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旅ノート・散歩ノートのつくりかた(奥野宜之)

ノートに記録することで、自分が何に惹かれるのか見えてくる。

旅ノート・散歩ノートのつくりかた
奥野 宜之(著)
夏のお楽しみが気になる季節です。旅行やレジャーは、計画を立てたり余韻に浸ったりする時間がまた楽しいですね。私は今年の夏は海外への調査旅行を企てています。仕事の合間を縫って、情報を集めてワクワクしているところです。

さて、今月のおすすめの一冊は、旅の準備や記録をノートにまとめようという本です。著者の奥野宜之さんは、ベストセラーとなった『情報は1冊のノートにまとめなさい』シリーズで名をはせた方です。日々の記録をどんどんノートに蓄積することを提唱し、実践されています。

本書の特徴はなんといっても豊富な写真です。奥野さんが作られた旅ノートの表紙や中身をオールカラーで惜しげもなく公開しています。パラパラ眺めるだけでも楽しい本です。

私がとりわけいいなと思うのが、準備よりさらに前の段階について述べられた部分です。とにかく気になったことはなんでもノートに記録しておく。新聞や雑誌をめくっていて気になる記事があったら、あるいは広告やパンフレットで気になる写真があれば切り取って貼りつける。それを続けることで、自分がどんなこと、どんなところに惹かれるのかが見えてくるというところです。

奥野さんが作られた情報集めの段階のノートの写真が載っていますが、チェコのプラハのお城の写真の横に、奈良の興福寺の阿修羅像の写真が貼ってあったりします。一見バラバラなのですが、「ちょっと気になる」段階では、下手に分類したり整理したりしようとすると面倒になったり、大きな視野でとらえられなくなるのです。

奥野さんは、行くか行かないかにかかわらず、一冊のノートに気になるものを逃さず貼りつけることで、好奇心を広げ、「自分の心が求めている景色を意識に刷り込む」のです。

これは旅に限らず、広く応用の効く習慣だと思います。自分の関心に沿って知識や教養が蓄積され、それらがつながっていって、人生の楽しみを増やすことになると思います。仕事のアイディアも生まれてきそうですね。学生さんならキャリア開発にも有効だと思います。

旅の途中で収集、記録しておくとよいこと、そのための工夫の数々についても、もちろん微に入り細に入り紹介しています。地図やパンフレットは複数もらって加工できるようにする。立ったまま書きやすい小さめのメモ帳やカードに見たこと感じたことを書いて、あとでパンフレットの写真などとうまく組み合わせてノートに貼る。こうすると、字ばっかり写真ばっかりにならず楽しい紙面になるそうです。

そう、夜に宿でその日の記録をまとめて書こうとすると、順番どおりに書くのが面倒になったり、疲れてしまって雑になったり、寝てしまって書けない日がでてきたりするんです。その場でとったメモをノートに貼るというワザ、やってみたいと思います。

パソコンで情報を整理してキレイな画面を作ることも楽しいですが、アナログのノートには臨場感があって、味わいがあるのが魅力ですね。楽しい旅ノートづくりに最適なグッズや文具も写真で紹介されています。百聞は一見に如かず。この夏に旅行の計画のある人もそうでない人も、ぜひ本書を手に取ってみてください。
旅ノート・散歩ノートのつくりかた
奥野 宜之(著)
ダイヤモンド社 (2013)
下町散歩、雑貨屋巡り、歴史散策、山歩き、国内・海外旅行、ライフログ…。オールカラーで実物ノートを多数掲載。人気“ノート作家”が教える41のコツ。 出典:amazon
profile
橋本 信子
同志社大学嘱託講師/関西大学非常勤講師

同志社大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。同志社大学嘱託講師、関西大学非常勤講師。政治学、ロシア東欧地域研究等を担当。2011~18年度は、大阪商業大学、流通科学大学において、初年次教育、アカデミック・ライティング、読書指導のプログラム開発に従事。共著に『アカデミック・ライティングの基礎』(晃洋書房 2017年)。
BLOG:http://chekosan.exblog.jp/
Facebook:nobuko.hashimoto.566
⇒関西ウーマンインタビュー(アカデミック編)記事はこちら

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