カンパニー (伊吹 有喜 )
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![]() やっぱり舞台は最高 カンパニー
伊吹 有喜(著) 舞台がお好きなかたには是非読んでいただきたい小説と出会いました。伊吹有喜さんの『カンパニー』。
カンパニーを「会社」「企業」と捉える”人種”と、「舞台を作り上げる仲間」と捉える”人種”が力を合わせ一つのものを作りあげる物語です。 ”青柳誠一 47歳。現在、妻と高校生の娘は家を出ており、離婚を迫られている。
勤務先の製薬会社は製菓会社を吸収合併した。それに伴い人員削減が行われているが、これまで可も不可もない働きしかしてこなかった誠一は、新たに発足した「キャリア創造支援室」に配置転換される。 気取った名前がついた部署ではあるが、実際は戦力外通告されたのと同じだ。 新たな部署で誠一が取り組むことになったのは、社が後援するバレエ公演『白鳥の湖』を成功させること。 社長の一人娘が所属するバレエ団に、世界的プリンシパル高野悠を迎えるのだという。 元バレーボール選手 瀬川由衣。(多分26歳)天才少女セッターと呼ばれたこともあったが、怪我で現役を引退。誠一と同じ製薬会社のスポーツトレーナーだ。 その製薬会社が全面バックアップしていた陸上選手の育成チームの一員となり、世界を目指していた。 しかし、当の本人が妊娠し結婚引退を希望した為、仕事がなくなってしまった。 青柳誠一がまず考えたのは、公演の目玉である高野のメンテナンス。ちょうどチームが解散して手が空いた瀬川由衣に高野のトレーナーを依頼する。 バレエのことなど何も知らなかった誠一と由衣。それでも、誠一はプロジェクト推進、由衣は肉体の管理という、互いのキャリアを生かして、目的を達しようとする。 そして、これまで縁がなかったバレエや舞台関係の人々と触れることで、夢を実現する為のすさまじい努力や孤独を知ることとなる。……” (伊吹有喜『カンパニー』の一部を私なりにまとめました) 私はバレエ公演をまともに見たことがありません。だからバレエ独特なことはわからないのですが、舞台が大好きなので、ワクワク読むことができました。
最近、ある人と集客について話したことがありました。客席を埋めることがどれほど大変なことか、という話です。 お客様は時間とお金を使って、舞台や映画を観に行きます。たまには義理で行くこともあるでしょうが、純粋に客としていく場合、気持ちが動かなければ、チケットを買ったりしません。 どれほどの魅力を感じさせてもらえるか、ということですね。逆に言えば、どうやって魅力を発信するのかがカンパニーの課題なわけです。 この小説では、EXILEがモデルかなと思うパフォーマンス集団とのコラボや、フラッシュモブ、SNSでの動画配信など、まさにいまの戦略が取り入れられています。このあたり、リアルに思い描けて面白い。 また、企業などの冠がついた公演の場合、裏でいろいろな人の思惑が動くんだろうなぁと想像していたことが、小説の中で描かれているのも面白かったです。 慣れない仕事だと、最初は尻込みしていた二人が、カンパニーの一員として、大きく成長し、自分のこれからの生き方も見つける、爽やかな読後感の小説でした。 アーティストの悩みや苦しみ、そして矜持もたっぷり描かれています。だからこそ、舞台がお好きな方には声を大にしてお勧めします! 【追記】 舞台好きな方にお勧めしたい『カンパニー』が、来年宝塚歌劇団月組で舞台化されます。 タイトルは『カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』。 設定は宝塚歌劇に合わせた変更もあるようですが、トップコンビ、玉城りょう・愛希れいかを始めとする月組ならではの『カンパニー』に期待大です。 上演は、2018年2月9日から3月12日まで宝塚大劇場で、3月30日から5月6日まで東京宝塚劇場で。 カンパニー
伊吹 有喜(著)/新潮社 合併、社名変更、グローバル化。老舗製薬会社の改革路線から取り残された47歳の総務課長・青柳と、選手に電撃引退された若手トレーナーの由衣。二人に下された業務命令は、世界的プリンシパル・高野が踊る冠公演「白鳥の湖」を成功させること。主役交代、高野の叛乱、売れ残ったチケット。数々の困難を乗り越えて、本当に幕は開くのかー?人生を取り戻す情熱と再生の物語。 出典:楽天 ![]() ![]() 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』 |
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