関西で働く女性のライフスタイルマガジン［関西ウーマン］

いきなりですが問題です。
次の中で夫が亡くなったとき、妻が遺族年金をもらえるのはどちらでしょう？

●Ａ家
夫（自営業者・47歳）、妻（45歳）、子（22歳）
結婚して23年。
夫は自営業で25年間国民年金納付。

●Ｂ家
夫（会社員・35歳）、妻（31歳）
結婚して2年。
夫は2年間厚生年金納付

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さて、答えあわせをしてみましょう。

●Ａ家：×

●Ｂ家：○

どうでしょう？　答えは予想外だったでしょうか？　
いかにも見え見えな質問で、答えは想像通りだったかもしれませんね。

ただ25年も納付しているＡさんがもらえなくて、
まだ2年しか納付のないＤさんがもらえるなんておかしい！とは思われないでしょうか？

どうしてこんな結果になってしまうのでしょう？

まず「遺族年金」とひとくくりにしていますが、実は大まかに分けて二種類あります。

ひとつは遺族基礎年金。
これは２０歳から６０歳までの全ての人に加入義務のある国民年金から支給されるものです。

もうひとつは遺族厚生年金。
こちらは会社員などお勤めの方が加入する厚生年金から支給されるものです。

自営業者や専業主婦が国民年金に加入して
会社員は厚生年金に加入するんだよね。

…と思われがちですが、
そうではなく

全員が国民年金に加入したうえで、
会社員の方はさらに上乗せして厚生年金に加入（二階建てとも言われます）。
という形になっています。

ですので平屋建ての自営業者より、二階建ての家を持っちゃっている会社員のほうが、
亡くなった場合に支給が多いのはなうなずけますね。

そしてさらに遺族基礎年金より、遺族厚生年金の支給対象のほうがはるかに広いのです。
細かい話は省きますが、一番大きなポイントとして

遺族厚生年金では子のない妻にも支給があるのに対して、
遺族基礎年金は子のない妻に支給がありません！

更に、この「子」とは18歳の年度末までとなっているため、
Ａ家の22歳の子は年金法上の「子」に該当しないことになります。

分かりやすくざっくり書いてしまうと

「何十年国民年金をかけていようと、夫が自営業者の子のない妻には遺族年金の支給がない」
ということになります。

逆に会社員が亡くなられた場合に支給される遺族厚生年金の支給対象者は
妻（子がいなくてもＯＫ）・子だけでなく、年齢の要件はありますが孫、父母等まで含みます。

つまりA夫は25年も国民年金を納めてきたにも関わらず、亡くなってしまった後、
妻は遺族厚生年金も遺族基礎年金ももらえないことになります。

25年といえば老齢の基礎年金の受給資格が得られる年数です。
本来65歳まで存命であれば毎年一定の老齢基礎年金がもらえていたはずですが、
亡くなってしまえばもらえないという事態に陥ることがあります。

ただ、全く何の支給もないというわけではなく、寡婦年金・死亡一時金の制度があり、
一定の要件を満たせば支給されます。（どちらも対象になる時は選択）
ただし、寡婦年金の支給は60歳から65歳までと期間が限定されており、
死亡一時金はマックスでも32万円と少額です。

生命保険等をかけられる際に遺族年金の試算をされることがあると思いますが、
それ以外ではあまり遺族年金について考えることはないかなと思います。
ただ万一の時に自営業者のおうちはさまざまな意味で補償が少ないのが現実です。

遺族年金がもらえない事態も想定して、
保険等での補てんや法人化などを考えられるといいかもしれません。
 

秦　優（ハタ　ユウ）（社会保険労務士）　 YOU社会保険労務士事務所 大阪府高槻市寿町３丁目１７番１９号　TEL：072-658-7627 http://you-sr.com