関西で働く女性のライフスタイルマガジン［関西ウーマン］

タイトルを見た時、片付けのノウハウ本かと思いましたが、読み始めると小説だとわかり、びっくりしました。

大庭十萬里（おおば とまり）は、『あなたの片付け手伝います』の著者で、マスコミにも取り上げられる片付けアドバイザー。しかし、単に片付け方法を指導するのではなく、ものの捉え方や生き方そのものを変えるよう指導する人。

部屋の乱れは心の乱れで、不倫や介護疲れ、連れ合いに先立たれたり、大切な人を亡くしてしまい、心が死んでしまっていたり…散らかる理由は人それぞれ。

家が散らかっているのは、単にだらしないのではなく、ひどく切ない理由があるのです。

というように、この小説は大庭十萬里が請け負った仕事の経過を見るような形で進んでいきます。

中高年世代にはひどく切ない部分も多々有ります。私は特に「木魚堂」と「豪商の館」は涙なしには読めませんでしたよ。

しかし、物事はなんでも、辛いこと、切ないことを避けていては逆にそれにとらわれるばかり。思い切って現実を見つめ、取り組むことで局面が開けることが多々あります。そんなことを真剣に考えさせてくれる小説でした。

そして、読み終わったら猛烈に片付けたくなります！実際に私は、読み終わってすぐにクローゼットの中身を全部出して整理をしました。そういった意味では、下手な片付けノウハウ本よりよほど実用的かも。

そして何より面白いのは大庭十萬里のキャラクター。これ、ドラマ化して欲しい！！大庭十萬里は、そうだなぁ〜、私なら高畑淳子さんをキャスティングしますね。