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老いる自分を許してあげる。(上大岡トメ)

他人事ではない

老いる自分をゆるしてあげる。
上大岡トメ(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、上大岡トメさんのコミックエッセイ『老いる自分を許してあげる。』

著者の上大岡トメさんは50歳前後で、体調に大きな変化があったそうです。

喘息になったり、小さな字が読みにくくなったり、顔のシミ、たるみが気になったり、膝が痛くなったりetc.

「身につまされる」とはこのことでしょうか。思わず「あら?私のこと?」と思ってしまいましたよ。

人間誰しも歳をとります。

しかし、本当のところ「齢をとる」とはどういうことなのでしょう?

単に、一年間生きて次の誕生日を迎えた、ということではないはず。

このコミックエッセイでは、80歳を超えた、ちょっと不思議なおばあちゃん「アンさん」が上大岡トメさんと読者をナビゲート。

「齢をとる」ことをいろいろな角度から教えてくれます。

目次を参照してみましょう。
第1章 「齢をとる」ってどういうこと?
第2章 骨も齢をとる
第3章 筋肉も齢をとる
第4章 感情も齢をとる
第5章 さぁ、50歳からの人生を作ろう!
(上大岡トメさん『老いる自分をゆるしてあげる』 の目次より引用)
齢をとると骨がもろくなったり、筋肉が細くなったり……。

この章の中で印象に残ったのは「筋肉に『過去』はないの あるのは『今』のみ」というアンさんの言葉です。

「昔運動をやっていたから」
「昔鍛えていたから」

なんてことは筋肉には通用しないんですって。

筋肉は「今」動かさないとだめ。

逆に言えば「今」動かせば、高齢になってからでも筋肉を育てられるということです。

筋肉を育てると言っても激しい運動をする必要はなく、きちんとした姿勢で正しく歩くだけでも効果があるとのことで、ちょっと安心しました。

ぎくっとするのは「感情も齢をとる」という章。

齢をとるとやたら怒りっぽくなったり、やる前から諦めてしまったりするのは「感情が齢をとった」ということなのかも。

いやーん、なんとか改善したい、いつまでも若々しくいたい!

もちろんこのコミックエッセイでは、より良い老後を迎えるためのエクササイズや心構えを教えてくれるのですが、その第一歩として、アンさんはこういうのです。
「まずは老いていく自分のカラダをゆるしてあげて」
(上大岡トメさん『老いる自分をゆるしてあげて』P 136より引用)
老化をネガティブなものだと思わず、自然な流れなのだと、まずは受け止めること。

そのあとで、よりよく生きられるように生活を整えていくことが大切だということなのでしょう。

年齢に抗うアンチエイジングではなく、老いとの「共生」と言えるかもしれません。

体からのシグナルを見逃さず、早めにこまめに養生し、好奇心を持ち続けながら生きていく……

私もアンさんみたいなおばあちゃんになりたいものです。
老いる自分をゆるしてあげる。
上大岡トメ(著)
幻冬舎
やりたいことやって、安心して齢とろうよ。怖がらない、拒否しない。50歳からの「自分」をうまく取り扱う。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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