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星守る犬(村上たかし)

泣けて仕方がない漫画

星守る犬
村上たかし(著)
1月14日、タロジロの日の「昭和通二丁目ラジオ」で、動物が出てくる作品(映画、ドラマ、小説など)を教えてくださいというメッセージテーマを設定したところ、この本を教えてくださった方がおられました。

そういえば、西田敏行さんで映画化されてことは知っていましたが、原作も映画も見ていません。

何の予備知識もなく読み始めたのですが、最後はもう涙涙。久しぶりに、エグエグ声が出るほど泣きました。

この本は漫画で、表題の『星守る犬』と『日輪草』の二つの話が収められています。
夫婦と娘3人暮らしの家族。まだ幼かった娘が捨て犬を拾ってきた。ハッピーと名付けられたそのわんこの散歩をしてくれるのは父親だ。

平凡で穏やかな家庭だと思っていたが、夫は持病が悪化し、職を失った。そしてある日、妻が離婚を申し出る。いわゆる熟年離婚だ。

住んでいたマンションを売り、ローンの残債を払った後、残った現金は折半した。手元に残った金額はさほど多くない。

残されたハッピーと住める場所を探したが、ペットOKの賃貸物件は家賃が高い。父親は荷物を車に積み込み、ハッピーを連れてふるさとを目指すことにした。

住むところさえあれば、なんとかなるだろうと思ったのだ。
(村上たかしさん 『星守る犬』の出だしを私なりに紹介しました)
ここからはネタバレがありますので、読む読まないはご自身で判断してくださいね。

『星守る犬』に登場する「お父さん」は、どこにでもいそうな人なのです。

奥さんが色々相談しても、生返事。

「お前に任せる」「お前の好きなようにすればいい」

親の介護の問題も、娘の教育についてもその調子。

本人は妻に任せて文句の一つも言わない、ある意味いい夫のつもり。

でも妻は話を聞いて欲しかったのだろうし、「どうしたらいいだろう」と一緒に考えて欲しかったのでしょう。

離婚のタイミングが、夫の持病が悪化して、離職、再就職できずにいるとき、というのがえぐいし、当然の権利とはいえ、貰うものはもらって別れるのね、

この先夫がどうなろうと知ったこっちゃない、という感じ。

はー。

ここまででも相当辛いのですが、ハッピーとのドライブ旅行の結末が辛すぎます。

私は、これまで犬や猫を見送ってきました。

別れは悲しかったけれど、その都度、

「ああ、見送ることができてよかった。私たちが先に死んで、この子たちが残ったら、死んでも死にきれない。見送らせてくれてありがとう」

と思っていました。

『星守る犬』はね、犬が残されるんですよ。

誰にも知られず死んでいった「お父さん」も気の毒だけれど、それは覚悟の上のこと。

ハッピーは何も悪くない。

ずっと「お父さん」のそばを離れず、1年以上、自力で生きていかなくてはいけなかったハッピー。

ああ、悲しい。

悲しすぎる。

私たち夫婦は、どちらも動物が大好きですが、ある年代まできたら、ペットを飼うのをやめようねと言っています。

それでも突然私たちの方が先に逝ってしまう可能性だってないわけではありません。

シュヴァルツ・権三がハッピーのような立場になったらと思うと胸が塞がる。

泣ける!!

『星守る犬』の最後に、お父さんがお迎えに来るのだけど、それで「ハッピー、良かったね」とは思えません。

私はね、小説や映画で、人間がどれほど辛いめにあっても、悲しい思いをしていても、冷静に見ていられるんです。

だけど、犬が辛い思いをしているのを見るのはダメ。

本当にだめ。辛いわ。

もう一つの作品『日輪草』はケースワーカーの男性が主人公。

身元不明の死体を引き取って弔うこともケースワーカーの仕事だなんて、初めて知りました。

そう『星守る犬』の「お父さん」を弔うわけです。

この主人公は、いつもは淡々と仕事をしているのですが、身元不明の死体のそばに犬の死骸があったという話を聞き、心を動かされ「お父さん」の足跡をたどることに。

彼にもかつて飼い犬がいて、その子との思い出が、日頃にはないほどの情熱を呼び起こすのです。

私は『日輪草』では別の意味で泣きました。

犬はいつも飼い主を信じているし、飼い主を待っている…

私がかつて見送ったわんこたちに、してきたことと、してあげられなかったことを思い出さずにはいられません。

ううう、シュヴァルツ・権三にもっと優しくするし、もっと幸せにしてあげたい!!
星守る犬
村上たかし(著)
双葉社
profile
池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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