おてがみじかん
ライフスタイル 2024-11-20
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
家族や友だち、仕事仲間、お世話になっている人、出会う人・・・・・・日頃、おしゃべりしたり、メールしたりして、気持ちや思いを伝え合っているつもりでいても、心に秘めたままのものがあったり、言葉にするのをためらっているものがあったりするものです。中には、自分でも気づけていない気持ちや思いもあるでしょう。
お手紙は、日頃は言葉として出てこない気持ちや思い、それに気づいて、認めて、改めて伝えるきっかけをくれるような気がします。なぜなら、お手紙を書く時間というのは、相手に思いを馳せて向き合うとともに、自分自身とも向き合うことになるからです。
お手紙を書くこと、やりとりすることで、「あ、わたし、こんなことを思っていたんだ」「あの人、こんなことを思ってくれていたんだ!」「あの出来事、こういうふうに感じていたんだ」と気づく機会となり、再びコミュニケーションを重ねていく“はじまり”のきっかけにしませんか?
本書は、著者の日常にある“お手紙というものがある時間”について書き綴ったエッセイです。この本を読んで、「あの人、元気にしているかな?」「あの人に改めて『ありがとう』という気持ちを伝えたいなぁ」など、ふと顔が思い浮かんだ“あの人”にお手紙を書いてみようかなぁと思っていただけたら嬉しいです。⇒amazon
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。⇒『おてがみぃと』FBページ
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
文章を書く練習にもなる、お手紙 |
お声がけをいただいて、取材や原稿作成講座の講師を務める機会があります。
講座では「相手に伝える・伝わることを意識しつつ、何より文章というコミュニケーションツールを楽しく使えるように」というところにポイントを置き、フリーペーパーづくりやインタビュー体験などを実施。講座の最後には、日常的に文章を書くことに親しんだり、表現を磨いたりしていく方法の1つとして、お手紙を書くことをおすすめしています。
どうしてお手紙を書くことをおすすめするのか。その理由は2つあります。
講座では「相手に伝える・伝わることを意識しつつ、何より文章というコミュニケーションツールを楽しく使えるように」というところにポイントを置き、フリーペーパーづくりやインタビュー体験などを実施。講座の最後には、日常的に文章を書くことに親しんだり、表現を磨いたりしていく方法の1つとして、お手紙を書くことをおすすめしています。
どうしてお手紙を書くことをおすすめするのか。その理由は2つあります。
1つは、お手紙を書くことに慣れている世代は、書き言葉で書くことがスムーズな傾向があること。講座には20~80代までの幅広い受講者がいました。40代の私より上の世代になると、すらすらと文章を書き進めていかれる方が多い印象です。今のようにLINEなどが普及する前、コミュニケーションツールの一つにお手紙があったからではないでしょうか。文章で書いて伝えなければならない状況があったので、自然と鍛えられていたのだと思いました。
もう1つは、お手紙は“書く”コミュニケーションの中でも「1対1」という最少単位であること。マスメディアやSNSの投稿のように、多くの人たちを意識する必要がありません。一方で、日記のように、自分の好き勝手に書くものでもありません。お手紙は1人、誰かのことを思って、そのたった1人に伝えるために書きます。
その“たった1人に伝える”ことから始めることが大切なのではないでしょうか。多くの人たちを読者として想定した文章であっても、まず1人を想像できないと伝わりやすい文章は書きにくいと思うからです。具体的に相手のことを思い浮かべるほどに、伝えたいメッセージがより明確になっていきます。
もう1つは、お手紙は“書く”コミュニケーションの中でも「1対1」という最少単位であること。マスメディアやSNSの投稿のように、多くの人たちを意識する必要がありません。一方で、日記のように、自分の好き勝手に書くものでもありません。お手紙は1人、誰かのことを思って、そのたった1人に伝えるために書きます。
その“たった1人に伝える”ことから始めることが大切なのではないでしょうか。多くの人たちを読者として想定した文章であっても、まず1人を想像できないと伝わりやすい文章は書きにくいと思うからです。具体的に相手のことを思い浮かべるほどに、伝えたいメッセージがより明確になっていきます。
突然ですが! たとえば、誰かにプレゼントを贈るとします。
友だちと、出会ったばかりの人の場合とでは、どちらのほうがプレゼントの内容を決めやすいですか? 場合によるかもしれませんが、友だちのほうが決めやすい方のほうが多いのではないでしょうか。というのも、何が好みで、何が苦手で、最近そういえばこんなことに興味を持っていたなぁということが思い浮かびやすいからです。一方で、出会ったばかりの人では、好みや苦手もまだわからないので、あたりさわりのない、無難なものを選びがちになるのではないでしょうか。
文章を書く時も、これと似ていると思います。
「1人、この人に伝えたい」、しかも具体的に「こういう人」と思い浮かべば、「この人はこのことを知らないから、ここから話したほうがいいな」とか、反対に「この人はこのことを知っているから、説明は省いても大丈夫だな」とも思えます。また、「この人はこれに興味があるから、その例えを入れたほうがわかりやすいかな」ということも出てくるでしょう。
友だちと、出会ったばかりの人の場合とでは、どちらのほうがプレゼントの内容を決めやすいですか? 場合によるかもしれませんが、友だちのほうが決めやすい方のほうが多いのではないでしょうか。というのも、何が好みで、何が苦手で、最近そういえばこんなことに興味を持っていたなぁということが思い浮かびやすいからです。一方で、出会ったばかりの人では、好みや苦手もまだわからないので、あたりさわりのない、無難なものを選びがちになるのではないでしょうか。
文章を書く時も、これと似ていると思います。
「1人、この人に伝えたい」、しかも具体的に「こういう人」と思い浮かべば、「この人はこのことを知らないから、ここから話したほうがいいな」とか、反対に「この人はこのことを知っているから、説明は省いても大丈夫だな」とも思えます。また、「この人はこれに興味があるから、その例えを入れたほうがわかりやすいかな」ということも出てくるでしょう。
実は多くの人たちを意識するマスメディアでも、1人の読者像を具体的にイメージして意識した上でどんなメッセージを、どう伝えていくのかを考えています。雑誌の企画出しをする時、「ペルソナ(ターゲットとなる、具体的で代表的な人物像)を考えましょう」とよく言われていました。
雑誌には「○歳代の、○○○に関心のある人たち」といった読者層というものがあります。その読者層について、深掘りして「何歳で、どんな1日を過ごしていて、趣味は何で、どんな暮らしをしていて、どんなことに喜びを感じていて…」といったことを細かく考えた架空の1人の人物像をつくり上げるんです。そうすることで、企画を考える時は多くの人たちではなく、その1人の人物像に向けて考えるといいので、その1人に届くメッセージを選べるようになります。その1人は、読者層の代表的な人物像ですから、結果的にたった1人ではなく、読者層に届くメッセージとなるわけです。
具体的な1人に向けて、その1人に伝わるように書くお手紙は、“書く”コミュニケーションのいい練習にもなると思います。
雑誌には「○歳代の、○○○に関心のある人たち」といった読者層というものがあります。その読者層について、深掘りして「何歳で、どんな1日を過ごしていて、趣味は何で、どんな暮らしをしていて、どんなことに喜びを感じていて…」といったことを細かく考えた架空の1人の人物像をつくり上げるんです。そうすることで、企画を考える時は多くの人たちではなく、その1人の人物像に向けて考えるといいので、その1人に届くメッセージを選べるようになります。その1人は、読者層の代表的な人物像ですから、結果的にたった1人ではなく、読者層に届くメッセージとなるわけです。
具体的な1人に向けて、その1人に伝わるように書くお手紙は、“書く”コミュニケーションのいい練習にもなると思います。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
家族や友だち、仕事仲間、お世話になっている人、出会う人・・・・・・日頃、おしゃべりしたり、メールしたりして、気持ちや思いを伝え合っているつもりでいても、心に秘めたままのものがあったり、言葉にするのをためらっているものがあったりするものです。中には、自分でも気づけていない気持ちや思いもあるでしょう。
お手紙は、日頃は言葉として出てこない気持ちや思い、それに気づいて、認めて、改めて伝えるきっかけをくれるような気がします。なぜなら、お手紙を書く時間というのは、相手に思いを馳せて向き合うとともに、自分自身とも向き合うことになるからです。
お手紙を書くこと、やりとりすることで、「あ、わたし、こんなことを思っていたんだ」「あの人、こんなことを思ってくれていたんだ!」「あの出来事、こういうふうに感じていたんだ」と気づく機会となり、再びコミュニケーションを重ねていく“はじまり”のきっかけにしませんか?
本書は、著者の日常にある“お手紙というものがある時間”について書き綴ったエッセイです。この本を読んで、「あの人、元気にしているかな?」「あの人に改めて『ありがとう』という気持ちを伝えたいなぁ」など、ふと顔が思い浮かんだ“あの人”にお手紙を書いてみようかなぁと思っていただけたら嬉しいです。⇒amazon
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。⇒『おてがみぃと』FBページ
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