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わたしのげぼく(上野そら)

猫好きさんは泣いちゃうよ

わたしのげぼく
上野そら(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、上野そら(作)くまくら珠美(絵)の『わたしのげぼく』。

主人公「わたし」は猫。表紙に描かれているハチワレの、ちょっとふてぶてしい顔つきの猫です。性別は男子。
ちてきなネコには、 『わたし』がふさわしい。
ということで、一人称は「わたし」です。

「わたし」が下僕呼ばわりしているのは、4歳の男の子。彼が「わたし」を選んだので、「わたし」はこの家に来たのでした。

彼は毎日、「わたし」のトイレの掃除をし、頭を撫で、猫じゃらしで遊びます。

「わたし」から見ると、「わたし」のために尽くしてくれている。だから「げぼく」と呼んでいるのです。

「わたし」から見ると、4歳の「げぼく」は何をさせてもどん臭い。しかもよく泣く。

ある時「わたし」がしたことが原因で、「げぼく」が泣きやまないことがあり、その時ばかりは「わたし」もちょっと反省。

この出来事は、猫といっしょに暮らしている人なら、「そういうこと、あるある」と、笑ってしまうことでしょう。

それから18年。「わたし」が「げぼく」とお別れする日がやってきます。

これはネタバレではありません。動物を飼っている人なら、当然やってくる日だと、予想がつくはずです。

そのことをここに書いたからといって、この本を読む楽しみは全く減らないと断言します。

バラしてはならないのは、その時「わたし」が「げぼく」に送る言葉です。

『わたしのげぼく』は絵本だし、ページ数は少ないので、あっという間に読めます。そしてあっという間に泣いてしまいます。猫好きさんなら、必ず。

いえいえ、猫に限らず、家族同然だったペットを見送ったことがある人なら、きっときっと泣くでしょう。

思えば我が家にいたわんこにゃんこの、ほとんどが九月に亡くなっています。そんな九月にこの本に出会えたのも何かのご縁。

もしあなたに5分の余裕があるなら、この本を開くことをお勧めします。
わたしのげぼく
上野そら(作)くまくら珠美(絵)
アルファポリス
どんくさい「げぼく」と一緒に暮らすネコの「わたし」。「ほんとうに、しかたのないやつだな。わたしのげぼくは」ともに笑い、時にはケンカし、そして迎える切ない別れー 出典:楽天

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon



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