HOME  Book一覧 前のページへ戻る

三千枚の金貨(宮本輝)

三千枚の金貨 上・下巻
宮本輝(著)
出版社:光文社(2010/07)
【内容情報】(「BOOK」データベースより)どこかに金貨が埋められている。桜の木の下だという。働き盛りの男三人と彼らより一回り年下の女性が手を結んだ。その金貨が語る膨大な物語とは。(出典:楽天ブックス
ちょっとしたミステリが盛り込まれているので
ネタばれしないように気をつけつつ、あらすじを。
主人公は、魅力的な文房具を制作販売している会社に勤める斉木光生。
同僚の川岸知之、宇津木民平との3人で、マミヤ三銃士と呼ばれている。
(マミヤは会社名)

斉木光生は以前 入院していた時に
死を目前にした老人から不思議な話を聞かされていた。

それは、ある桜の木の下に三千枚のメイプル金貨を埋めた、
もし見つけたらアンタにあげよう、という内容。
その時は死ぬ間際の老人の妄想に付き合わされたと思っていたが
ふとしたきっかけから、本当の話ではないかと思い始める。

ヒントはほんのわずか。
そのヒントを元に、立ち上がるマミヤ三銃士。
その金貨は、どうやら危ない由来らしく
三人の周辺には、闇の顔を持つ金融機関の手も伸びてくる。
金貨を遺した老人の正体は?
そして本当に金貨は見つかるのか?

この小説は光生がパキスタン旅行から帰ってきたところから始まります。

その旅行途中で、肛門部に痛みを感じ、帰国早々手術。
痛みの原因だった「痔ろう」という病気の恐ろしさが延々と語られ
「こ、こわー!!!もしなったら恥ずかしがらずに
即病院に行かなくては」とおそれおののきつつも
「で?三千枚の金貨は?」とついつい思ってしまうのでした。

それは最初だけの印象ではなく、
私にはタイトルになっているメイプル金貨探しよりも
数々織り込まれているサブストーリーのほうが面白く感じられました。

文房具、釣り忍(本物は見たことがありません)。
ゴルフのベストショットを打つための極意、骨董品などのウンチクはもちろん
一時の気の迷いで浮気をした相手が会社にまで乗り込んできたとき
奥さんがどのように対応したかなどなど、
エピソードの一つ一つが、丁寧に書き込まれていてすごく面白い。

それはもしかしたら、宮本輝の小説の特徴かもしれません。
以前読んだ「約束の冬」上下のときも
ストーリーよりも、挟まれていた「空を飛ぶクモ」の話が印象深かったと
書いておりますから。

ここから先はネタばれあります。
これから読む方は避けてくださいね。

それに比べて、タイトルになっている三千枚の金貨エピソードの希薄さよ。
その金貨を遺した老人(芹沢由郎)の生い立ちや人物像も
なんとなく中途半端な感じ。

人物像を浮かび上がらせるのは
調査会社の報告書類なのだけれど
何人もの人が芹沢由郎について語る手法が
昔読んだ有吉佐和子「悪女について」を思い出させました。

金貨が埋まっている場所も
あの広大な和歌山県のどこかにポツンと咲いている見事な桜という
砂漠の中から一粒の石を見つけるような…というわりに
あっさりと見つけられちゃうんです。
ありゃりゃ。

そして金貨に関係する闇の顔を持つ金融機関も
あっさり消滅。都合よすぎませんか?という展開です。

それを補ってあまりあるのは、やはり宮本輝の筆の力で
何度も言いますが、挟まれているエピソードの一つ一つが
それだけで短編のネタになりそうな面白さです。

お勧め度は★★★☆☆
本筋が薄い分、星が少なくなりました。

【おまけ】
メイプル金貨三千枚の話が実話だと判明するきっかけとなった女性が
バーMUROYのママ、室井沙都。

ふーん、三銃士が出てきて金貨ザクザクで美女登場ときたよ、
さては沙都はミレディか?と深読みしちゃいました。

深読みしながら最後まで読んで
「え?ミレディじゃなかったやん!!」
期待を裏切られた不満がふつふつ。
いえ、勝手に深読みした私が悪いんですけどね。

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、
ナレーション、アナウンス、 そしてライターと、
さまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BLOG ⇒PROページ

OtherBook

千波留の本棚

サラリーマンは規格どおりの部品たれ?

鉄の骨(池井戸潤)

千波留の本棚

自分らしさってなんだろう?

これだけで、幸せ(小川糸)

千波留の本棚

読書は現実から離れ、しばし夢を見るひ…

アウシュビッツの図書係(アントニオ・G・イトゥルベ)




@kansaiwoman

参加者募集中
イベント&セミナー一覧
関西ウーマンたちの
コラム一覧
BookReview
千波留の本棚
チェリスト植木美帆の
「心に響く本」
橋本信子先生の
「おすすめの一冊」
大人も楽しめる
英語の絵本&児童書
小さな絵本屋さんRiRE
女性におすすめの絵本
手紙を書こう!
『おてがみぃと』
本好きトークの会
『ブックカフェ』
絵本好きトークの会
『絵本カフェ』
手紙の小箱
海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
海外暮らしの関西ウーマン(イタリア)
関西の企業で働く
「キャリア女性インタビュー」
関西ウーマンインタビュー
(社会事業家編)
関西ウーマンインタビュー
(ドクター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性経営者編)
関西ウーマンインタビュー
(アカデミック編)
関西ウーマンインタビュー
(女性士業編)
関西ウーマンインタビュー
(アーティスト編)
関西ウーマンインタビュー
(美術・芸術編)
関西ウーマンインタビュー
(ものづくり職人編)
関西ウーマンインタビュー
(クリエイター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性起業家編)
関西ウーマンインタビュー
(作家編)
関西ウーマンインタビュー
(リトルプレス発行人編)
関西ウーマンインタビュー
(寺社仏閣編)
関西ウーマンインタビュー
(スポーツ編)
関西ウーマンインタビュー
(学芸員編)
先輩ウーマンインタビュー
お教室&レッスン
先生インタビュー
「私のサロン」
オーナーインタビュー
「私のお店」
オーナーインタビュー
なかむらのり子の
関西の舞台芸術を彩る女性たち
なかむらのり子の
関西マスコミ・広報女史インタビュー
中村純の出会った
関西出版界に生きる女性たち
中島未月の
関西・祈りをめぐる物語
まえだ真悠子の
関西のウェディング業界で輝く女性たち
シネマカフェ
知りたかった健康のお話
『こころカラダ茶論』
取材&執筆にチャレンジ
「わたし企画」募集
関西女性のブログ
最新記事一覧
instagram
facebook
関西ウーマン
PRO検索

■ご利用ガイド




HOME