成功を呼ぶ ネーミングの技術 (平方彰)
ネーミングは成功の大きな要素 成功を呼ぶ ネーミングの技術
平方 彰(著) 私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、平方彰さんの『成功を呼ぶ ネーミングの技術』 著者 平方彰さんは早稲田大学出身。株式会社電通に入社され、日米野球や、MLBの日本開幕戦などのビッグプロジェクトに尽力。 『SAMUAI JAPAN』という野球日本代表のネーミングを考案し、世に広く定着させたかたです。 そんな平方さんが、お仕事の中で培ったネーミングに関するノウハウや考え方をまとめられたのがこの本です。 お子さんの名前、ペットの名前から始まって、社名、店舗名、商品名、国家的なイベントのネーミングまで、様々なネーミングについてわかりやすくまとめられています。 例えば命名には、漢字の意味や画数、読みやすさなどいろいろな条件があるけれど、何より思い入れやこだわりが大事、とのこと。 私ごとで恐縮ですが、千波留という名前は漢字も含めて本名です。 あれは大学1年生の時。 青年心理学の最初の授業で、教授は生徒全員に自己紹介をさせました。そして、一人一人に何か一言声をかけるのです。 例えば「○○優子です」に対しては「優子さん、きっとあなたは優雅な女性なんでしょうね」といった調子で。 いま風にいうと「邪魔臭い」教授ですね。 とはいえ、全員の名前にダブることなく、歯の浮くようなセリフを言えるボキャブラリーの豊富さには感服しました。さすが大学教授。 そうこうするうち私の順番になり、「池田千波留です」と名乗ると、「千波留さん……ほほぅ、万葉仮名ですね」と返してこられました。 確かに「千」「波」「留」はそれぞれ万葉仮名ではありますが、両親はそれとは無関係に命名しているのです。 小学生の時に自分の名前の由来を聞いてくるようにと宿題が出たことがあり、確認しているので間違いありません。 しかし名前の本当の由来を説明すると、もっと邪魔臭いことになりそうな気がしたので「はい」とだけ答えました。 すると教授はのたまいました。 「だったら今日から僕はあなたのことを万葉の姫君と呼ぼう」 ギャー!!! ヤーメーテー!! 内心叫んだ私。 同時に背後に聞こえたグフッという含み笑い。 口の悪い友人が 「なーにが姫君よ。万葉のはしためで十分よ」 小声で言うじゃないですか。 教授のせいで、それから1ヶ月ほど近くにいた友人から「はしためちゃん」と呼ばれましたわ。 とんだ災難。 実際の名前の由来は 「千の波を留めるほど、強い人になってほしい」と言う願いが込められているのです。 本当は祖父が張り切って「香(かおる)」という名前を用意してくれていたのに、それを押し切ってのことでした。 へそを曲げた祖父は「千波留でも万波留でも好きにするがいい!」と怒っていたらしいです。 その点において私の名前は、著者 平方さんのおっしゃる「ネーミングにはこだわりが大事」という条件にはしっかり合致していると言えるでしょう。 この本の中では「SAMURAI JAPAN」の命名エピソードや「なでしこジャパン」や「eスポーツ」といった秀逸なネーミングが紹介されています。 中でも平方さんが「奇跡のネーミング」と褒め称えておられるのは、故 仰木彬監督の考えた「イチロー」です。 老若男女、誰もが覚えやすく呼びやすく親しみやすいこと。 「一朗」「いちろう」「イチロウ」ではない「イチロー」は、視覚的にもインパクトが大きいとおっしゃるのです。 そして平方さんは仰木監督と、当時は冗談のようにも見えた「イチロー」を受け入れたオリックス・ブルーウェーブ(当時)の首脳陣を褒めておられます。 確かに、おっしゃる通り。 でも私は「イチロー」というネーミングにはもう一つの要素、オリックスの前身である阪急ブレーブスのDNAが影響していると思いたいです。 阪急ブレーブスの、おそらく広報担当の人たちはびっくりするようなことを考え出しました。 例えば、世界の盗塁王 福本豊さんに対して、競走馬と一緒に走らせ、どちらが早いか競わせたのですよ。 そんなの馬が早いに決まっているじゃないですか。盗塁王に何をさせるのよ。 また、外国人選手の登録名もめちゃくちゃで、ブームを呼ぶ男という意味で「ブーマー」、荒々しいから「アニマル」なんて命名していました。 私は長い間、二人とも本名と思っていましたよ。 私は鈴木一朗選手がイチロー選手に変わった時に、真っ先にブーマーとアニマルを思い出しました。 そういう面白がりな一面がある広報って素敵。 イチロー選手は登録名が本名のままでも活躍したとは思います。 でも「鈴木一朗」のままだったら大リーグであんなに親しまれたかどうかはわかりませんね。 やはり平方さんのおっしゃる通り、ネーミングは成功の大きな要素なのかもしれません。 最後に、この本の内容からは離れてしまいますが、「子」がつく名前について、以前どこかで読んで感動した説をここにご紹介しておきます。 書き写した訳ではないので、端々は違うかもしれません。その点はご容赦ください。 最近、子どもの「子」がつく名前を平凡という人がいるが、とんでもないことだ。
「子」という字は「一」と「了」に分解できる。つまり「子」という字には、最初(一)から最後(了)までという意味があるのだ。 例えば「優子」なら、人生の最初から最後まで、優しい子(あるいは優れた子)でいてほしいという親の願いが込められていると考えられる。 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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