文様えほん(谷山彩子)
着物好きさんには特にお勧め 文様えほん
谷山彩子(著) 私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、谷山彩子さんの『文様えほん』。 縄文時代から あった文様。文様で身の回りの道具に彩りをあたえるなんて、いつの時代も人間は、ただ生きていければ良いとは思わなかったのですね。 身の回りのさまざまなものに施された文様の中には年月を経てお国柄を偲ばせるシンボルとして定着しているものもあります。 この絵本は、模様、文様、紋様それぞれの言葉の違いや、世界各国の紋様や日本独自の紋様を紹介しています。 図鑑のように並べているのではないのがミソで、遊びに来た孫に、祖父母が教えるという形をとっています。 まずは梅や桜、蔦や藤など花の文様、スズメやウサギ、蝶や鳳凰など動物をモチーフとした文様、太陽や月、波や雪など自然をイメージした文様などが紹介されます。 次に、一本の線から生まれ、バリエーションを広げる幾何学文様が紹介されます。面白いのは、文様で描かれた世界地図。 国境の代わりに、イギリスはタータンチェック、カナダはカウチン模様、日本は矢絣……というように、その地域固有の文様で塗り込められているのですが、「みんなちがってみんないい」各国の個性が一目でわかるのでした。 また唐草模様のように、長い旅の末、それぞれの国で違う形へと進化していく文様があることも興味深いです。 日本は四季があるので、春夏秋冬で文様が分類分けされているのも面白いです。いつもは意識していませんが、生活のあちこちに今も文様は生きています。 この本で意味を知った文様も多くありました。例えば、昔ながらのラーメン鉢のふちの文様が「雷」だったなんて、初めて知りましたよ。 このえほんは着物好きさんには特にお勧めです。 家紋はもちろん、青海波や吉祥文様、亀甲花菱、よろけ縞、七宝つなぎなど帯や着物の柄について、見直すことができますから。 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』 |
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