Ramayana: Divine Loophole by Sanjay Patel
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![]() 不思議の国インドの神話 Ramayana
Divine Loophole by Sanjay Patel 『Ramayana』は、『Mahabarata』と並ぶインド二大叙事詩の一つです。なんと紀元前7から4世紀に作られた言われています。3世紀に最初と最後の章が追加され、全7章として編集されました。
2千年以上語り継がれてきたお話だけあって、表面的なストーリーもおもしろいですし、深い意味も込めれれていますし、派生する話や、いろいろなバージョンもあって、簡単には語りつくせません。 これは子ども向けに書かれた絵本で、入門編としてとってもオススメです。 著者のSanjay Patelは、両親がインド人のイギリス移民二世で、現在はアメリカ在住のピクサーのアニメーターです。 インドの独特なイラストがちょっと苦手な私も、この絵本ではすんなり世界に入り込むことができました。 Rama王子がモンスターのRavanaと戦って勝利するのですが、インドの三大祭りの一つDussehra(ダシェラ)は、Ramaの凱旋のお祝いで、インド全土で毎年秋に盛大に催されています。 絵本のはじまりは、モンスターRavanaの生まれたいきさつです。表紙のイラストのように、Ravanaには頭が10あり、それも真横に並んでいます。独創的ですよね。 インドの神話はスケールがとても大きく、時間の流れも雄大です。 Ravanaは、元は優秀な学者でした。神様に願いを叶えてもらうため、500年断食をし、900年間片足のつま先立ちで瞑想し、2000年間お祈りを唱え続けました。少し正気を失ってきた彼は、1000年に1つ頭を切り落として神様に捧げることにしました。 最後の1つの頭を切り落とそうとしたとき、創造の神Brahmaが現れ、彼の願いを叶えました。神にも悪魔にも決して倒されないようになりたい、という願いです。 願いが叶うと、切り落とした頭は元どおりとなり、Ravanaは最強のモンスターに変身してしまいました...そして、神々のリーダーであるIndraを天国から追い出してしまいました... 維持の神Vishnuは、Ravanaを倒すため、人間のプリンス Ramaとして生まれ変わります。 Ramaは立派な戦士として成長し、隣国のプリンセスSitaと結婚しました。SitaはRavanaによってLanka(現在のスリランカと言われています)に連れ去られ、Ramaは、後を追います。 途中サルの王様を助けることで、その軍隊を手にいれるのですが、そこでHanumanに出会います。頭がサルで体が人間の神様です。風の神 Vayuの息子で、Ramaにとても忠実。片手で山を運べるほど力持ちです。 大きな戦いののち、RamaはRavanaを倒してSitaを救い出します。Ramaは王様となって、二人で幸せに暮らしました、というところでこの絵本は終わっています。 お話には続きがあって、SitaはRavanaとの間に何かあったのではと疑いをかけられ、森に追放されてしまいます。理不尽ですね。 Sitaの視線からRamayanaを語った絵本もあって、こちらもおもしろいです。 ![]() 正義が勝って、悪が滅ぼされる、という単純なお話のようで、Ravanaは誇り高かったり、Ramaは国を治めることをSitaより優先してしまったりと複雑です。
それぞれの登場人物は、別の人物の生まれ変わりであったり、色々なストーリーが絡みあって、奥深く興味深いので、この絵本を取っ掛かりとして、調べてみてもおもしろいと思います。 疲れには、体の疲れ、メンタルの疲れ、スピリチュアルの疲れがあり、スピリチュアルの疲れが生じたときに、人はRamayanaを読んで Ramaの人生を辿りたくなるのだそう。 不思議の国インドの神話に触れてみてはいかがでしょうか。 Ramayana
Divine Loophole by Sanjay Patel Publisher: Chronicle Books ![]()
谷津 いくこ
絵本専門士 絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。 StoryPlace HP:http://www.storyplace.jp Facebook:https://www.facebook.com/storyplacejp/ |
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