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■関西ウーマンインタビュー(リトルプレス発行人編)


平山 久仁子さん(認知症情報フリーペーパー『Almama』)

平山久仁子さん (認知症情報フリーペーパー『Almama』発行人/ATT'S LLC 代表社員)
金蘭会学園高等学校、大阪文学学校卒。財団法人都市調査会研究部に所属して、気候の変化と消費行動の関係を検証する「経済気象研究会」主催、「世界湖沼環境会議」立ち上げに携わる。1989年にプランナーとして独立。その後は三和総合研究所嘱託、日刊建設工業新聞や日本医療衛生新聞にて記者としても活躍した。1994年にATT'S LLCを設立。現在はWEBサイト企画・運用や情報誌企画・発行、PR、メディアタイアッププロモーション、セミナー、講演などの業務に携わる。2015年9月に認知症情報フリーペーパー『Almama』を創刊。

認知症情報フリーペーパー『Almama』
FB: https://www.facebook.com/ATTS-LLC-741471489296416/
ATT'S LLC HP: http://atts.jp
認知症情報フリーペーパー『Almama』とは?
認知症治療の最前線や世界の認知症事情、介護の現場紹介、介護体験談、予防になるかもしれない食材紹介など、さまざまな角度から認知症に関する情報を発信しています。正確で信頼できる情報を発信できるよう、NPO法人MVCメディカルベンチャー会議の医師に記事の監修を依頼。隔月1回発行し、病院や薬局、施設、カフェなどに設置しています。認知症介護中の家族や医師、薬剤師、介護関係者のみならず、さまざまな人たちに読んでもらいたいです。
『Almama』を創刊するきっかけは?
私自身の認知症介護体験がきっかけです。父は10年前、母は5年前から認知症を発症して、父は認知症専門病院へ入院しました。入院前は坂を登るなどしっかりと歩いていた父が、入院10日目にして歩けなくなったんです。次第に、目も開けず、会話もできなくなりました。「このままではいけない。おかしい」と思って、入院50日目に転院。すると、父は日に日に元気になり、会話も、笑うこともできるようになりました。「入院先によって、こんなにも違うのか?!」と驚くと同時に、最初の入院によって衰えた歩行機能は回復しなかったので、何も知らなかった自分を責めました。

病院や施設によって対応にばらつきがあったり、医師によっては「認知症の患者は、物事がわからなくなる」という思い込みがあったり、介護サービス利用にたくさんのハードルがあったり、認知症高齢者をターゲットにした悪質なビジネスがあったり・・・認知症を発症した人たちや家族の置かれている状況が見えてきて、「この現実って、どうなん?どうにかならないの?」って。今の社会を築いてくれた高齢者が大切にされず、生きにくい世の中があるなんて、そんなのはおかしいと思いました。

誰かに会うたび、「認知症について、こんな現実があるんです。おかしいと思いませんか?」と話していたら、「それが現実だよ」「どうしようもないよ」と言われるばかり。でも、私はその「どうしようもない」が納得できない! じゃあ、私には何ができるだろう。以前、業界新聞の記者をしていたので、新聞ならつくることができるかもしれないと思いました。
創刊に向けて、何から行動を始めたのですか?
最初から「創刊しよう!」と意気込んでいたわけではありません。監修や費用などについて「試しに聞いてみよう」くらいの気持ちでした。でも、さまざまな人と出会い、話すうち、「創刊するしかないでしょう!」という状況になったんです。

まずは、医師に監修してもらいたいという考えがありました。認知症に関する書籍やWEBサイトはたくさんありますが、さまざまな角度・種類の情報をまとめているものはありません。また、それぞれの媒体が発信している情報に相反するものがあり、「何が正しいのか?」がわかりにくい。正確な情報を発信するためには医師の監修が必須。でも、「何科の先生に依頼すればいいのか?その費用は?」など疑問だらけ。

大阪市Collabo'S316「介護・福祉、医療関連分野の商品・サービス開発相談室」のNPO法人MVCメディカルベンチャー会議 理事長 武蔵先生に、「医師監修のもと、認知症のフリーペーパーを出したいんです」など思いやいきさつを話したところ、「監修を頼めそうな先生がいるから、まずはスケジュールを教えて」と話が前進。まさか、ここで、そんな話になるとは思っていなかったので、「えっ?」と内心、大変なことになったなあと思いました。

もし創刊するとして、取材や原稿は自分で、デザインもなんとかできる。ただ、印刷はできないから、印刷費を調べてみようと思いました。新聞社系列の制作・印刷会社に見積もりをお願いしたら、「何をつくるんですか?」「どうして?」「編集体制は?」など聞かれ、思いやいきさつを話すと「そういう新聞はありませんよね。応援しますよ!」と印刷のみならず、1人で制作するのは大変だろうと、編集もサポートしてくださることになったんです。

計画も、準備も何もない状態でしたが、みんなが力を貸してくださるなら、「やるしかないだろう!」って。「やれたらいいなあ」とぼんやり思い始めて半年後、2015年9月に創刊しました。
現在まで3号発行されましたが、創刊してみてどうですか?
62歳にしてフリーペーパー創刊という新しいチャレンジをするとは思ってもいませんでした。もともと作家志望だったので、そろそろそちらへ・・・と思っていたんです。でも、新しいチャレンジをしたからこそ、新しい出会いがたくさんありました。

監修の医師や制作・印刷会社の方々、取材先の方々はもちろん、創刊後は「ここに設置するよ!」「私も置いてもらえるところは探すわ」など声をかけてくださる人たちがいて、あっという間に沖縄から山形まで設置してもらえる場所が広がっていきました。どこかで手にしてくださった読者から電話やメールをもらったこともあります。そうやってつながった人たちが、『Almama』を発行し続けられるように、「なんとか、やっていきましょうね!」と思ってくれているのを実感しています。

こんなふうに広がるのは、必要とされているからこそ。方向性は間違っていなかったなあと思います。「費用はどうするのか?」「そのための広告をどう獲得していくか?」「継続して発行するための体制をどう整えるか?」など課題はたくさんあります。くじけそうになると、「私って、どうにもならないくらい、すべてをやりつくした?」と自分に問いかけます。そうしたら、「まだ、あの人には頼んでないよね」「入院するほど、体も悪くなってないから動けるよね」と、まだやれることが残っていることに気づき、次の一歩を踏み出せるんです。
お仕事をされる中で、いつも心にある「想い」は何ですか?
現実の仕事や暮らしにおいては、目の前にある課題の解決に追われ、短期的な収益の確保を優先してしまいます。それに捉われすぎないようにしたい。自分が大切にしたいもの、貢献したいと思うもの、生きていきたい世界のあり方を見失わないようにしたいんです。

『Almama』を創刊して以降は、「誰でもが出会うかもしれない不運の中で、声なきまま流されている人がいることを知らせる」ジャーナリズム本来の姿勢に重点をおきたいと思うようになりました。

私の根本には「なんで、そうなるの?」「こうなったら、楽しいよね」という思いがあります。介護に疲れて親を連れて自殺、老老介護で殺害・・・この現実、その背景を知ったら、どう思うでしょうか。みんな、そんな老後を望んでいますか?これまでの世の中が追求してきたことに歪みや破たんが生じているから、こうした現実があって苦しんでいる人たちがいるので、それが変わると楽しいよねって。

長い視点で捉えると、長寿社会と言われるようになったのは、まだ最近のこと。はじめてのことに向き合うんだもの、いろんな課題は当然あります。認知症が恐い、長生きしても楽しくない・・・ではなく、健康でなくても、長寿を喜べる生き方はきっと見つかるはず。認知症は人が生きて死んでいくことを知って考える、一つのきっかけになるのではと思うから。『Almama』では、そんな情報を伝えていきたいんです。
同じお仕事をしたいと思う方に、どんなアドバイスをしますか?
今は今で、すべてではない。いつでも決断して走り出せば、そこがスタートライン。あまり準備をしすぎず、勇気に集中して、立ち止まらないことです。走り出すのは一人でも、何かをなすのは一人ではありません。誰かがきっと力を添えてくれます。だから、誰かの笑顔があなたの夢でもあることも大切です。多くの人が、心にあるそんな夢を叶えようとしたら、きっと「これから」は素敵になると思います。
ありがとうございました。
(取材:2015年12月/撮影場所協力:北浜T4B) 
取材:小森利絵
ライター/HP:『えんを描く』
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。


 

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