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バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ RumiBaxter

丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2018-09-14
祈り

早いものでこちらで連載をさせていただく様になり、三年が過ぎました。月に一度担当させていただいているコラムでの文章は、まるで鏡の様に私のその時々の気持ちを映し出している様な気がします。

今回、この原稿を書くにあたり、「いったい何を書くべきなのか」、正直考えれば考えるほど心がざわついているのです。

ごく近くで当たり前の生活が一変した事実を目の当たりにして、また、日本の各地で起こった自然災害の非情な様を知れば知るほど、「いったい何を書くべきなのか」を考えてしまうのです。被災された方々に一刻も早い心の平安が来ます様に、と祈らずにはいられません。

祈るという行為は古来から私たち人間がずっとやってきたことの様な気がします。

では、「祈り」とはいったい何なのでしょう。

理屈を超え、苦からの解放を願うことなのでしょうか。何かに感謝することなのでしょうか。それとも自分の微力さを認めることなのでしょうか。

少なくとも、祈り、という行為の前に自分自身の心が安らかでなければ本来の祈りの気持ちに達することはできない気がします。そのためにも今は出来るだけ私自身のざわついた心を落ち着かせるようにと思っています。

そんな欲求が引き寄せてくれたのか、先日、日本画家、東山魁夷の「描くことは祈ることです」という言葉を目にしました。

第二次世界大戦後の混乱の中、大切なものを失うという深い悲しみの中で、「生命の輝き」を見出すことに感動し、それを描くことが祈りにつながったという画家の作品を見て、とても心が揺さぶられる思いをしました。

東山は静かに自然を観察し、静けさの中に生命の輝きを見出したに違いありません。東山の作品の中には静けさの中に生命のエネルギーの強さがみなぎっていました。心を平静にすることによって何かが見えたに違いないと思わずにはいられませんでした。

「絵を描くことが祈りであるとすれば、上手に祈る、下手に祈る、というのは問題ではなく、そこに心がこもるか、こもらないかが問題だと思うんです」と添えられた画家の言葉に物事の本質を見た気がしました。芸術活動も含め、全ての活動は、そこに心がこもることで大きな祈りの効果があるのではないかと思うのです。

私たちが「心がこもる」行為に出会った時、そこには感動が生まれます。感動は大きな意味での愛を生みます。ですから、心を込めて何かをするいうことは、祈りに匹敵することなのではないかと思うのです。

上手に何かをしようとするのではなく、結果、誰かを感動させようと思うのでもなく、ただただ謙虚に自分自身に課された課題に取り組む。心を込めて取り組むこと、とはそういうことの様な気がします。それは謙虚に静かに「今」を見つめることでもあり、今わたしがするべきことはそんなことなのかもしれないと考えさせられました。

少しでも祈りが届きますようにとの思いを込めて。
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私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ

心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/

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