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あみ りょうこ
版画家 ninjacco

AMIのAMIGO アート・芸術 2018-07-10
Vol.3 メヒコのメルカドを歩く、の巻

オラー、ブエナスタルデス! コモエスタス?? はやいものでメヒコ便りも第3弾になりました。

スペイン語をカタカナで書くと、なんとも不思議な感じがしますが、上のあいさつをスペイン語で書くとこんな感じになります。

Hola, buenas tardes. ¿Cómo estás?

「やぁ、こんにちは!元気?」という意味です。

日本語では「やぁ」とはなかなか言いませんが、メヒコではとりあえず人に会ったら「オラ!」と笑顔であいさつすれば、たいていにこやかな笑顔が返ってくるので、スペイン語はあいさつするのが楽しい言語です。

さて、今回はメヒコのおすすめ町歩き「メルカド(市場)」のことを紹介したいと思います。

日本では専門店というと商店街を思い浮かべますが、メヒコでは一つの場所にたくさんのお店が入った市場がいまだにたくさんあります。逆に長いアーケードのようになった商店街はないように感じます。

日本ではその商店街も最近はスーパーマーケットの台頭で姿を消しつつありますが、オアハカでは、各地区ごとに市場があるほどにいまだに市場文化が根強く残っています。

私も石鹸やシャンプーなどの日用品などはスーパーを利用することが多いですが、野菜や果物、お肉などの食料品に関しては市場を利用することが多いです。スーパーよりも近くに市場があるのもその理由ですが、やはり何よりも市場の食料品のほうが新鮮でおいしいです。

私がよく利用するのが、”Mercdo de la Merced”(メルセー市場)です。昨年くらいにリノベーションが終わったところで中もきれいな市場です。

赤い外壁がかっこいいですが、その前はオアハカの抜けるように青い空のようなスカイブルーの外壁でした。結構大胆に外壁の色を刷新したのには驚きました。
普段は建物の中だけの営業なのですが、日曜日にはさらに市が立つので建物の外もにぎやかです。
こちらはおもちゃ屋さん。雨期なので傘も大量に売られています。日本のように気候の変動が大きくあるわけではないので、こういう微妙な商品の入れ替わりで季節感を感じるときもあります。
市場の中に入ると所狭しと物が並べてあって、上を見ても下を見ても左を見ても右を見ても、モノ・モノ・モノ・モノ!閉店するときにはすべて店の中にしまって、翌日またディスプレイをするというので驚きです。
市場の中には食堂が並んだエリアもあることが多いです。この日は日曜日だったので、買い物ついでに朝ご飯を食べている家族連れがたくさんいて忙しそうでした。
メヒコの陳列の基本は「とにかく積み上げる」スタイルです。どこのお店に行ってもあらゆるものが絶妙なバランスを保って積み上げられています。
野菜もとにかく積み上げる。量り売りが多いので必要な分だけ買えるのもありがたいです。
アジアの野菜(特に根菜)を見つけるのは少し難しいです。大根は「ナボ」という名前で売られています。(↑写真中央)この日置いてあったのはとても小さいですが、味は大根です!
肉屋さんを初めて見たときは本当に驚きました。鶏肉屋さんは毛をむしられた鳥が丸ごと並んでいますし、部や肉屋さんや牛肉屋さんにはそれぞれ豚、牛の顔がドカンと置かれていたり、あるいは吊り下げられているのでおもわずぎょっとしてしまいます。

でも、様々な部位に切り分けられて売られているのを見ると、動物の命をいただいているんだなぁ、というのが目に見えて大切にいただこうという気持ちになります。

ちなみに、鳥の色が黄色いのは鳥の食べるエサが影響しているそうです。
いつも鶏肉を買っているお姉さんなので、写真を撮らせてほしいと頼むと息子さんを連れてきてくれました。市場の鶏肉屋さんで買う鶏は本当に臭みがなくて新鮮でおいしいです。
こちらも、どの市場にも必ずあるフレッシュジュース屋さん。その場で搾りたての果汁100%のジュースはめちゃくちゃおいしいので、メヒコの市場歩きをした際にはぜひ!
オレンジとニンジン、のように組み合わせて注文したり、シェイクやスムージーにしてもらうこともできます。
こちらの果物屋さんは日曜市が立つ時だけきているそうです。
メヒコのスイカは長いものが多いのですが、真ん丸の小玉スイカを見つけました。これは他州からきているそうで、種がないのが売りなのだとか。

果物屋さんを見ると旬の果物が一目でわかります。見極め方はもちろん、山積み具合です。
オアハカでは本屋さんをあまり見かけないかわりに新聞のニューススタンドのようなお店をよく見かけます。

新聞のほかに、雑誌や漫画など幅広く出版物を扱っています。雑誌も趣味のものからゴシップ雑誌など、どこの国も言語は変われど似たようなラインアップですね。

私は「進撃の巨人」をスペイン語の勉強がてら読んでいるのですが、発売日がわからないので市場に行くたびに新刊が出たか聞きに行っているうちに、店のおばちゃんのほうから「あんた~、新しいの出てるで~」と教えてくれるようになりました。覚えてもらってたと思うと、もうそこでしか進撃の巨人を買わなくなってしまいました。う~ん、商売上手!
アメコミも多くあるのですが、驚くべきは日本漫画の取り扱いの量。日本でも見たことないようなマイナーな漫画もたくさんあって日本漫画の人気の高さをこんなところで目の当たりにします。

ただ、このようなニューススタンドには最新刊か売れ残ったそれまでの巻が置いてあるだけなので、1巻から新しく漫画を収集しようと思ったらなかなか難しいようです。
「キャプテン翼」などの懐かしい漫画も人気でこちらでは「スーペルカンペオネス(スーパーチャンピオンズ)」という名前になっています。翼くんのオーバーヘッドキックシュートのフィギュアの完成度が微妙で妙に笑いを誘ってきます。
本屋さんの向かいでゼリーを売っていたおばちゃんたち。このおばちゃんたちが三輪車をこいできたとは思えないのですが、なんだか和む光景でした。
立ち去ろうとしたら、本屋さんのおばちゃんとゼリー屋さんのおばちゃんが「ドンホルヘも撮って帰ってあげて!」と服屋さんのホルヘのおっちゃんも最後に一枚撮らせていただきました。

「男前に写ってますよ、おっちゃん!」 「またそんなこと言うて」

というようなこてこてなやり取りをするにつけ、つくづくとメヒコと関西の雰囲気は似ているなぁとしみじみとしてしまいます。

ちなみに、私にはメヒコの人々は関西弁を話しているように聞こえます。たぶんあのスペイン語は、訳しても標準語にはならないような気がするのです。(完全に私のフィルター越しのイメージなのですが……。)

市場ではお店の人との小さなやり取りがあるのでメヒコの人々の生活の躍動感を見ることができて楽しいです。旅行で訪れた人も、食堂があったり買い食いができたりするのでメヒコ街歩きの際にはメルカド(市場)をぜひ!!

メルカドには、いろ・におい・もの・ひと、がたくさんあって、私が初めてメヒコに来た時に感じた「ライブ感」が詰まった空間といえるかもしれません。

それではまた次回!!
works
【今月の作品】
“LA BORRACHA”(シルクスクリーン)

メヒコのことを日本でもっと知ってもらうためにと始めたMexico-T Projectというプロジェクトをしているのですが、そのモチーフにはメヒコのカードゲーム「ロテリア」のモチーフを多く使っています。

その中に”EL BORRACHO(男の酔っ払い)”というカードがあるのですが、そのモチーフがおっちゃんなので、女版”LA BORRACHA(女の酔っぱらい)”というのを作りました。

これを着て街を歩いたら、「自分、酔っ払いのTシャツ着てるやん!!」などとつっこまれるかなぁ、それとも見て見ぬふりをされるのかなぁ、と袖を通すのが楽しみになるようなデザインにしてみました。

メヒコTプロジェクトについて詳しくはこちらからどうぞ。→https://mexicot.wordpress.com/
profile
あみ りょうこ
版画家

1982年大阪生まれ、兵庫育ち。メキシコのオアハカ州での暮らしを経て、2020年から日本に。 ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
HP:https://amiryoko.wordpress.com/
instagram:ninjacco
メヒコTプロジェクト

Vol.4 あみもののおばちゃん、の巻 アート・芸術 あみ りょうこ版画家
Vol.3 メヒコのメルカドを歩く、の巻 アート・芸術 あみ りょうこ版画家
Vol.2 買い食い大国メヒコ!の巻 アート・芸術 あみ りょうこ版画家
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