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バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ RumiBaxter

丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2017-09-08
未来へ向かおう

空気の中に秋の気配を感じるようになりました。あのジリジリとした灼熱の太陽に少しばかりのノスタルジアを感じながらも、やっと夏が終わってくれた、というのが私の本音でしょうか。

この原稿を書いている最中も平和という神話がもろくも崩れていくのだろうかという気にさえなります。同時に、数々の事、数々の人々に勇気をもらう毎日でもあります。

人を強い共感でつなげる音楽やアートの意義は、「勇気」の輪を作る、そんなところにあるのかもしれません。

最近、改めて、偉大なる作曲家ベートーベンのヒューマニズムに満ちあふれた世界観にふれ、感動しています。実は昔、ベートーベンは苦手でした。あの険しそうな表情、ちょっと窮屈な感じすらしていました。

それにしても、クラシック愛好家もそうでない人も、世界中にその名前を知らない人はいないなんて、並たいていのすごさではありません。何より、ベートーベンが作曲した曲の中に盛り込まれたヒューマンドラマを感じれば感じるほど、天才というほかありません。

ご存知のように、ベートーベンはたくさんのピアノソナタを作曲しました。その8番目のソナタには、「悲愴」という別名が付いています。

それにしても、悲愴、Pathetique とは強烈なタイトルです。ちなみにPatheticは、「最悪!」「悲惨!」などというニュアンスで、よく現代の口語体で使われます。

3楽章からなるこのピアノソナタを作曲中にベートーベンは片耳の聴覚を失っていったと言われていますので、実際、悲愴のどん底な気分であったことは間違いありません。実際、第1楽章は、悲しみ、暗く深い孤独の闇の中でもがくような旋律で始まります。

しかし、それに続く第2楽章は一転して、世にも美しい癒しの章へと展開します。あたたかくてシンプルな主題がなんども繰り返され、聴くもの、演奏するものを深く癒してくれます。

人の声の音域で作られたというその主題は一度聞くと必ずや口ずさんでしまう人も多いのではないでしょうか。常に、好きなクラシック曲の上位に入っているのも納得です。

「悲愴」の第2楽章がこんなにも美しいのは何故なんだろう、という疑問をずっと感じていました。それは、第1楽章で経験した深い悲しみのせいでしょうか。深い悲しみを経験したからこそみえる癒しの光の章なのでしょうか。この対比する展開にベートーベンの世界観、ヒューマニズムを感じざるを得ません。

そして最終章の3楽章に私が感じるのは、勇気、希望の未来へと向かう決心です。前向きな「会話」が何度もちりばめられて、きっぱりと言い切っているようです。「希望の未来へ向かう」と。そしてこのソナタは勇気のある決断の和音で幕を閉じるのです。

200年以上も前に作曲された、ソナタ「悲愴」の中にいろいろなメッセージを見つけ、勇気付けられ、感動した人は数限りないでしょう。私もその一人です。

そこに刻まれたベートーベンの全人類への深いメッセージは、「未来へ向かおう」と私たちに呼びかけているようです。音楽という共通言語の素晴らしさに感動します。

こんな今だからこそ、感動し、共感し、そこから勇気をもらい、皆が共同体の一員として、未来へ向かう必要があるのだと改めて感じます。真の実りの秋になるよう心から祈りながら。
私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ

心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/

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