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藤田 由布
産婦人科医 レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2022-07-21
季節の変わり目は、おしものトラブルが勃発?!

デリケートゾーンについては周囲の人になかなか相談しにくいため、多くの女性が一人で悩んでいます。

20〜50代の女性を対象にした調査(持田ヘルスケア調べ)では、どの年代でも約5人に1人が痒み、におい、ムレ、おりものについて悩んでいることがわかっています。
かゆみの原因は、カンジダ真菌であることが多い
カンジダ膣炎は、性交渉でうつると思われがちですが、実は日和見感染であることの方が多いです。日和見感染とは、疲れやストレスで自分の免疫力が低下した時に病原体が増殖して暴れて発症してしまうことを言います。
カンジダとはカビ(=真菌)の一種です。カンジダの典型は、粉チーズや酒粕のような白いパラパラとしたおりものが多くなることです。カンジダになると外陰部が炎症を起こして強い痒みを帯びることがあります。

カンジダ真菌は普段は悪さをしませんが、体調の変化やストレス、生活習慣の乱れ、デリケートゾーンの不衛生な状態によって、膣内環境のバランスが崩れて、カンジダ真菌のような悪玉菌が暴れてしまうことがあります。

ちなみに、善玉菌といわれるのはデーデルライン桿菌といって、乳酸菌の仲間があります。この善玉菌は膣内を酸性に保ち、他の病原菌の侵入を防ぎます。

また、妊娠している方は、免疫力が急激に低下しているので、カンジダ膣炎になりやすいです。
おりものの変化に要注意
おりものは、雑菌が膣の中に侵入してくるのを防ぐために分泌されているので、健康な女性でも出てきます。
時期によって色や性質が変わります。排卵の時期には透明で粘り気がありのびるものになります。月経前には白っぽいクリーム状のものが多いです。正常なおりものには臭いがしません。おりものは酸性ですので、酸っぱい臭いの時もありますが、周囲には匂っていません。あまり神経質になる必要ありません。

おりものの成分
・卵管、子宮内膜、子宮頸部、膣から分泌される粘液
・腟壁からはがれた古い細胞
・腟口の左右にあるバルトリン腺からでる分泌液
・尿道口の左右にあるスキネ腺からでる分泌液
・外陰部の皮脂腺や汗腺からの分泌液
心配なおりもの
★おりものの量がいつもより多い

腟炎や子宮頸管炎、子宮頸管ポリープがあると、おりものの量がいつもより多くなります。炎症を起こしている場合は、おりものが濃い黄色になります。炎症を起こしていないなら、白っぽい色をしています。

うすいミルク状や淡い膿状だったり、茶色が混ざった泡状のおりもので痒みを伴う場合は、腟トリコモナス症のことがあります。これは悪臭がすることがあり、抗生剤や腟錠での治療が必要です。

★おりものが茶色っぽいとき

おりものに少量の血液が混じって時間が経過すると、茶色っぽい色になります。子宮頸管炎、子宮頸管ポリープ、萎縮性膣炎などでみられます。子宮頸がんや子宮体がんなどでも茶色のおりものが出る場合があります。

★おりものに新鮮な色の血液が混じるとき

おりものに鮮血が混じるのは、出血しているところがどこかにあるからです。外陰部や腟壁に炎症や外傷があるとき、子宮頸管に炎症やポリープや腫瘍があるとき、子宮の本体に異常があるとき、あらゆる原因が想定できます。

おりものに異常を感じた時は、婦人科にてお気軽にご相談ください。 「私だけかも、、、」って思わなくて大丈夫です。かなり多くの女性がおりものの悩みを抱えてらっしゃいます。だから、なんでも言ってください!
デリケートゾーンの正しい洗い方
ごわごわナイロンタオルを使うことは厳禁です。低刺激性の泡せっけんや、弱酸性のものがデリケートゾーンの洗浄に向いています。爪を立ててゴシゴシなんてこともNGです。腟の奥の方まで洗う必要はありません。腟の中にいる善玉菌まで洗い流してしまうのが良くないからです。デリケートゾーン洗浄のキーワードは「顔の洗浄と同じように」です。

おりものシートを長い時間使用せず、通気性のよいシートや下着がオススメです。きついサイズの下着やデニムなどを着続けていると、むれて外陰炎を起こす事があります。適度なユルミも大事ですね。

更年期世代になってくると、腟の粘膜が薄くなってくるので、腟の中を洗いすぎるとヒリヒリして炎症を起こしやすくなります。女性ホルモンが低くなってくると腟壁や外陰部の皮膚が萎縮して炎症を起こす事があります。これが萎縮性膣炎です。

閉経後の多くの女性に見られる疾患ですが、外陰部が痛い、性器出血や性交痛があるといった症状があるといった場合は、お気軽に婦人科を御受診ください。腟に潤いをもたらす膣錠やジェルなどもあります。

気になること、普段ちょっと悩ましいことは、一人で悩まずに、婦人科医に相談してくださいね。
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
産婦人科医
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ 院長

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ
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