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パンとスープとネコ日和(群ようこ)

パンとスープとネコ日和
群ようこ(著)
大貫妙子「パンとスープとネコ日和」という歌。
偶然知って気に入っていました。

そして出会った 群ようこさんの『パンとスープとネコ日和』。

あれ?同じタイトルだ。

それもそのはず。

2012年4月に角川春樹事務所から単行本として刊行された『パンとスープとネコ日和』は2013年の夏にWOWWOWでテレビドラマ化されていたのです。

大貫妙子さんの歌はその主題歌だったというわけ。

ドラマを見ていなくて良かった。

まっさらな気持ちで読むことができます。
主人公のアキコは出版社勤務の独身女性。本造りに没頭しているうちに早くも40代半ばになってしまった。アキコを女手一つで育ててくれた母カヨ。住居部分の1階で営む食堂は、いわゆる大衆食堂で常連も多く、賑わっていた。しかし、カヨは突然亡くなってしまった。

アキコは職場での人事異動を一つのきっかけとして、食堂をリニューアル。自ら調理師免許を取り、自分なりの理想を盛り込んだカフェをオープンさせる。メニューは、サンドイッチとスープ、サラダとフルーツのみ。

そんなアキコの元に、ネコがやってきた。グレーのキジトラで、女の子なのに名前は「たろ」。アキコは「たろさん」と呼んでいる。パンと、スープと、たろさんと。ほかほかした日常に、一つの「謎」差し込んでくる。アキコはその謎におずおずと近づいていくのだった。
私も意外なジャンルへの転職をした経験があるため、会社を辞めて新たにカフェを開こうとするアキコにはすごく共感できました。

うまくいくかどうかわからない、不安要素はいろいろあるけれど、自分のやりたいことにチャレンジする爽快さ!

頑張れアキコ!

カフェには”しまちゃん”という力強い相棒が現れます。

外見が「プロゴルファーの不動裕理選手」に似ていて、実際に体育会系の彼女の言動はとても気持ちがいい。

こういう登場人物がいる小説は、読んでいて楽しいです。

そしてなによりネコの「たろさん」!

飲食店の2階部分でネコを飼うからには、と、アキコは衛生にはとても気をつけます。

だからこそ「たろさん」は甘えてもいい時間はめいっぱいアキコに甘えるのです。

その描写がもう、ネコを家族に持つ者にはたまらないものがあります。

かわいいぞ~!!
たろさん!!

私もたろさんをモフモフしてみたい。

しかし読んでいて楽しいことばかりではありません。

主人公とほぼ同年代のせいで、いろいろな心情が手に取るようにわかり、切ない部分もありました。

でも、人生いろんなことがあるからこそ、日常を慈しんで生きなくちゃね。

何気ない1日を過ごせることの幸せを感じる一冊。

ドラマも見てみたくなりました。

それにしても「ネコ日和」ってどんなお天気なんでしょうね。
パンとスープとネコ日和
群ようこ(著)
角川春樹事務所(2013)
唯一の身内である母を突然亡くしたアキコは、永年勤めていた出版社を辞め、母親がやっていた食堂を改装し再オープンさせた。しまちゃんという、体育会系で気配りのできる女性が手伝っている。メニューは日替わりの(サンドイッチとスープ、サラダ、フルーツ)のみ。安心できる食材で手間ひまをかける。それがアキコのこだわりだ。そんな彼女の元に、ネコのたろがやって来たー。泣いたり笑ったり…アキコの愛おしい日々を描く傑作長篇。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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