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The Nutcracker by E.T.A Hoffmann and Sanna Annukka

グラフィカルな『くるみ割り人形』

The Nutcracker
by E.T.A Hoffmann and Sanna Annukka
マリメッコのデザイナー Sanna Annukka がイラストを手がけるシリーズの絵本から、『くるみ割り人形』- The Nutcrackerを選んでみました。

布張りの装幀に金箔押しがされている美しい絵本です。中のイラストもグラフィックデザインのようでありながら、愛嬌があります。

クリスマスらしく、童話の世界が華やかに描かれていて、手に取れば必ず「可愛い」と言ってしまいそう。

『くるみ割り人形』はチャイコフスキーのバレエで馴染み深いですが、E.T.A. Hoffmannの書いた原作は内容が少し異なります。

どんなお話だったかな、と思って手に取りましたが、話を知らなかった事に気づきました。

主人公の少女Marieは、たくさんのクリスマスプレゼントの中に埋もれていた、あまりパッとしないくるみ割り人形をなぜかとても気に入ります。

手先の器用な名付け親のDrosselmeir おじさんからのプレゼントの1つでした。

Marieは大切に扱っていたのに、お兄さんのFritzが、無理やり大きなくるみを割ったので、歯が折れ、あごも壊れてしまいました。

悲しく思ったMarieは、くるみ割人形にリボンを包帯代わりに結び、人形のベッドに寝かしつけて看病します。

柱時計が12時を告げると、おかしな事が起こり始めました。

頭が9つあるネズミの王様が率いる軍隊が現れ、くるみ割り人形が率いる人形たちと戦争が始まりました。人形たちの軍が劣勢となり、くるみ割り人形が捉えられそうになって、Marieはネズミの王様にスリッパを投げつけ、そのまま気を失ってしまいました。

Marieは腕を人形ケースのガラスで酷く怪我してしまい、血だらけになっているところを母親に発見されます。

ネズミの王様の話をしても誰も信じてくれません。Marieはしばらく安静にして過ごすことになりました。

そんな中、Drosselmeirおじさんがくるみ割り人形を元どおりに修理して持ってきてくれました。そして、不思議な Hard nutのお話をしてくれます。

Drosselmeirおじさんは、事情をすべて知っている様子で謎めいています。

Hard nut のお話で、なぜネズミの王様に頭が9つあるのか、なぜくるみ割り人形が狙われているのかが分かります。

Marieは、くるみ割り人形がDrosselmeirさんの甥で、ネズミの女王 Mouseringsに姿を変えられたのだと信じるようになります。

ネズミの王様は、Marieを脅迫しに現れるようになります。くるみ割り人形を粉々に噛み砕かれたくなければと、お菓子を始めとして色々なものを要求します。

最後は、人間に戻ったくるみ割り人形がMarieに求婚して、二人は人形の国で幸せに暮らします。

少女のはずのMarieが結婚して、現実世界も無くなったまま、辻褄合わせの無い終わり方が不思議で新鮮です。

もともとHoffmannが友人の子どもたちに語って聞かせた物語だからでしょうか。

文字も多い絵本ですが、各章の始まりが飾り文字になっていて、美しいイラストを眺めながら、楽しく読み進められます。

ちょうど今、ディズニーの「くるみ割り人形と秘密の王国」の映画も公開されていますね。こちらもまた違ったお話のようです。

クリスマスプレゼントにもぴったりの絵本です。
The Nutcracker
by E.T.A Hoffmann and Sanna Annukka
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谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
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