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誤解されやすい方言小辞典(篠崎晃一)

お国柄の話になると、ついつい熱くなってしまう

誤解されやすい方言小辞典
篠崎晃一(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、篠崎晃一さんの『誤解されやすい方言小辞典』。

先日テレビを見ていたら、「関西では(ビールの)大びんを「だいびん」、小びんを「しょうびん」と呼びます」という意味のテロップが出ました。

びっくり仰天。

日本全国津々浦々、「だいびん」「しょうびん」と違いますのん?

すぐにSNSで呟いたら、中部地方にお住いの方が「おおびん、こびんと言います」とお返事を下さいました。

でもね、中びんはどちらの地域も「ちゅうびん」なんです。

だったら、ですよ?普通に考えて「だい」「ちゅう」「しょう」がスタンダードじゃないですか?

「おお」「ちゅう」「こ」って、統一がとれていない気がする。絶対に絶対に、だいびん、ちゅうびん、しょうびんが正解だぁ!!

と、お国柄の話になると、ついつい熱くなってしまうのはなぜかしら。

この本では、狭い日本のはずなのに、バリエーション豊かな言葉の数々が紹介されています。

三省堂の出版だし、タイトルに「辞典」とあるので、本物の辞典のように堅い内容を想像されるかもしれませんが、エッセイふうの読み物として、さらっと面白く読めましたよ。

生まれも育ちも兵庫県の私。言語的には関西弁区域ということになります。関西限定と知らずに使っていた言葉がいくつか紹介されていました。

たとえば酒の肴を指す「アテ」。

「アテはなににしよう?チーちくで良い?」というような感じで使います。

そうか、アテは関西弁だったのか。

関西では、自分自身のことを「あて」ということがあります。多分「わたし」→「あたし」→「あて」と進化したのだと思うのだけど。

「あて、チーズをアテにお酒飲むわ」と、親父ギャグを呟いてみました。

関西弁で「えらい」とは、「偉い」ではなく「しんどい」とか「たいへんな」という意味。

満腹になったことを「お腹が大きくなった」といい、なぜか「あなた」のことを「自分」と呼び、料理の味が薄い時には「水くさい」ということもある。

すべて子どもの頃から普通に使っていたけど、地域限定の言葉だったなんて。

驚いたことに、駐車場を「モータープール」っていうのも関西弁なんですって。うそー!!他になんていうんですか?信じられない。

関西限定の言い回しや言葉はこれくらいにしておき、他の地域の言葉でびっくりしたものを二つ挙げておきますと、徳島では辛かったり苦しかったりすることを「せこい」というのだそう。

例文としては「風邪ひいてせこい」のように使うのだそう。

また、舎弟と聞けばヤクザを連想してしまいますが、東北の一部や北関東では実の弟のことも「しゃてい」と呼ぶのだそうです。

おもしろいワ。

また一つのことが地域によって違うのもおもしろい。

サブタイトルの「東京のきつねが大阪でたぬきにばける」は食べ物に関する言葉の違いです。

昔は方言は恥ずかしいものであり、公の席では標準語で話すことが良いとされていたように思います。

でも、今はそれぞれのお国言葉もチャーミングと考える人も増えているのではないかしら。

岩手の「じぇじぇじぇ」なんかは今もたまに使わせてもらっています。

ま、もともと関西人は大阪弁を大事に思っていて、東京であろうがどこであろうが、堂々と大阪弁で喋っていましたけどね。

余談ですが、方言といえば井上ひさしの「國語元年」。

明治の始め頃に、「全国統一話し言葉」作成を命じられた文部省役人の苦闘を描いた作品です。

自分の出身地の言葉を統一言語にしてもらいたいと、いろいろな人が売り込む様子がケッサクなのです。

「誤解されやすい方言小辞典」と合わせてお勧めします。
<誤解されやすい方言小辞典
篠崎晃一(著)
三省堂
著者が編修代表を務める『例解新国語辞典』の“方言”欄を充実させ、イラストもまじえ詳しく解説。共通語と同じ語形だが、じつは地域独特の意味があるという項目を五十音順に181項目掲載。学校方言や食の方言、交通安全・防犯対策で活躍する方言など、テーマ別のコラムも20点。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

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ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon



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