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小森 利絵
フリーライター えんを描く

おてがみじかん ライフスタイル 2025-01-15
“年賀状のある”ひとときがもたらす、ゆとり

今年の年始の挨拶はどのようにしましたか? 年賀状のやりとりはありましたか?

昨年10月に郵便料が値上がりしました。ハガキは63円だったのが、85円に。そういったこともあって、2024年の年賀状の時点で「今年で年賀状は終わりにします」というメッセージをちらほらいただきました。“年賀状じまい”という言葉もあるくらい、どんどん減っていっていることを感じます。

そういった時代の流れに乗りつつも、私は今年も年賀状が1つのコミュニケーションツールとして残していました。もちろん、年賀状以外を希望されている方には無理に送りません。変わらず“年賀状で”という方など、相手に負担をかけない範囲で(時々、私が送っているから返してくれている・・・という方のご様子も見ながら)、送らせていただいています。

今年はこんな年賀状を送りました。

はじめてが
いろんなはじめてを
運んで来てくれる

はじめての
道を通る 景色を見る
場所に行く 食事を味わう
人に話しかける
挑戦をする!

日々の中にちいさなことでも
自分の心が動く
はじめての何かを

すると いろんな
はじめてを運んできてくれて
「今度はこんなことを
してみたい」も芽生える

最近 どんな
はじめてを経験しましたか?
しようとしていますか?

私:切手をつくってみたい! 郵便局のオリジナル切手作成サービス…2025年こそは!

娘:油そばを食べてみたい。お店の前を通るたび、「ラーメン?」「汁がないの?」など謎は深まるばかり!


手にしてくださった時、どんな状況にあっても、空を少し見上げたくなるような、力が湧いてくるような気持ちになっていただけたらいいなぁと、そんなことを考えながら、この数年はメッセージを考えています。
表面にはハガキの半分くらい、メッセージを手書きします。書く時間はほんの数分ですが、そんな短い時間の中でも走馬灯のように、その人との出会いから今日までのことを思い出すから不思議!

宛名も手書きするので、昨年の年賀状を読み返します。「1年前にこんなメッセージをくださっていたのだ」と、当時受け取れなかったメッセージが響いてくることも。それだけ想像できることも、感じられることも増えたのかなぁと、自分のこの1年の変化を感じたりします。

そうして再び受け取ったメッセージに、1年越しにお返事を。1年、また1年と、ほそぼそとながらラリーが続いている場合もあって、おもしろいのです。
そして、2025年1月1日。昼過ぎに郵便受けを見に行き、年賀状を見つけ、ぽかぽかした気持ちに。いただいた年賀状を読む時間は、私にとって年始の贅沢で幸せなひとときです。1通1通手に取りながら、お一人おひとりの顔を思い浮かべ、心の中で

「あぁ、お元気そうでよかった」
「このこと、気になっていたんだ! 現状を知れて、ほっとした!」
「昨年質問した“推し”への回答が! 今年もうっかり聞いてしまったなぁ」
「昨年の年賀状に娘のInstagramのQRコードを。フォローしてくださったんだ!」
「十数年会ってないけど、『また会いたいね』が嬉しい! 私も同じことを書いた」

としゃべりかけています。
近々お会いできる方もいますが、お会いする予定がない方、年賀状だけのやりとりの方もいます。

お会いする予定がなくても、年賀状だけのやりとりになっていても、確かに積み重なっているものがあると感じるのです。もしかしたら、社交辞令的になっちゃっているかもしれない「またお会いしたいですね」のメッセージだって、「またお会いしたいですね」というラリーを毎年繰り返し、十数年越しに実現したことが過去にはありました。書いているうちに意識するので、チャンスがあればその方向に進んでいくのですよね。

そして、「年賀状でこんなメッセージをもらったから、すぐにお返事を」とよっぽどのことがない限りはならないという不思議も! LINE等でいただくと、私の場合「すぐに返事をしなきゃ」と焦ってしまいがちですが、お手紙なら「お返事は“また1年後”に」となれるのです。それがちょうどいいのが、年賀状のやりとり。「1年に1度、年始に」と共有できているものがあるからなのか、郵送だから「すぐ、その時の、リアルタイム」ではないからなのか。お手紙の持つ時間感覚が好きです。それがきっと、心のゆとりにもつながるのだとも。

余談ですが・・・年賀状を書きながら、受け取りながら、“年賀状だけでつながっていた、いつのまにかやりとりが途絶えてしまった人”の顔も思い浮かんできます。“年賀状じまい”は人間関係の整理も含まれているんだよなぁということを改めて感じた今年。出会いや別れ、そして再会もつきもの。ただ、年賀状でやりとりのあった人のことはなぜか覚えていて、気になって、「お元気でいてくれたらいいなぁ」と勝手に思ってしまうのでした。
年賀状をつくり始めた2024年11月21日から、年賀状を受け取る日々が続いた2025年1月7日頃まで。そんな“年賀状のある”ひとときを過ごしました。
profile
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 

著書『おてがみじかんで ほんの少し 心にゆとりを』

家族や友だち、仕事仲間、お世話になっている人、出会う人・・・・・・日頃、おしゃべりしたり、メールしたりして、気持ちや思いを伝え合っているつもりでいても、心に秘めたままのものがあったり、言葉にするのをためらっているものがあったりするものです。中には、自分でも気づけていない気持ちや思いもあるでしょう。

お手紙は、日頃は言葉として出てこない気持ちや思い、それに気づいて、認めて、改めて伝えるきっかけをくれるような気がします。なぜなら、お手紙を書く時間というのは、相手に思いを馳せて向き合うとともに、自分自身とも向き合うことになるからです。

お手紙を書くこと、やりとりすることで、「あ、わたし、こんなことを思っていたんだ」「あの人、こんなことを思ってくれていたんだ!」「あの出来事、こういうふうに感じていたんだ」と気づく機会となり、再びコミュニケーションを重ねていく“はじまり”のきっかけにしませんか?

本書は、著者の日常にある“お手紙というものがある時間”について書き綴ったエッセイです。この本を読んで、「あの人、元気にしているかな?」「あの人に改めて『ありがとう』という気持ちを伝えたいなぁ」など、ふと顔が思い浮かんだ“あの人”にお手紙を書いてみようかなぁと思っていただけたら嬉しいです。⇒amazon
 

『おてがみぃと』

『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。⇒『おてがみぃと』FBページ

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