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ドレの神曲(ダンテ)

全てをあるがままに、映る心を知る

ドレの神曲(ダンテ)
照柿(高村薫)
高村薫さんの「照柿」にこんな一節が登場します。

(本文よりp.254)
「痛恨は悔悛の秘跡の始まりだから、喜べばいいんだ。突然魂を襲う意志こそ浄化の唯一の証拠だ…と言ったのはダンテの……」

「スタティウスが、ダンテとヴェルギリウスに言うんだ。煉獄の何番目かの岩廊で」
殺人事件を追う合田雄一郎刑事と、その親友であり義兄の加納祐介検事の会話です。

そして、こう続きます。

(本文より)
「意志だよ、意志。すべては」
「意志のお化けだもんな、あんたは」

あははと義兄は笑い
「最後の涙一滴の悔い改めが難しい」
などと言った。
事件捜査を通して、合田刑事と人間の本質を見るような感覚で読む中、ふっと現れた「神曲」の一節に引き込まれて、久しぶりに読みたくなる、いや読まずにはいられなくなりました。

ダンテ(1265-1321)はイタリアの詩人です。そして「神曲」は、想い姫を亡くして人生を見失ったダンテが、死後の世界を案内してもらい、そこから示唆を受ける…そんなストーリーです。

(「神曲」本文よりp.10)
気がつけば人生半ば
見渡せば暗き森深く
道らしき道のひとつすら無く
絶望の淵からダンテの旅は始まります。

地獄、煉獄、そして天国へ―

旅の途中、道先案内人のヴィルギリウスがダンテに語りかけます。

(「神曲」本文よりp.186)
「ダンテ、言っておきたいことがある。」
師の言葉の強い響きが私の意識を醒ました。

「私の体は、すでにナポリに埋葬された。だから今、私には影が無い。だがこうして話し、感じ、そしてもっと大事なことは、現に私がお前を案内しているということだ。

何が大事かを知ることだ。
理屈を超えて見ることだ。

何故と思う事は良いが、その時下手に理屈を探さぬことだ。人が理詰めで行ける道には限りがある。全てをあるがままに、景色のように見るがいい。全ては不思議、全ては自然、映る心を知ることだ。」
分からなくていい。
その言葉は、心に充満していた霧を晴らすかのようでした。

年を重ねれば重ねるほど、分からないことが山積する。

時には、未解決のままになる感情もある。

理解できないことを嘆くのではなく、立ち止まりながらも、その先に続く道を歩んでいく。

ずっと見ないようにしていたこと、或いは直視できなかったこと、手つかずの心の領域に、ダンテの言葉が響いています。
ドレの神曲
ダンテ(著)
宝島社
14世紀、ルネサンスを喚起したダンテの『神曲』は19世紀、ドレが挿画本にすることで視覚芸術に革命を起こした。スーパースターの共演が、現代のルネサンスマン・谷口江里也の言葉を得て21世紀のいま、時空を超えて蘇る。 出典:amazon

照柿
高村薫(著)
講談社
野田達夫、35歳。17年働き続けてきた平凡な人生に、何が起ったのか。達夫と逢引する女、佐野美保子はほんとうに亭主を刺したのか。美保子と出会った瞬間、一目惚れの地獄に落ちた刑事合田雄一郎はあてもなく街へさまよい出る。照柿の色に染まった男二人と女一人の魂の炉。出典:amazon

植木 美帆
チェリスト

兵庫県出身。チェリスト。大阪音楽大学音楽学部卒業。同大学教育助手を経てドイツ、ミュンヘンに留学。帰国後は演奏活動と共に、大阪音楽大学音楽院の講師として後進の指導にあたっている。「クラシックをより身近に!」との思いより、自らの言葉で語りかけるコンサートは多くの反響を呼んでいる。
HP:http://www.mihoueki.com
BLOG:http://ameblo.jp/uekimiho/
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