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ツバキ文具店(小川糸 )

文具万歳!手書き最高!

ツバキ文具店
小川糸(著)
文房具フェチのワタクシなのに、このタイトルを見過ごしていましたワ。今さらの感は否めませんが、小川糸さんの『ツバキ文具店』を読み終えました。
鎌倉の小高い山のふもとにある「ツバキ文具店」の店主 雨宮鳩子。通称ポッポちゃん。「ツバキ文具店」は、表向きは文房具販売をしているのだが、実は代書屋も営んでいる。

雨宮家は江戸時代から続く由緒正しき代書屋で、代々女性が引き継いできたという。その十代目だった先代(鳩子の祖母)がなくなって約3年。鳩子が店も代書屋も継いでいるというわけだ。

鳩子は祖母の女手一つで育てられ、代書屋の跡取りとして、厳しく躾けられてきた。今もポツリポツリと舞い込む代書の仕事には、先代の教えを思い起こしながら臨んでいる。

現代では、メールやLINEで何もかも済ませてしまう人もいる反面、代書屋に依頼しないではいられない人も、まだまだいる。その事情のさまざまなこと……
(小川糸『ツバキ文具店』の出だしをまとめました)
世の中には色々な仕事があるもので、いわゆるお仕事小説は、その道のプロならではのこだわりや心意気が描かれていて面白いものです。しかし、代書屋とは、意表を突かれました。

とはいえ、昔々「一筆申し上げ候」の時代であればともかく、今時、代書してもらってまで手紙を出したい人は少ないようで、「ツバキ文具店」でも、普段の代書屋とてしての仕事のほとんどは祝儀袋や命名書に名前を書いたり、記念碑に彫る文章、社訓や看板など。

しかし、離婚のお知らせ、借金を断る手紙、絶縁の手紙など、代書屋を頼る様々な人がツバキ文具店をぽつりぽつりと訪ねてきます。

鳩子は、依頼者に向き合い、いろいろな背景を明らかにすると、その手紙の趣旨にふさわしい筆記具、インクの色、紙、切手を選んでいきます。

万年筆、筆、ガラスペンetc. 筆記用具の多彩なこと!そしてそれらにまつわる文具ウンチクも楽しい。また、インクの色や紙のチョイスにもワクワクします。

文具好きさんには、依頼された手紙の内容や出来栄え以上に、このプロセスがたまらないに違いありません。

私はこの小説の影響で、2Bの鉛筆を買いに走りましたよ。もうシャープペンシルは使わないかもしれません。

ところで、私はひとつ間違った思い込みをしていました。

代書屋とは「清書屋」だと思っていたのですが、そうではないのですね。手紙の文言も依頼者が決めるのではなく、代書屋が決めるのです。

その人になりきって、時に豪快に、時には悲しみや感謝を込めて、内容にふさわしい筆跡で手紙を完成させるのが代書屋。

カッコイイなぁ。文具万歳!手書き文字最高!!

カッコイイといえば、鳩子の追憶の中に出てくる「先代」が相当カッコイイです。

しかし、終盤には先代の「嘘」が明らかになります。私はちょっと泣きました。

この小説の舞台は鎌倉。ストーリーや、人間関係を描く背景に、いつも鎌倉の街が映り込んでいるのだけれど、残念なことに私は鎌倉には行ったことがありません。(正確には2歳くらいの時に行ったことがあるそうな)

鎌倉の風景を思い浮かべながら読むことができたなら、この小説の味わいは何倍にも膨らむことでしょう。

この小説を読み終えた時、じーんとすると同時に、猛烈に手紙を書きたくなります。

うーん、誰に書こうか、と思いながら最後までページを繰っていくと、なんと巻末に「ツバキ文具店への手紙の宛先」案内が。なんと行き届いた小説でしょう?!

さて、ツバキ文具店に出す手紙は、何を使って、どんな紙に書こうかなァ。

ちなみに、この小説はすでにドラマ化されていて、雨宮鳩子は多部未華子ちゃんが演じたみたいです。私が読んでいて想像していた人物像にぴったり!ドラマの方も見てみたいです。
ツバキ文具店
小川糸(著)
幻冬舎
ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。 出典:楽天

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon



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