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木村 綾
乳腺専門医 医療法人桜来会 きむらクリニック小児科乳腺科

健やかに 楽しく 美しく 医療・ヘルシーライフ 2018-02-02
乳がんのリスク因子

今回は、「乳がん診療ガイドライン②2015年版」をもとに、主な「乳がんのリスク因子」についてまとめてみます。

1.初潮と閉経の年齢
早い初潮そのものが乳がん発症のリスクではないんですが、生理(月経)の期間が長いほどリスクがあがります。初潮が一年早まるごとに5%ずつ、閉経が一年遅れるごとに3%ずつリスクが増えると言われています。

2.出産・授乳
出産経験のない女性は出産経験のある女性と比べて、リスクが高いことは確実とされています。また、初産年齢が高い(35歳以上)、出産数が少ないこともリスクとなります。授乳に関しては、授乳期間が長いほうが、乳がんリスクが減少します。

3.肥満
閉経後の女性では、肥満が乳がん発症のリスクを増やすことは確実です。とくにBMIが29以上では気を付けましょう。

4.高身長
身長は、性ホルモンや成長ホルモン、生理(月経)など様々なことと関連していて、乳がん発症のリスクとも関連しています。

5.出生時の体重
出生時の体重が4000グラム以上の女性では発症リスクが高くなっています。

6.ホルモン補充療法
エストロゲンと黄体ホルモン併用療法では、5年以上の長期間の使用で、乳がん発症のリスクをあげます。更年期障害などでホルモン補充療法をされてる方は定期的な乳がん検診を受けましょう。また、不妊治療は乳がん発症のリスクを増加させるかどうかは結論付けられていません。

7.喫煙
喫煙・受動喫煙により乳がん発症のリスクが増える可能性があります。

8.アルコール摂取
世界的には、アルコール摂取が乳がんの原因になりますが、日本人女性においてはリスクが増えるかどうかは、まだ結論は不十分な段階です。

9.乳腺の良性の病気
異型を伴う増殖性病変では、乳がんのリスクがあがります。(のう胞や乳腺症、線維腺腫は増殖性病変ではありません)

10.乳がんの家族歴
血縁者に乳がん患者さんがいた場合リスクが高くなり、その血縁者が遺伝的に近い(親、姉妹、子)ほど、またその人数が多いほどリスクは増加します。

最後に
乳がんは、日本でも世界的にも、女性が一番多くなる「がん」です。リスク因子にあてはまる場合も、あてはまらない場合も、定期的に乳がん検診を受けることをおすすめします。
健康であることが、楽しく美しく過ごせることにつながっていくと思っています。病気を患ってても、少しでも健やかな気持ちで前向きに生きがいを感じて過ごせるようになれたら、素敵だと思います。心身ともに健やかに過ごせるヒントを、女医の立場からご紹介できれば幸いです。
木村 綾
乳腺専門医

医療法人桜来会
きむらクリニック小児科乳腺科

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