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ついに、来た?(群ようこ)

腹をくくって直面してこそ、道も見えてくる

ついに、来た?
群ようこ(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。

その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。今回ご紹介するのは、群ようこさんの『ついに、来た?』。

「ついに、来た?」と言われて、パッと思い浮かぶのはなんですか?

待ちあぐねていた人?
予約していた商品?
 
私は最近「ついに、来た?」と言われたら、人生の終活に関することばかり思い浮かびます。
 
群ようこさんの『ついに、来た?』は、まさに親の介護問題をテーマにした短編集。
そこには認知症も含みます。
 
短編それぞれのタイトルは
"『母、出戻る?』
『義父、探す?』
『母、歌う?』
『長兄、威張る?』
『母、危うし?』
『伯母たち、仲良く?』
『母、見える?』
『父、行きつ戻りつ?』"
(群ようこ『ついに、来た?』目次より引用)
自分の親、配偶者の親、母親の姉(つまり伯母)など、介護の対象はいろいろ。

また、介護に非協力的な夫や、一方的な主張をする義理の兄弟など、介護に関わる家族のパターンも一通りではなく、問題をより一層複雑にすることも。

それが小説の中だけの話ではないことは、ある程度生きていればわかることです。
 
また、認知症の症状もひとそれぞれ。

その前兆があっても、家族だからこそ「いやこれは単なる物忘れ。まだ大丈夫」と思いたいもの。でも心のどこかでは感じていると思うの。
「ついに、来た?」と。

小説に登場する人たちは皆、「まだ大丈夫」「いや、ついに来た?」の間で揺れ動きます。
 
まったく他人事ではありません。
でも、この小説にも描かれていますが、避けては通れない問題。
腹をくくって直面してこそ、道も見えてくるというものでしょう。
ついに、来た?
群ようこ(著) 幻冬舎
父の死後、年下の男に奔ったサチの母。70歳で男に捨てられ戻ってきたけど、どうも様子がおかしくて…。「母、出戻る?」避けては通れないシリアスなテーマを、ユーモアを交えて明るく綴る、全8編 出典:楽天

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon



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