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ご立派すぎて(鈴木輝一郎)

ご立派すぎて
鈴木輝一郎(著)
出版社:講談社 (1998)【内容情報】(「BOOK」データベースより)結婚する気になった男、丹波十四朗、29歳。世話焼きの伯母が次から次へとお見合い話を持ってくるが、悪戦苦闘、連戦連敗の地獄に迷いこむ。厳しい“お見合い戦線”で勝ち抜く秘訣は何か。お見合い歴30回以上の著者だからこそ書ける本格お見合い小説。お見合いの実態を暴いて大爆笑まちがいなしの傑作長編。(出典:amazon
お見合い経験はおありですか?
私はありません。
お見合いがこんなにも
波瀾万丈、奇妙きてれつな人との出会いの場なら、
後学のため一度くらいはしておけば良かった。
そう思わせてくれるのが鈴木輝一郎さんの『ご立派すぎて』。

鈴木さんはお見合い歴30回以上なのですって。
つまりはその数だけ、
不調に終わった経験をお持ちということ。

タイトル『ご立派すぎて』は
お見合いの断り文句なんですってね。
確かに、
「ご立派すぎて私などにはもったいないかたです」
と言えば、相手を傷つけず、仲人の面子も保てます。
本音とは別に、こういう言葉でやんわり断るところが
日本人らしいといえましょう。

***
丹波十四朗は29歳。
実家の建材店をを手伝いながら、
小説家になることを夢見ている。
とはいえ、新人賞に応募しても、
結果は伴っていない。

それでもあきらめたくない十四朗にとって、
結婚など考えてもみないことだった。
しかし、世話焼きで口のたつ伯母に丸め込まれ、
お見合いをすることを決意した。
まさか、その先何十回も
「ご立派すぎて」と言われようとは考えもせずに。
***

この小説、著者は「フィクション」と断っていますが、
どう考えても鈴木さんの実体験を元にした、
限りなくノンフィクションに近いフィクションだと思います。

そのせいか、十四朗の言動の一つ一つにリアリティがあります。
小説家志望ということで、ロマンティックなところがあり、世間知らずでもある。
良かれと思って、発する言葉がとんでもない。
もし私が仲人さんだったら、
テーブルの下で何度も脚を蹴りまくることでしょう。

アホすぎてなんだか いとおしい。
十四朗にだんだん情がわいてきて、
応援せずには居られなくなります。

十四朗だけでなく、彼の家族、
特にお見合い話を持ってくる
パワフルな叔母さんの含蓄深い語録も楽しい。

また、お見合いと平行して進行する、
十四朗が応募した文学賞の行方。
私は十四朗と一緒に泣きました。

十四朗は無事に結婚相手を見つけられるのか?
小説家として日の目を見ることができるのか?

おもしろいので是非ご自分で読んでください。

結果はどうあれ、
人生あきらめちゃイケマセン。
継続は力なり。
何事も続けていきましょう、と、
そんなエールももらえる小説でした。

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、
ナレーション、アナウンス、 そしてライターと、
さまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BLOG ⇒PROページ

著書:パーソナリティ千波留の読書ダイアリー
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。
だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。

「千波留の本棚」50冊を機に出版された千波留さんの本。
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