オセアノ号、海へ! (アヌック ボワロベール)
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![]() オセアノ号、海へ!
アヌック ボワロベール (著) 7月になりましたね! 今年の夏、旅の予定がある方は、 すでにもう、心がちょっぴりウキウキしちゃってる方も おられるかもしれませんね。
私も今年は、旅したい気分がやたら旺盛でして、今月は自分のお店で旅にちなんだ企画展を開催し、それが終わると数日間、友人2人とともに石垣島方面へ遊びに行きます。 昨年行こうと計画しながら、都合がつかなかったという経緯があり、1年越しのウキウキです。 ということで、独断と偏見?で、今月は、海の絵本をご紹介したいと思います。 「オセアノ号、海へ!」は、ハイセンスなビジュアルで、立体的に海の姿を表現した絵本です。 この絵本は、立てて読みます。 立てた状態で本を開くと… 水平線(水面)が前に飛び出してきて、上半分では海の上の様子を、下半分では海の中の様子を楽しめる、ポップアップ絵本なのです。 タイトルにあるオセアノ号という船が、広い海へ出て、様々な経験をします。 荒々しい海、静かな海、寒い海、暖かい海…。 オセアノ号のゆく先々で、海は色々な表情をみせます。 テキストはナレーションのようで、込み入ったストーリーがあるわけではありません。 イラストは細かい要素を沢山含んでおり、隅々までじっくり眺めていると、テキストにない発見も大いにあります。 つまりこの絵本は、ビジュアルを楽しむための絵本。 何よりセンスがいいなあと思うポイントが、この平面的なイラストと立体構造の組み合わせです。 登場する船も人も魚たちも、広がる海も、イラストは、あえて平面的に図案化されています。 シルエットで何かが描かれることはあっても、船や人、魚たちに影はありません。 本を開いて立体構造になったときに現れる奥行きと影を計算に入れた、絶妙のバランスだなあと思います。 また、デジタルで描きつつも、味気ない印象とならないように、テクスチャーを加えて、イラスト全体にアナログ感を添えています。 これらの凝り方がとってもオシャレで、大人の感性を心地よく刺激します。 さて。 途中オセアノ号は、嵐の海を乗り越えて、最後に楽園のような南の海にたどり着き、その旅を締めくくります。 その海の中は、これでもか!というくらい色とりどりで、賑やかで、空の色は、南の海の暖かな温度を感じさせるよう。 海への憧れといえば、もちろんこの景色よねえ!と、思わずにはいられない、見事な見開きが最後に楽しめます。 そういえば、私も昨年、石垣島への旅を断念した時、この最後の見開きに慰めてもらったことを、今思い出しました(笑) 海へ憧れる気持ちに浸りたくなったら、ぜひ読んで(というか眺めて)頂きたい一冊です。 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |
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