婦人科医が言いたいこと
医療・ヘルシーライフ 2023-11-16
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大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。
飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。
女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。
⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ
〒542-0085 大阪府大阪市中央区心斎橋1-8-3 心斎橋パルコ10F
TEL:06-6253-1188(代表)
https://shinsaibashi.santacruz.or.jp/
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
「異次元の少子化対策」の落とし穴 |
2022年から不妊治療が保険適応となり治療への敷居が低くなり、これを機に治療に踏み切るようになったご夫婦も少なくない。
不妊治療を主とする婦人科クリニックには夕方18時以降に大勢の女性患者さんが来院する。
仕事の都合を何とかつけて閉院時間に間に合うよう必死な面持ちの女性たちが毎日たくさん列をなす。
しかし、彼女たちの多くは、職場の理解を得ていつでも来院できる訳ではない。
彼女たちが口を揃えていうのは、職場には不妊治療中とは言えない。
育児で忙しい他の社員を前に、自分が不妊治療で通院のために早退勤することは主張できない、と。
中には、管理職の立場で不妊治療を優先したいと言えない女性もいる。
仕事と両立できずに離職したり、不妊治療を諦めたりしている女性も少なくない。
これは自分自身の問題だから仕方ないのだと、肩身が狭いが現状を受入れるしかないのだと涙を飲む女性たち。
男性の育児休暇が広まることは好ましいが、足りなくなった人手の埋め合わせが不妊治療で通院する女性にのしかかる現状も否めない。
20代は働くことに一生懸命だった生き方が間違っていたのだろうか、と肩を落とす女性患者もいる。
理想的な人生の選択は二者択一でしかない現実と向き合わざるを得ない。
不妊治療には様々な段階があり、毎月周期的に排卵している卵巣機能の良い状態の女性は月に3回ほどの診察をするタイミング療法。
次のステップは、排卵周期に合わせてパートナーの精液を子宮内に注入する人工受精。
それでも妊娠に至らない場合や、卵管通過障害や精子が極端に少ない症例などには最終ステップとして体外受精や顕微授精。
人によっては月に約5〜8回診察が必要となるケースも少なくない。
子供に対する投資は一番分かりやすい日本の未来に対する投資であることは間違いない。
しかし、独身の男女でも、家族がいる人いない人も、皆だれしも生活の中で何かの両立で生きている。
育児、介護、治療、学業、趣味、年齢や性別にかかわらず、人は公言せずとも何かと折り合わせの中で生きている。
そう、人は誰しも何かしらの両立で生活を営んでいる。皆んな同じだ。
誰かが休暇をとることで、他の誰かに皺寄せがのしかかってしまう構造は、企業や組織のマネジメント側の問題でもあるが、「声なき当事者の声」は不意に拾い上げられていないのではないか。
他の誰かに皺寄せがくるようなら企業にとってもマイナスでしかない。これは避けるべきだろう。
少子化対策が決して「育児」だけに焦点をあてた対策ではあってはならないと、日々の婦人科診療の中で痛く感じる。
育休取得や育児補填だけに寛大にならず、今まで議論されてこなかった「声なき声」にも耳を傾けるべきだろう。
不妊治療を主とする婦人科クリニックには夕方18時以降に大勢の女性患者さんが来院する。
仕事の都合を何とかつけて閉院時間に間に合うよう必死な面持ちの女性たちが毎日たくさん列をなす。
しかし、彼女たちの多くは、職場の理解を得ていつでも来院できる訳ではない。
彼女たちが口を揃えていうのは、職場には不妊治療中とは言えない。
育児で忙しい他の社員を前に、自分が不妊治療で通院のために早退勤することは主張できない、と。
中には、管理職の立場で不妊治療を優先したいと言えない女性もいる。
仕事と両立できずに離職したり、不妊治療を諦めたりしている女性も少なくない。
これは自分自身の問題だから仕方ないのだと、肩身が狭いが現状を受入れるしかないのだと涙を飲む女性たち。
男性の育児休暇が広まることは好ましいが、足りなくなった人手の埋め合わせが不妊治療で通院する女性にのしかかる現状も否めない。
20代は働くことに一生懸命だった生き方が間違っていたのだろうか、と肩を落とす女性患者もいる。
理想的な人生の選択は二者択一でしかない現実と向き合わざるを得ない。
不妊治療には様々な段階があり、毎月周期的に排卵している卵巣機能の良い状態の女性は月に3回ほどの診察をするタイミング療法。
次のステップは、排卵周期に合わせてパートナーの精液を子宮内に注入する人工受精。
それでも妊娠に至らない場合や、卵管通過障害や精子が極端に少ない症例などには最終ステップとして体外受精や顕微授精。
人によっては月に約5〜8回診察が必要となるケースも少なくない。
子供に対する投資は一番分かりやすい日本の未来に対する投資であることは間違いない。
しかし、独身の男女でも、家族がいる人いない人も、皆だれしも生活の中で何かの両立で生きている。
育児、介護、治療、学業、趣味、年齢や性別にかかわらず、人は公言せずとも何かと折り合わせの中で生きている。
そう、人は誰しも何かしらの両立で生活を営んでいる。皆んな同じだ。
誰かが休暇をとることで、他の誰かに皺寄せがのしかかってしまう構造は、企業や組織のマネジメント側の問題でもあるが、「声なき当事者の声」は不意に拾い上げられていないのではないか。
他の誰かに皺寄せがくるようなら企業にとってもマイナスでしかない。これは避けるべきだろう。
少子化対策が決して「育児」だけに焦点をあてた対策ではあってはならないと、日々の婦人科診療の中で痛く感じる。
育休取得や育児補填だけに寛大にならず、今まで議論されてこなかった「声なき声」にも耳を傾けるべきだろう。

藤田 由布
産婦人科医
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ 院長
産婦人科医
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ 院長
大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。
飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。
女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。
⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ
〒542-0085 大阪府大阪市中央区心斎橋1-8-3 心斎橋パルコ10F
TEL:06-6253-1188(代表)
https://shinsaibashi.santacruz.or.jp/
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