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■先輩ウーマンインタビュー


中村 八重子さん(元 京都府立鳥羽高等学校 教員)

 
中村 八重子さん 元 京都府立鳥羽高等学校 教員
昨年2014年春まで、京都府立鳥羽高校の定時制で国語の教師として勤務されていた中村さん。実は50年も「教師になりたい」という想いを抱き続けていました。会社員を定年退職後、定時制高校に入学し、卒業後は教員免許を取るために立命館大学に入学。若い学生と共に大学で学び、72歳で卒業、念願の教師になられました。その後は母校となる鳥羽高校で国語の教師として、ご自身と同じ定時制に通う生徒たちを教えてこられました。「諦めない」中村さんの熱い気持ちに、「いつでも夢にチャレンジできる」という勇気をいただきました。
「教師になりたい」という想いは、いつからお持ちでしたか?
昔若い頃、花嫁修業の一環としてお茶とお花のお稽古をしていまして、その先生がすごくお人柄の良い先生でした。すごく可愛がっていただきましたし、こういう人になりたいなと憧れておりました。

当時お茶やお花のお稽古というと、比較的裕福なご家庭の方が多く、また、段階ごとにお免状を取って初めて、次のお稽古をしていただくのですが、先生は私の家庭の事情を汲み取ってくださり、最後までお稽古を受けさせてくださいました。その優しさ、平等性、私もこういう先生になりたいと、その頃からずっと心に思い続けていました。
それから40年、いよいよ本当に「先生になる」とチャレンジされたのは定年退職後だそうですね。
会社員として40年余り働いてきまして、62歳で定年退職しました。その間いろんなことがありましたが、第二の人生を考え、ずっと想い続けてきたことに挑戦しようと思いました。

そこで娘に相談すると、まず高校から行って、基礎を初めから勉強したほうがいいと言ってくれて、64歳のときに定時制高校(京都府立鳥羽高校)に入学しました。定時制高校は4年制ですから、卒業したのは68歳。そこから大学受験したんです。
定時制高校の4年間、どんなことにご苦労されましたか?
英語は長いブランクがある分、それだけ努力すれば良いですが、理数は少し苦労しましたね。体育も全部他の生徒と一緒にしました。しんどいというより、楽しいほうが多かったですね。当時の担任の先生に「教員の資格を取りたい」と相談すると、「教師になってこの学校の生徒たちを教えて欲しい」と応援していただき、勇気をいただきました。
68歳で立命館大学の社会人入学試験を受けられました。
社会人入学試験では、まず書類選考がありますので、今までの自分の過程、どんな希望を持って生きてきたかとか、なぜ立命館大学を選んだのかというレポートを提出しました。その後、社会時事問題についての筆記試験がありましたが、時事問題は好きでしたので、なんとか合格しました。

私は森鴎外が好きでしたから、日本文学を学びたいと思い、文学部日本文学を専攻しました。4年間、孫のように若い18歳から20代の学生さんたちと一緒に大学に通い、要卒単位が124、それと同時に教職課程も取って、4年間で卒業することができました。

同級生の皆さんには、本当に良くしていただいて、グループで1つのテーマを決めて研究発表する時も、皆と同じように扱ってくれて、私は戦中派だから戦前の分野を担当するねというと、「助かるわあ」って(笑)。そんな感じで仲良くさせていただいていました。コンピューターも苦手でしたが、それも皆が助けてくれて。今でもお付き合いが続いていて、変わらず大事にしてくれているんですよ。
4年で大学卒業され72歳で念願の教師に。就任されたのは母校の鳥羽高校だったのですね。
大学卒業したら絶対教職に就きたいと思っていましたが、希望の高校に入れるとは限らないんです。

また、教員採用試験には年齢制限がありますから、実は教育実習の際、教員採用試験を受けられない人を、学校として受け入れは厳しいという声もありました。

そこで、教授からのご推薦をいただくことになり、異例ではあるけれど、教育実習を受け入れていただくことができました。

また、産休補助教員(教員が産休の間に代行する教員)の空きが出たときだけでもと願い出ていましたが、そうした希望は教育委員会にはたくさん来ています。その中から偶然、自分が通っていた鳥羽高校の教頭先生が見つけてくださったんです。こうしてたくさんの方々のお力添えがあって、教師として働くことができました。
定時制高校にはいろんな生徒さんがおられると思いますが、教科を教える以外にも、いろんな心のケアも必要だったのでは?
定時制高校というと、昔は経済的な事情で働きながら通う人たちが多かったのですが、今はいじめなどで登校拒否になった生徒も多く、多様な事情を抱えています。中には授業に集中できず、携帯電話で話しをしたり、寝ている子、教科書を持たずに登校する子、ギリギリまで遊んで遅刻したり、来なくなってしまう子どもたちもいます。

勉強は頑張っていても、出席日数が足りなくて辞めていくのは本当にもったいない。落第させることも辞めさせることも、私には耐えられないことですから、補習が必要な生徒には1対1で教えることも少なくありませんでした。

思い出すのが、あるやんちゃな男子生徒がいて、授業中に暴言を吐くし、学校にも来たり来なかったり。ある先生がその生徒を呼んで、「中村先生のことを君は知っているのか。あなたたちの先輩ですよ。この学校を64歳から通って卒業された人です」と言われたそうです。それを聞いてその生徒は、「僕、何も知らんかった。偉そうに言ってごめん」って私に言いに来たことがありました。

定時制高校の生徒は、いろんな事情があって来ています。いろんなことを抱え、来るだけでも大変だと思います。でもせっかくこの学校で学ぼうと決めたのだから、諦めないで卒業してほしい。夢を持って生きてほしい。私はいつも本音で接していましたから、やっぱりどの生徒も可愛いですよ。
昨年退職されて、これからどんなことにチャレンジされますか?
音楽が好きで、特にウィーン交響楽団のウィンナ・ワルツが大好きなんです。10年前、ウィーンの本拠地まで行って聴いてきました。本当に素晴らしかったので、またぜひ行きたいですね。今も週に1回は卓球に行っていますし、スポーツ観戦も大好きです。

今年は京都検定にチャレンジしました。京都検定は、歴史だけでなく、環境や食べ物など、多方面での勉強が必要です。娘夫婦も一緒に受けたので、私だけ落ちたらどうしましょう(笑)。まだまだ勉強することがたくさんありますから、すごく楽しいです。
中村さんのお話を聞いて勇気が出ます。頑張る女性にメッセージをいただけますか?
「こうありたい、こうしてみたい」と思うことは誰にもあると思います。それは絶対に諦めないで欲しいことと、目標は少し高いめに置くこと。少ししんどいかなと思うところに置けば、そこに近づきたいと思うし、やっぱりそれには努力は必要です。

簡単じゃないけど、自分が目標もって向かっていけば、必ずできると思います。もしダメなことがあっても、再度挑戦すれば良いんです。1回や2回で諦めない。私は今もそう思っています。
ありがとうございました。

撮影協力:
京都府立鳥羽高等学校 〒601-8449 京都市南区西九条大国町1
http://www.kyoto-be.ne.jp/toba-hs/index.html

京都府立鳥羽高等学校定時制 〒601-8449 京都市南区西九条大国町1
http://www.kyoto-be.ne.jp/toba-hs-tei/
(取材:2014年12月 関西ウーマン編集部) 
 

 

 

 


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