音大では教えないボーカルの秘密 (赤穂美紀 )
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![]() 今出会うべき本に出会えた幸せ 音大では教えないボーカルの秘密
赤穂美紀(著) 赤穂美紀さんと初めてお会いしたのは、15年以上前のこと。
この3月(2020年3月)で、卒業させていただいたみのおエフエムの音楽番組「国際交流コンサート」のゲストと司会者としてお会いしたのが最初でした。 その後も何度も「国際交流コンサート」でお会いしましたし、それ以外にも、私の番組内のコーナー「聞かせて!ペット自慢」に何度かご出演いただきました。 一番最近のご出演では、噛み癖のある保護犬へのしつけについてお話をお聞きし、非常に感銘を受けましたよ。 また、赤穂さんご自身も番組をお持ちなので、スタジオで時々お会いすることがあるのです。 いつお会いしても「陽」のオーラ満載の赤穂美紀さんは歌声はもちろん、普段の話し声も素晴らしく通ります。 いつも「こんなふうにきれいに喉が開いて声が前に出てきたら気持ちいいだろうなぁ」と、思っていたのですよ。 その赤穂さんがこの度、ボーカルメソッドの本を出版されたとのこと。それは絶対に読まねばならないと思った次第です。 私はプロダクションに所属していた頃は、週に1回事務所主催のレッスンを受けていました。 内容は発声、朗読、ニュース原稿読み、フリートークなど、様々なジャンルに及びます。 その際、テクニックだけでなく、仕事に対する心構えのようなことも教えていだたきました。 しかし、事務所を退所してからは、そういったトレーニングを受けることなく今日まで来ていました。 年齢を経るに従って、声が(喉が)衰えているのを感じ、このままではいけないと思っていたのです。 赤穂さんの『音大では教えないボーカルの秘密』には、当時事務所で教わったことと、根本的に同じ部分も多少はありました。そりゃそうでしょう。発声の根幹に関しては同じはず。 ただ『音大では教えない』と謳っているだけあって、伝え方、比喩がユニークなのです。 例えば、ブレスについての章では、子どもが泣きじゃくっている時のことを例に挙げておられました。 わんわん泣いている子どもがどのように息継ぎをしているか?今まで考えたこともありませんでしたよ。 赤穂さんは、単にメソッドを文字化しているのではなく、読み手の連想を引き出し、具体的にイメージできるように、言葉を紡いでおられるのだなと思います。 口だけではなく、五感を使うこと、自然界や体の仕組み、日本語の特徴まで理解して発声をすることの大切さなど、私がこれまで体験したレッスンでは学べなかったこともたくさんあり、付箋を貼りまくりました。 赤穂さんはボーカリストに向けてこの本を書かれていますが、喋りを仕事とする人全てに役立つと思います。 私がもっとも感銘を受けた部分の項目だけご紹介しますと…… ・3つの腔(口腔、胸腔、腹腔)を意識する ・子音を鍛える ・骨に響かせる ・緊張と緊張感の区別 舞台に立つ前に緊張はマイナスになるけれど、「緊張感」は必須である ・ニュートラルな声の大切さ 悲しい内容の歌をお涙頂戴で歌ってはいけない、ということ。 私も事務所のレッスンで、披露宴で花嫁さんの作文を代読する時は、「感情豊かな(みんなが泣きそうな)作文の時はさらりと、淡白な作文の時こそ豊かに読みなさい」と教わりました。歌い手(読み手)が感情を盛り込みすぎると、お客様は引いてしまう、ということだと思います。 随所に手書きの図解があり、大事な部分にはマーカーが引いてある親切な作りからは、赤穂さんの「多くの人に伝えたい」熱意を感じます。 全ページ感動しながら読み終え、最後の「あとがきに代えて」のページで私は思わず泣いてしまいました。 その文章をここに引用させていただきます。 誰しも若い時には、”勢い”や”パワー”があるものです。しかし今、あなたが、歳を重ねて声が思うように出ない、トラブルを抱えているならば、喜んでください。
悲観することはありません。否、むしろ、それはチャンス到来、自分のやり方と”サヨナラ”して《新しい自分》に出会える時なのです。自分のエネルギーだけで、生きることを辞める時なのです。 『智恵』は”宝”であり、それを活かすならば、若い時以上のパワーに満ちた新しい自分との出会いが始まるのです。 (赤穂美紀さん『音大では教えないボーカルの秘密』 あとがきに代えて より引用。P.146) まさに私のことですやん!
今出会うべき本に出会えた幸せを噛みしめています。 そうか、チャンス到来なのか。 頑張ろう! ![]() 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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