面白かった~。
多分、京阪神に住んでいる人、特に大阪にゆかりがある人には
たまらなく面白く、痛快であろうと思います。
しかし、いろんなカスタマーレビューを読むと、関西圏以外の人には
「前作(「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」)に比べると、
テンポが悪い、ひきこまれない、長い」とあんまり評判が良くない様子。
その温度差はおそらく、大阪人の東京に対する意識が根底にあるかどうかだと思います。
ネタばれしないように慎重に書くようにしますね。
大阪の男たちには、代々申し送りされる使命があるというのです。
その使命は、もしかしたら自分が生きている間に一度も行わずにすむかも
しれないけれど、父親が死を覚悟したときに息子に語り継ぐ、大切なこと。
そして、その話を普段は決してお互いにしてはいけない。そんなことが
あること自体を話題に上らせてもいけない、というのです。
で、35年ぶりに「その日」がやってくることになります。
きっかけとなったのは東京からやって来た3人の会計検査院の調査官と
大阪は空堀商店街に生まれ育った二人の少年少女。
東京VS大阪、徳川VS豊臣…。今は天下をとっている東京だけど
実は大阪はね…(あー!しゃべりたい、でもここまでにしときましょ)
心の奥に「東京、なんぼのもんじゃい」という気持ちがあり、
小説の中の風景がことごとく目に浮かぶからこそ、この小説が倍楽しい…。
地域限定の作品になってしまったのはそういうことかな、と思います。
内容は書かないけれど、登場人物の名前を列記しておきましょう。
松平元、橋場(はしば)茶子、真田大輔、蜂須賀勝、島猛司、長曽我部、
前田玄二郎、加藤清志、福島(通称正やん)、黒田孝一、塙団次、
宇喜多…。
ざっと目に付いた姓名(苗字だけもあり)をあげてみました。
戦国時代に詳しい方は、もしかしたら大雑把なストーリーまで
わかったかもしれません。ただし、巻末にはこんな注が・・
『本作品はフィクションであり、実在の組織、個人とは関わりのないことを明記します。』
お勧め度は★★★★☆
最後の星がうまらなかったのは、確かに前作2つに比べたらローカルすぎ
話も大きすぎたかも、ということで。
そうそう。
私がどうしてもわからなかったのは、
なぜ真田ジュニアが性同一性障害でないといけなかったのかということ。
必然性がわかりませんでした。
それから、ストーリーに直接関係ないけど「へぇー!」と思ったのが
豊臣秀吉が天皇から賜った五三桐紋のうんちく話。
今の私たちの周りにも使われている…500円硬貨、
パスポートの写真のページ、総理大臣の公式会見の場など…。
知らずに見ていたけど、歴史的な背景があるものなんだなぁ~
トリビア~♪♪ |
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター
コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、
ナレーション、アナウンス、 そしてライターと、
さまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
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著書:パーソナリティ千波留の読書ダイアリー
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。
だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。
「千波留の本棚」50冊を機に出版された千波留さんの本。
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