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藤田 由布
婦人科医 医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2022-10-20
【婦人科漫談セミナー】講演会でよく聞かれる質問〜かんたん解説〜その②

私は2021年から「婦人科漫談セミナー」と題して女性の健康の啓発活動で、全国津々浦々、講演会をして巡っています。

その講演会の中でよく受ける質問とその【回答】について、ここで紹介したいと思います。
今回は「低用量ピル」について、よく聞かれる質問です。
【質問】
低用量ピルで避妊ができるというのは本当ですか?また本当であればどのように活用するのか教えて欲しいです。
【回答】 ピルは、どんな種類であれ、すべて避妊効果があります。そして同時に重たかった生理を改善してくれる働きもあります。

これは、とても大事な質問ですが、すべの若者が知っておかなければならない事です。

世界の先進国で低用量ピルについて学校で教えてもらっていないのは日本人の若者だけです。

でもいいですか、知らないことが問題ではありません。

日本の若者には性教育もなければ学校で健康教育もまともに受けさせてもらっていないのです。知らされていない現状こそが問題なのです。
一概に「ピル」といえども、様々な呼び方があります。避妊ピル、経口避妊薬、低用量ピル、超低用量ピル、月経困難治療薬、はたまた最近では横文字でOC(オーシー)とかLEP(レップ)とも呼ばれています。実はこれらは中身はすべて同じです。エストロゲンとプロゲステロンという2種類のホルモンが配合されたものをにっくるめてピルとよんでいます。
ピルについて、もっとちゃんと知ってほしいので、これを読んでほしいです。
今さら聞けない低用量ピルって本当に安全なの?
【質問】
生理痛がひどくなってきたので、近くの婦人科クリニックへ行きました。詳しい説明もなくピルを処方されました。アンジュという名前のピルでしたが、半年たっても生理痛の重さが変わらず、生理の日は学校に行けないくらい痛いです。母親は生理痛に耐えてきたタイプなので相談してもそこまで真剣に取り合ってもらえず困っています。
【回答】
これは放置してはいけない症例ですね。できるだけ早くにご相談ください。 アンジュは避妊薬に区分けされているピルで7日間休薬タイプのものです。生理痛の改善には保険適用の4日間休薬タイプの月経困難治療薬の方が効果があるという報告もあります。
うちのクリニックでは、生理痛が起こってしまうしくみやチョコレート嚢胞(子宮内膜症)を予防する方法をみなさまに説明させてもらっています。そして生理痛を撃退できるまで診療させてもらっていますので安心してご受診してくださいませ。
【質問】
低用量ピルは最近耳にすることが多くなっていました。自分も生理痛がひどい方なのでピルを処方してもらいたいなと思いました。けどとても太りやすくなったりという副作用は何かあるのかなと思いました。
【回答】
ピルは太りませんのでご安心ください。

ピルの中身はみんな同じといいましたが、実は少しずつ違いがあります。ピルには改良を重ねてきた歴史があり、今はニキビやPMSに効果があるものが主流となってきています。

個々にあったピルを選んで副作用を管理しながら診させて頂きます。
【質問】
低用量ピルを服用していることはパートナーや他人に口外しない方がよいという意見をよく目にするのですが、藤田先生はどう思いますか。
【回答】
避妊は女性の権利です。生理痛をピルでコントロールするのも女性の当たり前の権利です。女性がピルを飲むことを嫌がる男性はクズなので捨ててしまいましょう。
【質問】
ピルの中身はすべて同じなのに、なぜいくつもの種類があるのでしょうか。
【回答】
この質問はとても良い質問です。伝えたいことたくさんあります笑でも、すべて説明すると日が暮れてしまうので、ざっと以下の表にまとめました。
「避妊のためだけにピルを飲みたい」という場合は、病気ではないので(病名がつかない)、保険診療にならず10割負担の自費診療となります。

「生理痛がひどい」という場合は、「月経困難症」という病名がつくので保険診療(3割負担)のピルを処方します。

ピルの種類には色々とあり、相性もあります。なので、私は些細な副作用なども尋ねながら、個々に合ったピルを処方するようにしています。
さて、ふと思うのが、生理痛が全くない女性ってこの世に存在するのかしらね・・・笑 全て保険でカバーしても良いのではないだろうかと思う時もあります。バイアグラはすんなりと保険適応になってますしね。
【質問】
低用量ピルの価格はどのくらいなのか。
【回答】
ピルの価格を一覧にして配布している婦人科医って、日本で私だけかもしれません笑
婦人科を訪れる患者さんは、小児科を除いて全ての診療科で最も若い人たちが多いです。小学生や中学生の患者さんもいらっしゃるし50〜60代もいらっしゃいます。でも、だいたいが平均20〜30歳くらいです。

「診察にいくらもっていけばいいんだろう」と不安な面持ちな患者さんがたくさんいらっしゃることを私はちゃんとわかっています。経済的な理由で受診しづらい女性が多いことも事実です。

今日いくらぐらいかかりますか?って、言いづらいですよね。 だから長期で内服するピルについては私から値段をお見せするようにしています。 ちゃんと一緒に治療に向き合ってもらうためにも、経済面のアレコレって大事ですものね。
避妊目的でピルを処方してもらう場合は、病気ではないので自費診療となります。診療所によりけりですが、最大6シート(6ヶ月分)まで処方できます。自費で1シートだいたい2000〜3000円前後です。

一方、生理痛に対するピルは保険適応です。月経困難症という病名がつくからです。月経困難治療薬という名前がついたピルは保険適応(3割負担)となりま最大3シート(3ヶ月分ずつ)ずつ処方します。

日本では、ドロエチ(ヤーズのジェネリック)、ヤーズフレックス、ジェミーナ、フリウェルなどが月経困難治療薬に該当します。3割負担になって、1シート(1ヶ月分)だいたい800〜2000円前後です。

私は大阪人なので値段はめちゃくちゃ気になります(笑)。長期間、しかも毎日内服する薬ですもの、値段は知りたいですよね。だから、私の診察室では値段比較を知りたい患者さんのために一覧表をお見せしてます。
【質問】
月経はコントロールできるとおっしゃっていましたが、生理はどのようにしてコントロールするのでしょうか。そはピルを毎日服用するということですか?
【回答】
毎月のツライ生理は、子宮にとっては有害です。生理というのは、子宮の一番内側を覆っている膜状の組織が女性ホルモン(エストロゲン)の影響でブク〜っと膨れて増殖し、プロゲステロンの影響でベリベリ〜っと剥がれ落ちることをいいます。
生理の量が多い人は、子宮内膜の増殖が他人より分厚くなって剥がれ落ちる時にたくさん痛み成分のプロスタグランジンが放出されているのです。

また、生理の量が多い人によく起こっているのが、生理の血が卵管を通って逆流し、子宮の外へ血が流れ出ているのです。流れ出た血はお腹の中で色んな臓器をベタベタにくっつけ(癒着といいます)、慢性の炎症状態にしてしまいます。これを子宮内膜症といい、不妊症の原因にもなります。

諸説ありますが、これが子宮内膜症という厄介な婦人科疾患の発生機序なのです。
ピルは、子宮と卵巣を良い状態に保つ薬です
ピルを内服すると、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが脳に働きかけて、脳の下垂体から分泌されるFSHとLHというホルモン司令塔を抑制します。すると、卵巣の中にある卵胞の発育が冬眠状態となり排卵が起きなくなります。

ピルに含まれるエストロゲンとプロゲストンは、子宮の内膜にも働きかけ、無駄な内膜の増殖を抑えてくれます。ピル内服中は内膜が薄い状態となっているので、たとえ性交渉をして受精したとしても、着床しにくい環境になっています。
あと、腟の奥にある頚管粘液の性状が濃厚粘稠となり、精子が子宮内に入って行けない環境にもなっています。

このうようなメカニズムによって、すべてのピルには避妊効果があるのです。

同時にピルは、子宮内膜の過剰な増殖を抑えて、無駄な排卵を抑制し、子宮・卵巣を休ませた楽チンな状態で保っておいてくれるのです。
生理はガマンからコントロールする時代です
生理って毎月厄介なものです。せっかくの温泉旅行、浴衣を着る時、彼氏とお泊まりデート、大事な試験の日にドッキングなんて事、皆さん一度や二度はありますよね。

現代女性は、昔に比べて出産回数が減り、月経の回数が増えています。 月経に邪魔されず、自分らしく生きる。そのために、月経の回数を減らすなどの治療法があります。

月経困難治療薬の「ヤーズフレックス」は、最長120日間の連続服用が可能なピルです。つまり、120日間生理を止めて子宮と卵巣を休ませておくことが出来るのです。
【質問】
生理が来るのが不定期ですが、生理の症状は軽い場合には何の対策もしなくて大丈夫なのでしょうか?
【回答】
月経不順は放置してはいけません。先日の朝日新聞に投書したものをご覧いただけたらと思います。
あと、皆さんに知ってほしいのは、月経不順の原因となるPCOSのことです。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは、ホルモン分泌が不均衡になってしまうせいで、排卵しにくくなる疾患です。女性の20人に1人の割合でみられます。
排卵されない卵胞は卵巣にとどまるため、超音波検査でみると、卵巣の中にたくさんの卵胞(嚢胞)を10個以上認めることから多嚢胞性卵巣と呼ばれます。

この疾患は、血液検査でも分かることがあります。テストステロン(男性ホルモン)の値が高く、LH(黄体形成ホルモン)がFSH(卵胞刺激ホルモン)と不均衡に高い値になることが多いです。
この疾患は決して放置してはいけません。
最近、PCOSで問題となっているのは、子宮体ガンのリスクが高くなることです。

PCOSは排卵しにくいので、プロゲステロン分泌が起こりづらくなります。内膜増殖を抑制するプロゲステロンの分泌がないと生理が起こりません。

排卵が起こっていない状態は、子宮内膜がエストロゲン刺激にずっと晒されていることであり、生理が起こらず、内膜がどんどん厚くなっていきます(持続する内膜増殖作用のこと)。この状態が子宮内膜癌(子宮体がん)のリスクを高めるのです。

30歳以下の若年性子宮体癌の60%にPCOSが認められたとの報告があります。

だから、生理不順の女性は、子宮体がんを防ぐ目的においても、ピルなどを用いて定期的に生理(正確には消退出血)を起こさせることが必要なのです。
私は現在、大学、高校のほかに、企業団体や保険会社や知人を介した集まりにも出向いて「婦人科漫談セミナー」を実施します。居酒屋でだっていきなり講演会を始めちゃったりもします。

多くの女性が辛い生理痛や婦人科の病気で辛い思いをしないためにも、私が医師としてできることをやり通そうと思っています。

「婦人科漫談セミナー」講演会でよく聞かれる質問 その③へ続く・・・
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)
〒542-0083 大阪府大阪市中央区東心斎橋1-14-14 T・Kビル2F
TEL : 06-6241-5814
https://www.sakumaclinic.com/

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