」と「関西」の違い。本書は、言葉・習慣に見る東西気質の比較から、誰もがこだわる「食」文化、東西別データに見る意外な事実までを徹底紹介。会話が弾むおもしろ&役立ちネタが満載の決定版!文庫書き下ろし。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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