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藤田 由布
婦人科医 レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2021-12-30
更年期障害、決して自分のせいだと落ち込まないで下さいね

最近、私どもの婦人科外来では、就職氷河期世代の我慢を強いられてきた女性の患者様が、限界を超えた状態で診療にいらっしゃるようになりました。

就職氷河期とは1970〜80年代生まれの方が該当します。もう十分に我慢してきたはずです。これ以上、もう我慢しないで下さい…

ほぼ全ての女性に訪れる更年期。でも、みんな同じ症状ではありません。千差万別、更年期はいろんな形で訪れます。

閉経する5年前ぐらいから女性ホルモンが急激に減少していきます。平均的に40代中頃から症状が出現するようですが、中には40歳前半頃から身体の変化を感じる人もいます。

閉経の平均年齢は50歳ですが、これも個人差があります。

更年期障害の症状として、ホットフラッシュなどが知られていますが、実は何十種類の症状があり、人によって症状は全く異なります。

閉経が近くなってくると、月経が不規則になり、頭痛、めまい、イライラ、落ち込み、不眠、疲労、動機、ほてり、冷え、しびれ、関節痛、便秘や下痢、のどのつっかえ、等々、他にもまだまだあります。

閉経前になると急激に女性ホルモン(エストロゲン)が減少していくのですから、自律神経が乱れたり、体調を崩したり、集中力が落ちたり、精神的に参ってしまったりするのは当然のことです。

疲れて体調を崩しても、決して自身の怠慢のせいではないので、自分を責めたりしないで下さい。
更年期症状の治療は意外と手頃な価格なのをご存知でしょうか。

巷の美容クリニックでは「アンチエイジング」として高額な治療が色々と紹介されていますが、更年期症状の治療は婦人科では保険適応です。平均、月々1000円そこらで治療が可能です。

ホルモン補充療法、漢方療法、うつ治療、不安治療、プラセンタ注射も保険適応でそれぞれ効果エビデンスがあります。

その中でも、ホルモン補充療法はさまざまな更年期の症状をやわらげ、生活の質の向上に幅広い効果が期待されており、最近はとても注目されています。

ホルモン補充療法は、骨粗しょう症や動脈硬化を防ぐことで知られていますが、そのほかにも、皮膚のコラーゲンを増やして肌の潤いを保つことが分かっています。

また、意欲や集中力を回復させ、性交痛や膣炎をも改善させます。

40代すぎて生理が年々ひどくなっていく方も、放置せずに婦人科にいらして下さい。最近は、どんどんと新しい治療方法が出てきています。

婦人科では、その人に合った治療法を、色々と試してみて、生活の質を向上して行けるように共に相談しながら決めていくことが出来ます。

相談だけでも大丈夫です。ホルモン値の血液検査で更年期障害の程度がある程度分かったりもします。

過去に巷の婦人科で嫌な思いをしたことある方も多くいらっしゃる印象ですが、最近の婦人科は随分と改善されています。

今は女性医師も増えています。気軽に、安心して、ご相談にいらして下さいませ。

世界一の長寿となった日本女性。平均寿命87歳。

この長い人生を自分らしく健康に過ごすため、女性にとって有益な情報と知恵を、是非たくさん知って欲しいです。
自分に合った更年期障害の治療方法を選択しましょう
更年期障害の治療方法には、下記の方法などがあります。
更年期障害のお薬のあれこれ(一例)
ディビゲル(持田製薬)
ル・エストロジェル(富士製薬)
エストラーナテープ(久光製薬)
加味逍遥散・桂枝茯苓丸・当帰芍薬散など(ツムラ)
メノエイドコンビパッチ(久光製薬)
プラセンタ注射(メルスモン製薬)
ジュリナ(バイエル薬品)
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ 副院長
〒530-0013 大阪府大阪市北区茶屋町8-26 NU茶屋町プラス3F
TEL:06-6374-1188(代表)
https://umeda.santacruz.or.jp/

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