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ぼくのなかのほんとう(パトリシア・マクラクラン)

哲学的な児童書?「誰かの決めた基準に従う必要はない」

ぼくのなかのほんとう
パトリシア・マクラクラン(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、パトリシア・マクラクランさんの『ぼくのなかのほんとう』。児童書です。
”主人公は少年 ロバート。
(私が読み過ごしたのかもしれませんが、彼の年齢は明記されていません。多分、10歳くらいじゃないかと思います。)

父親は作曲家でビオラ奏者、母親はバイオリニスト。
母はいつも一生懸命にバイオリンを弾いている。多分、母にとって一番大切なのはバイオリンなんだろう……と、ロバートは感じている。

母のカルテット(弦楽四重奏団)はあちこちに演奏旅行に出かける。演奏旅行で留守の時に寂しくないようにと、両親はロバートのために保護施設から犬をもらってきてくれた。

猟犬の血が入っている彼女にロバートはエリノアと名付けた。ニックネームはエリー。エリーはとてもいい子で、ロバートの良き相棒だ。

母が夏の演奏旅行に出かけることになり、ロバートは母方の祖母マッディのもとで過ごすことになった。もちろんエリーも一緒に。マッディとエリー、そしてマッディの周囲の大人と過ごすロバートは、何かをつかむ。”
ロバートはお母さんに、もっと愛されたいと思っています。
少なくともバイオリンよりは自分を大事に思ってほしいと。

いつも名前を省略せずに「ロバート」と呼ばれることも、おとな扱いしてもらっているというプラス面とともに、よそよそしいというマイナス面も感じています。
ちょっと気になる親子関係です。

親子関係というと、ロバートの母とその母親マッディの関係も微妙。

マッディは時々、常識ではあり得ない話をするのだけれど、ロバートの母はそれを加齢による妄想なのではないかと疑っているようです。

そして重要な登場人物(?)エリー。
挿絵を見ると、この子はビーグル犬と何かのミックスなんでしょう。
とても賢い良い子です。

こんな可愛い良い子を捨てる人がいることに、ショックを受けるロバート。
ロバートはなんと思慮深い良い子なのでしょう。

今年になって、保護施設からシュヴァルツ・権三を引き取った私としては、エリーとロバートに特別温かな気持ちを持って読み進むことができました。

物語は穏やかに進んでいき、想定外の大どんでん返し、などといった派手なことはないのですが、その分、じんわりと心にしみてきます。たるいしまこさんの絵も大好き。

認知症を疑われていたマッディの話が、現実だったと分かるシーンは、メルヘンそのもの。
私もその場に居たかったなぁ。

タイトル『ぼくのなかのほんとう』は、ロバートがある人から教わる言葉です。

大人の言葉で言えば「誰かの決めた基準に従う必要はない」。
金子みすずさんの「みんなちがって みんないい」に通じる物がありました。

人生の機微を扱ったこのお話を、お子さんはどう感じるのかしらねぇ。
興味深いです。

最後に、私がこのお話のなかで一番気に入った文章を。
”「覚えておくといいよ。犬は血圧にいいんだ」”
ですよね!
ぼくのなかのほんとう
パトリシア・マクラクラン(著) リーブル(2016)

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon



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